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第三話 上司について

2/06追記。すみません。自分で読んでてあまりにも面白くなさすぎるので、最初っから書き直しました。旧バージョンは一応カクヨムの方に残しておきます。登場人物はほとんど変わらないのですが、ユノがやって来る部分とかいろいろ内容変わります。明後日くらいまでに五六話まとめて内容入れ替えるので、読者の方にはご迷惑おかけします。

「安心しろ、それは自然なことだ」


 俺はどこか不安を感じさせるようなはかなさを受け取り彼女を励まそうと声をかける。


「お前がゴディタニナ様を慕っているからと言って何もかもを理解する必要なんてないし、いずれお前がいろいろなことを経験して理解できるようになる日も来る……」

「でも同時にね、こうも思ったの」


 俺が少しカッコつけて行った台詞を区切り、ユノは曖昧な表情のまま口を開く。


「この爺自分一人だけこんなにうまいもの食っといて、私には一口も食べさせない気だったのか!と…」


 ものすごく静かに、とんでもないこと言いやがったな。


「返せ!俺がお前を励まそうとして言ったカッコいい台詞と、俺の同情心を返せ!」


 つーか今、こいつ平坦な口調のまま何の臆面もなく『この爺』って言ったな。それでいいのか神官として。


「えーと、『お前がゴディタニナ様を慕っているからと言って何もかもを理解する必要なんてないし、いずれお前がいろいろなことを経験して理解できるようになる日も来る』だったかしら?」

「うん、暗記してそのまま答えろって意味でもねえし、それだったら同情心も返せ!」

「凡庸で雑なツッコミしかできないのね、あらあら可哀想に」

「同情って上から目線って意味じゃねえからな!」


 そう返すと、彼女は俺の方を見ていた視線を下げて再び口を開く。

 表情の硬さが取れたのはいいことだが、コイツはっちゃけすぎだろ。


「じゃあ、凡庸かつ雑に突っ込むことしかできないのね、あらあら可哀想なこと」

「上から目線は『視線が高い』とかそういう意味じゃねえ!そしてほんのりと下ネタ臭を出すな!」


 ぜえぜえ、はあはあ。

 やばい、俺は何を勘違いしていた。こいつは天然じゃない。ボケキャラだ。

 それもただならぬボケキャラだ。躊躇なく上司をネタにしやがった。コイツ……、出来るっ。

 いや、そんなことができたところで微塵もありがたくないのだが……。


「ていうかお前、結構よくしゃべるうえに明るい性格だったんだな。ゴディタニナ様の前だと真面目な神官って感じだったから驚いたわ」

「そう、私ってこんな感じなのよ……。だから神官仲間からも、ね」


 と、神妙な表情を作って見せるユノ。

 だが、俺はもうその手にはかからない。


「大方それもおふざけだろう?『受けが良すぎて困る』とかそんなところだろう?」

「いえ、うちの神官たちはむしろイケイケよ。どちらかと言うと彼らも積極的にネタを振って来るわ」


 と、彼女は予想通りすぐに表情を崩した。


「クレールの神職業界はどうなっていやがる!」

「まあ、正直神官の衣装がメイド服な時点でお察しよね」


 そう言いつつ、自分のスカートの端を持ち上げて挨拶のポーズをとるユノ。


「うん、その服がなんかおかしいって自覚有ったんだ!」


 そして異世界でも『メイド服』で通るのね。


「ええ、かつて『地球』から召喚された勇者様が広めた神聖なる衣装(笑)よ」


 うん、予想通りだがやっぱ日本人のせいか。となると出自を知っていてそれを法衣に採用したゴディタニナの性癖に若干の心配が出る。が、それよりも


「(笑)まで広めたのか日本人!?と言うかさっきのシリアスムードも嘘だな!」


 ぜって―こいつ地元の神殿でも砕けた態度だろ。


「ええ、もちろん!」

「元気よくうなずくんじゃねえ!」


 ちったあ悪びれろ!ぜえはあ、ぜえはあ。


「息がつらそうね、風邪かしら?それとも喘息?」

「アンタのせいだよ!あるいは婉曲的にはかつて召喚された勇者のせいだよ!」

「まあ、冗談はともかく」

「その言葉は万能じゃないからな!」

「じゃあ、私の世界の割と深刻な文化の在り方についての論争はともかく」


 そう言って急にボーっと気の抜けた表情を真面目に作り変える彼女。


「うん、確かに神殿がお笑い御殿と化しているのは深刻な問題……」


 けれどそれすらネタと思って勢いよく皮肉を返そうとした俺は妙に冷たく見える彼女の表情に怖気を感じ声を震わせる。


「どうした?」

「いや、何でもない。ちょっとボケ損ねちゃったかも」


 そう言って濁すようにしたユノに、俺は違和感を感じたがふと腕時計を確認して慌てた。


「って、いけねえ!もう三十分たってやがる」


 駅まではそう遠くないとは言え、券の買い替えなんかも考えれば少々急がねばならない時間だ。


「ユノ、すまねえが走るぞ!あまり時間がない」


 俺が振り向いた時には彼女はさっきまでのようなボンヤリフェイスに戻っており、焦っていた俺は気にすることもなくプラスチックごみの袋を握りなおした。


「そう?あんまり足は早くないのだけど……。おぶってくれたりしない?」

「残念ながら俺は魔法がメインの護衛なんでね。筋肉は期待しないでくれ」


 それはそれとして、こいつの扱いがそろそろわかってきた。皮肉で返せばきっとうまく……


「使えないわねえ」


 いかねえ!


「唐突な上から目線!?時間が足りないのはお前のボケのせいでもあるからな、少なからず!」


 流石にふざけていられないと理解したユノがスカートのすそを持ち上げるアニメなどでしか見たことのない例の走り方(お姫様走りって言うのかな?)で走ってくれたおかげで、本来の電車の出発時間前になんとか駅につき、切符を後の時間にずらすことができた。

2/06追記。すみません。自分で読んでてあまりにも面白くなさすぎるので、最初っから書き直しました。旧バージョンは一応カクヨムの方に残しておきます。登場人物はほとんど変わらないのですが、ユノがやって来る部分とかいろいろ内容変わります。明後日くらいまでに五六話まとめて内容入れ替えるので、読者の方にはご迷惑おかけします。

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