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俺はニートでいたいのに  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第一章:剣姫の婿取り
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一番目のリザルトと二番目への布石


 一年連続決闘勝負の一番目、じゃんけん。

 三回勝負のこの決闘は三勝一敗で俺の勝利となった。


 まぁ、これで負けているようじゃ話にならない。

 一度でも負けたらその後の決闘内容は、一対一の武術対決になるだろうからね。


 それに対する秘策も用意してあるけど、絶対じゃない。

 その秘策でイリスに勝利するより、イリスの知らないゲームで、あらゆる手を使って勝つ方が確率が高い。


「という訳でイリス。明日から、午前中は俺と行動を共にして貰うぞ」


「く……まぁいいわ。領内で何か色々やってるみたいだし、それをじっくり見せてもらうとするわ」


「いや、明日からは午前中は屋敷の中で過ごすつもりだけど?」


「ええ!?」


 土造りも種蒔きももう終わってるんだよな。

 結果が出るのは少なくとも数ヶ月先だ。


 実家にいた頃みたいに、午前中をトレーニングにあてると、間違いなくイリスに主導権を握られちゃうからな。

 俺のヌルいトレーニングに付き合わせる訳にはいかなし、イリスのトレーニングに付き合ったら間違いなく死ねる。


「まぁ、時々は領内の視察に出ると思うから」


「むぅ……」


 俺の言葉に唇を尖らせるイリスが可愛い。


「さて、次の決闘内容と、要求を伝えておこうか」


「私は当然、婚約の破棄よ」


「じゃあ、毎朝起こして貰おうかな」


「なっ……!?」


 真っ赤になって狼狽えるイリス。

 流石、初恋を認識できないほど初心なだけはある。


「巡回に出てたりして、物理的に起こせない時はいいよ」


「そ、そう……?」


「あ、俺が負けるまではそれまでに要求したもの全ては有効だから、月に二十日間分は午前中、俺と一緒にいろよ?」


「う……」


 大方、巡回を多く入れて領地から離れるつもりだったんだろう。

 流石に、午前中俺と一緒にいられる状況で、物理的に俺を起こせないなんて事はないからな。


「い、いいわよ、まだ、そのくらいなら……」


 そうは言うけど嫌そうだ。

 まぁ、決闘で勝ったら拒否権なんてないんだけどな。


「それで、決闘内容は?」


「ああ、決闘内容は、リバーシだ!」




 リバーシは俺が前世の同じゲームを元に作ったボードゲームだ。

 そのルールのシンプルさと、それでいながら奥深いゲーム性に、領地で爆発的に売れた。


 この国における盤上遊戯は、チェスもどきの軍学棋と、双六と陣取り合戦を混ぜたような混盤だった。

 それらも面白いんだけど、ルールが少々難解なせいか、基本的に上流階級の遊びってイメージが強い。


 まぁ、そんな所に遊びやすいゲームが登場したら、庶民に人気が出るよね。

 商人達にも好評で、領外へも輸出されてる筈だから、ソルディーク家にも伝わってる可能性はあった。


 イリスは知らなかったけどな。


 リバーシを購入する程の余裕もないらしい。


 幾つもの領地を経る事で、うちで販売されてるのに比べて三倍くらいの値段になってるから仕方ないのかもしれないけどね。


「……とまぁ、これがリバーシのルールと実際に遊んでみた感じな訳だけど」


「ふぅん、割と簡単なのね」


 俺とアリーシャの勝負を見ていたイリスがそう感想を漏らす。

 勿論、次の決闘の伏線のためにリバーシにおける重要な要素は説明してない。


 軍学棋は得意らしいから、ある程度は気付くだろうけど。

 けれどこればっかりは経験の差が大きいからな。

 五歳で開発してそれから八年近く、アリーシャと戦い続けた俺には敵うまい。


 まぁ、一度ルールを把握してるかどうかの確認と称して、イリスの強さを確認しておこうとは思ってるけれど。


 じゃんけんの時もそうだったけれど、勝負はもう始まってるからな。


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