兄と弟のやおい談義
「なあ、やおいって何かわかる?」
「わかりますが、何故?」
「いや、よそのクラスの女子が、おれにやおいが似合いそうとか言ってて、意味をきいても教えてくれなかったんだ」
「なるほど、その光景が目に浮かぶようです。やおいというのはね、やめて・おしりが・いたいの、の略です」
「なんで尻が痛いんだ?」
「それは……一方通行を逆走したが故の悲劇、いやむしろ惨劇と言うべきてしょうか」
「なるほど、交通ルールを守らなかったから、事故で尻をぶつけたってことか」
「いえ、お尻をぶつけるというよりは、お尻にぶつけるというか、打ち付けるというか……」
「……ええと、追突事故のことをオカマをほるっていうけど、そんな感じ?」
「そう、まさにそれですよ! 素晴らしい。やはり僕の弟は天才……!」
「なんだよ、兄ちゃんにほめられると照れるな。つまり、やおいってのは、オカマをほられて尻が痛い、ってことなんだな」
「その通りです。思うにその子は、君がうっかりさんだから、準備不足でお尻を怪我するんじゃないかと心配してくれたんですね」
「いい子だな。次会ったらお礼いわないと」
「そうですね。その時はぜひ、『おれは身も心も尻もタフでナイスなガイだから、やおいくらい余裕だぜ!』と言ってあげてください。きっと、目をキラキラさせてよろこんでくれますよ」