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「訪問者」  作者: 高橋 慶丞
9/10

9.

9.

朝、ぐぉーーーん、とした久しぶりの宿酔、重い、実に重い。体が動かない、ぎゅーーーん、と、とりあえず、また眠ってられると寝返りをしようとしたら、ぐっと全身が硬く硬すぎ、動く首だけで頭を起こし、確かめたら、全身が自転車のチューブみたいなというか自転車のチューブでぐるぐる巻きにされていた。しまった呑み過ぎた、俺は阿保だ、朝島ゆだめが女だからと、飾り皿様の下品な扱いに、心的な痛恨の一撃により、勝利仕切った感に酔いしれ、なめていた。もう2度と訪れることは無いと確信仕切った俺は、男尊女卑なる阿保だ。自分はもうあかんことが潜在的に受け入れてしまっており、これから、餓死、枯死の責め苦により、38年の人生に巻くを閉じるのかと思い。涙が視界に溜まり、プールの底にいるみたいだと思った。両手が動くなら十字を切りたかった。俺は朝島が一体何者なのかは結局、全く思い当たら無い。せめて、こんな死に向かわせる朝島の正体だけでも知りたかった。2日酔いにより、胃の中のものが逆流の予感がし、自分は首で頭を横にし、チューブ芋虫の身体が胃の強い反射でくの字にひん曲がりながら吐いた、何と自分の浅ましさ、しかし、もうこの世とも、もう長くなかろうと失恋による超幻覚から休みを貰い、その休みにより自分宅には誰も来週月曜迄は誰も訪れる事は無いだろう。自分の死を引き寄せたのは自分自身である。自分はやや悟りとも言える心の平安を心に納め、南無。と口にした。自分が最後に体験するのは自らの浅ましさ故に吐いたゲロの匂いだ。お似合いだ。眠ってしまうことにし眼を閉じた。

どの位眠ったのかは分からない、ぼんやりした頭がはっきりとし、人の気配に怖くなった。台所に誰かいるッ、朝島に違いない、ヤバイ、飾り皿様への大小便の刑、同じこと以上、鬼神化した朝島からの超暴力折檻の後に俺は死ぬ、自然淘汰の悟りの平安は、霧消、自分は唯恐怖するしか無かった。朝島がこちらに来る、いきなり包丁とかだったりとか、気が狂うとは、こんなにも、日常次元より遥か先の地域だったとはッ、浅マシヤ、自分、浅マシヤ、朝島は今日は金色の全身タイツだった。視覚確保の2つだけの穴、手ぶらだった。しかし恐怖は絶頂のまま。

朝島は行き届いた仕草で膝をチューブ芋虫の自分の横に両膝をつき、

「吐いたんですね、ちょっと待ってて下さい。今綺麗にしますから」

自分は、あまりの予期の真逆のカウンターの急ブレーキに失神した。多分脱糞、小便は確実に漏らしただろう。

暫くし、意識が戻ると、自転車チューブが楽になっており、自分の体から良い香りの石鹸みたいな香りがする、敷布団も新しくなっており、足元には新品の掛け布団がある。

「気付いたんですね、ほっとしました。ごめんなさい少しやり過ぎました。」

自分は何も言えない。口の中も爽やかになっていた。

「私、介護職に就いてまして、あんまりだったので全部綺麗にさせていただきました。」

「、、、」

口調、所作のあまりに上品な香り立つ雰囲気に、誰、だとか、自分みたいなものが口をきいてはいけないくらいだと思った。

「やっとあなたの近くにいれます。しばらくはこういさせて下さい」

自分は阿保の子の様になってしまい、はい、と言い。何にも言えないままでいた。終始自分の盲目的暴走により事が拗れたんだと、思った。自分は言いかけ、言葉に出来ず、


「大丈夫です。いま盥でハイターに浸けてありますから、」

「ごめん、」

「しょうがないですよ、私も今こんな格好でお邪魔してるんですから、」

「はい」

「お昼は召し上がれそうですか?」

「すみません、軽いものなら、」

「じゃあ雑炊はいかがですか?」

「本当に、ごめんなさい」

「あやまらないで下さい。大丈夫です」


「ちょっと着替えますね、」

朝島さんは襖を閉め、暫くし、買物に行って来ますね〜と出て行った。自分はもう2度戻らないだろうことを感じた。それでいいと思った。このまま、浅ましい自分への恥を最後の自分の感情と、命が終わる事にしたかった。ごめん、と思った。ありがとうと思った。


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