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「訪問者」  作者: 高橋 慶丞
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5.

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掛け布団の無い敷布団に横になりタバコに火を付け、次の攻撃を待つというかもう攻撃はやはりどちらかと言うと無い方が良い、明日は仕事なので否が応にも家を長時間空けなければならず、それはそれはやはり1セット目の攻撃力はハンパ無かった。吐いてしまったのだから、しかし多分朝島はわざわざあんな飾り皿をどの位の時間を費やして作ったのかははっきりとは分からないが一撃必殺を掲げ、制作に耽ったことが浮かび上がる。ふと何かしら飾り皿に次なる攻撃なりの予告みたいなメッセージなどが在るのではと、あの凝りよう、五七五だけの為では無い気がし、起き上がり、台所の水切り籠の飾り皿を持って来て畳に座り、色々と眺め直して見た。裏返しにし釉薬の掛かって無い台座周辺の素焼きになっている部分には四角の中に朝島と印が彫られている、名工作を思わせる佇まいをまとめている。裏側の釉薬のある艶があるぐるりをしっかりと見てみると釉薬の溶けに覆われて判然としないが1センチ角内に収まるくらいの文字らしきものを発見した。皿の角度を変え光の具合から見えた字は、「大好き」だった。気持ち悪かった。他にも2つあり、それぞれ、「愛してる」「貴方」だった。気持ち悪いがやはり変質的な感じで自分の狂的イメージ内もしくはそれ以下の枠内のメッセージだったので、自分は乱れず、俺なら「ぽりぽり食感」とか「寝顔ラヴ」とかイマジネーションを相手に膨らませ追い込むけどな、とちょっと俺の方が上手いだろと無意味な有利感に心は落ち着いていた。しかし、美しい飾り皿である、と一瞬見惚れ嫌になりまた水切り籠に皿を戻した。

日常は普通にしてれば唯過ぎて行くだけだが、こう変に待ってるみたいな構えてるみたいな、だと時間が経つのが長いなと思うが、外出などし無駄な隙を作りたくは無く、暇さが募った。明日の予定を確認しようと思い手帳を開いてみた。8/22月曜、午前外回り営業、午後外回り営業、まあ特にと主な毎日の予定と変わらず、社用車で得意先なりからの移動が主になる。いつもと変わらず過ごすまでとと思い、手帳を閉じる。自分は以前、文章を書くことを仕事にしていた。主に詩を書いて来た。自分はアルコールによる酩酊状態からの詩作が多く、気付けば深刻なアルコール中毒に陥り、しかしそのままの暮らしを続け、詩を自分の主な生業としていた為に詩世界に耽溺しきれるアルコールは断つことは考えられず、しかし体調は悪化、体調の悪化とその原因によるアルコールは自分の命に関わるものになり、詩作イコール、アルコールだった自分の詩の魔物は唯単にアルコールによるものだったんだと冷め、恥じ入り、詩作からは遠ざかった。最近になり日々の取り留めの無い日常感覚からの詩みたいなものを日記のように綴ってはいる。

急に腹が痛くなり、便所に駆け込む、駆け込むその瞬間に窓の外から、「ヤッピーッ‼︎」と聞こえる、用を済ませながら、まさかな、と思い、その後、子供等がじゃれあう声が続き、ほっとした。やはり気が立ってる。


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