10.
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涙目のプールの底、自分は初めて愛というものを感じていた。自分が恥ずかしく、恥ずかしく、ずっとアルコールに浸り魔物との意識交流のみを自分の在り方と決め込み、振り返れば、人の気持ちなど考えず、故に独りを選び抜き、乱れる精神を更にアルコールで煽り、悪化していく様すら、生々しく抉り取り、それは確かに詩的に評価はされたが、人として間違った道だった。
今、ちゃんと朝島さんと向き合おうと、静かな優しい気持ちが胸に柔らかく満ちた。朝島さんは帰って来ると思えた。
自分は思い出していた。自分はあの日、先々週の土曜の夜、キッチンなる店構えの泥酔の帰り道、電柱に立ち小便をしながらバランスを崩し、倒れ、股間を出したまま、半分何も分からんようになってしまっていた。星が綺麗で、詩から離れる最後に書いた、星の歌、という詩を朗読していた。
我の胸、叩き壊れ、
壊した者などどうでもいい
自己の罪なりと、仕舞えばいい、
したら闇は唯、深まるばかり、
初めて言葉を覚えた痛み、
その痛みの儘に走ればいい、
何処までも、何処までも、
そしたら罪は深まるばかり、
闇と罪が握手しました。
いびつな儘に突っ立て、
聞こえなくなった耳に、
最後に星は歌います、
命の限りに歌います、
自分の命など、
どうでもいいと、
見えない眼、
聞こえない耳に、
一生懸命、歌います、
それは愛、
一番悲しい、
それは愛、
永遠と癒えない、
痛みの前で、
永遠と明けない、
闇の中、
誰の罪でもないのさなと、
月は独りで
泣いている、
下半身を丸出しで小便に濡れた自分を朝島さんは抱きしめてくれ、その後、肩を貸してくれ、自宅まで自分を運んでくれた。その時に自分は自宅アパートの相鍵を、泥酔しながら、これあげるわな、と、無理に渡したのだった。




