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良いお天気で自分は車が1ヶ月前に自損事故で大破し最近はずっと自転車である。事故後の車は横転し破壊感は大分なものだったが体は全くの無傷でまあラッキーだった。
日曜、自転車で自宅近隣界隈を宛ても無くタバコをふかしながらふらふらとしてると、自宅から1キロくらいの所の電柱に見覚えのあるものが捨ててあり、一瞬何故に?とドキリとし、これはきちんと確かめ無くてはと思い電柱に打ち捨てられている掛け布団を、まさかとは思い、まさかな自分のでは無いだろうとは思っていたが恐る恐る、確かめてみた。
鼻血の汚れで自分の物であるのは間違いなかった。背筋が寒くなった。何故、掛け布団などどうでもいいものがわざわざ盗まれ捨てられてる奇妙さに、その行動に物凄いネガティヴなものを感じ、寒くなった。一瞬、気持ちが点みたいになり止まりそうになったが、何か自分に対して危険なものを感じ、感情が暴力的に変化し、布団はそのままに自宅へ自転車をぶっ飛ばした。
2分くらいかでアパートに着き荒く自転車を止め、1階入り口から一番奥の自分の部屋のドアを開けた。鍵がかかっていなかった。嫌な感じがした。自分は鍵はいつもドア周辺に隠して置く習慣はなかった。中に誰かいるのか?と過ぎり、格闘を予感した自分は、全身に瞬発力を準備した。しかし迷った。ドアを叩くか、鍵を開けて中に入るか、鍵を開けて入る事にした。部屋の中には誰もいなかった。しかしやはり、掛け布団がなかった。とりあえず、窃盗には間違いない、金品類、というか卓袱台の上の裸の5万円の札がそのままだった。嫌な感じがした。布団のみを何故、その奇特さに怖さを感じた。自分はもう10年、誰にも迷惑やトラブルを一切、些細な事ですら一切ないしっかりとした自信があった。誰かの遺恨、怨みなど思い当たらない、分からない、分からないことは恐い事だった。
ピンポーンと呼鈴がなり、心臓がドッと鳴った。息を静める。上昇していた血の気は今は一気に引いて心が弱い。頭もひ弱くなってる。正体不明の行動原理のイカレた奴に今は負けそうだった。動悸のする心臓のまま気配を消して、訪問者が帰るのを待つ、もう一度ピンポーンが鳴る、自分は悪い予感がした。まさか留守を確かめ、何らかの方法で手に入れた自分宅の鍵で、布団を持ち出した犯人がまた何か訳の分からぬ事をしに入って来る、入って来るなら、命を押し切り、自分は戦う準備として立ち上がった。
「宅配便すー、いらっしゃいますかー?」
安心した、身体から蒸気が抜けた気がした。
「はーい、ただいま、」
とドア開けた。やはり宅配便業者だった。
「花多さんでお間違いありませんか?」
はい、と宅配便業者のボールペンを借りサインしながら、誰だ?と思った。差出人の名、朝島棐、?何て読むのか、さっきの事があったばかりで、嫌な予感しかなかった。どうも、とドアを閉め鍵はかけ、荷物を外見から出来るだけ確認した。無地の片手で持てるサイズのダンボール箱でしかし結構な重さがあり、振ってみても音も無く、上手く梱包されてる感じがした。畳に座り、クラフトテープを爪で力を入れてなぞり、ダンボール箱を開けた。プチプチのシートで隙間が出来ないように何かをきちんと包み込んであり少し透けて茶系の色が見える、何となく陶器かなと思った。朝島棐、棐?暫く頭を巡らすが朝島という人間は思い当たらない。棐、も読めない。全くの不明感に気持ち悪さがあり、プチプチシートから中の物を取り出す気になれない。しかし確認しなければならないし、間違いなく宛名も自分の珍しい苗字と名前の花多砂良、だったし開ける事にした。茶系の色の飾り皿だと思って、恐くなった。皿を釜で焼く前に粘土を縒って紐状にした物で字がわざわざ書いてあるのである。「掛け布団、さっきはごめんね、またこんど。」と、全身に鳥肌が立った。気持ち悪さに、手から離してしまい畳の上に皿は落ちた。自分は尋常じゃない変質的狂気に、一瞬で青くなり、ぐったりとしてしまった。五七五、またこんど。またこんど、、便所に走り吐いてしまった。




