第2回 馬鹿が出発した。
2013年10月13日・日曜日
午前0時。
愛知県豊橋市。
平松の仕事が終わるのを待ち、迎えに行く佐野。
月が妙に赤い夜だった。
3人が合流し、改めて佐野家前から出発したのが午前1時。
此処からいよいよ始まるのである。
意気揚々と走り出した3人は、しかし17分後の1時17分、早くも豊川市のコンビニで休憩に入る。
朝「こ、こまめに休憩しないと!」
佐「じ、時間はたっぷりあるし!」
平「あ、焦っちゃだめなんだよ!」
ここで改めて出発。まずは音羽インターから東名高速に乗る。
快調に走るブリット。
車内でも会話が弾むが、何を喋ったのかイマイチ覚えていない。
会えばくだらない話ばかりしている3人なので、まあそんなに大した話はしていない。
今回は大した波乱も起きないし、難しい道のりでもないから地図見てナビする必要もなかろう(佐野は毎回ナビ担当)と、この時誰もが思っていた。
しかしてこの先、3人は本当に地獄を見るのである。
2時45分に御在所SAにて休憩。
深夜だというのに賑やかい。3連休だし、車中泊の人も多いだろう。
用足しをして、無料のあったかいお茶を入れるとあっつくて飲めず。
3人でふーふー吹きながら冷まして飲む。
伊勢湾岸から東名阪、そして亀山から新名神。
琵琶湖一周をした時分には、まだ新名神なんて無かったんだよなあ。
歳食うわけだよ、なんて話しているが、内心佐野は「老けた気になったらイカンなあ」とも思っていた。
この夜ずっと寝ずにしゃべり続ける腹積もりだった。
毎回、ナビの必要性から佐野は寝ないで喋り続け、たまに地図を見ては案内を間違えるのが仕事であった。今回は道のりも簡単だし何より目的地が神話レベルで有名な場所なのだ。出雲市内に入るまで、下手をしたら高速を降りてもナビの必要なんてないかも知れない。
じゃあどうするか。
ひたすら喋ってやれ。
どこまで寝ずにしゃべれるか。
佐野君の密かな挑戦が(勝手に)始まった。
運転は朝倉。平松は後部座席でおやすみなさい。
草津ジャンクションから名神高速に戻り、桂川SAで三度休憩。
朝4時過ぎだというのになぜかジャージ姿の女子生徒たちがわらわら。
引率の教諭らしき人物も見える。何処かに遠征するのだろうか。
吹田ジャンクションからは、いよいよ中国自動車道。
平松は、前に一度だか二度通ったらしい。佐野と朝倉には未知の領域だ。
10月、神有月の出雲はカミサマだらけで人はまばらな快適日帰り旅行になるのか。
それとも神も仏も身も蓋もない破廉恥紀行になるのか。
まさに神のみぞ知…いや、まあ、わかってるわな、みんな。な。
な!?
つづく。