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第1回 馬鹿が再発した。

高校生の頃に知り合った佐野、朝倉、平松と言うこの3名には、ある共通点があった。

それは

「意味もなく遠出するのが好き」

という、何の生産性も革新性も青春の握り拳もない趣味を持っているという事だった。


そんな馬鹿3名もやがてめでたく成人し、当然の如く自動車免許を取得してしまい、それぞれがマイカーを持つに至った。考えることは二つ。

・どんな女性ひとを乗せるか。

・何処まで行けるか。

これである。


そして3人は折を見ては走り出した。

始めは琵琶湖一周。次は石川県、四国上陸、能登半島一周と来て一時休止。

それぞれの生活に集中して、たまに遊ぶことはあっても、以前のような身軽さで旅に出る事は無くなっていた。


そんな中で、顔を合わせれば「そろそろ行こう」と言い続けて早数年。

ようやくチャンスがやって来た。


これを逃したら次は無いかもしれない!

佐野と平松は休暇を勝ち取り、朝倉君は念入りに自動車を磨いた。


何故か毎回、朝倉君の所有する車で出かけるのが通例になっているのだ。

以前は佐野が日産マーチ、平松がスズキのワゴンR、そして朝倉がスバルのレガシィに乗ってたから、必然的に朝倉の車で出かけることになった。

だが今は佐野がスパーダ、平松がボクシィと広々ゆったり自動車を所有していて、朝倉君はかっこいいトヨタのブリット。


自然と今回使用する車種もスパーダかボクシーでいいじゃん(いいじゃん)と、みんなが思っていた。


だがしかし、何故か今回も朝倉君のステーションワゴンで、という事で話がまとまってしまった(なぜなのか)。


出発は10月13日の午前1時。

目的地は、出雲大社。



そもそも、今回の旅に出るにあたって決めたことはたった二つ。

・目的地は出雲大社

・車はブリット。

これだけである。あとは大まかな集合時間と場所、そして吹田ジャンクションから中国自動車道に乗って、岡山から鳥取に向かい、山陰道で出雲大社まで行くという事を直前になってさらっと話し、いざ集合。


えっ?宿?

そんなものはない。日帰りである。

確かに四国、能登半島の時は宿を取った。四国では散々なホテルに泊まってしまい、逆に金沢では分不相応な高級ホテルで浮きまくるという体たらく。

しかしながら今回は日帰りである。本来ならもっと反対されたり喧嘩になったっておかしくないのだが、なぜかこんなトンデモ法案が可決されてしまった。

理由は二つ。

・平松君は月曜日も仕事だから。

・宿代が浮くから。


宿無し、計画無し、この行き当たりばったり加減が、後に悲劇を生むことになる。

俺たちの旅が始まった。

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