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次元の最果で綴る人生~邪魔者⇒葬る~   作者: URU
大海の覇竜と赤の姫
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リラの計画、其々の思惑

注:久々に血なまぐさい表現が入ります。

 一方その頃……シルベイクァン別宅の食堂に、居残った全員が集まっていた。


「……で、やろうと思うんだけど~、ど~かな、おじーちゃん」

「ふむ、周知させるにはこの上なく最適だの。……収穫量がいい意味で頭おかしいことになっとるし、問題あるまい。理由はどうにもわからんが、やれない理由はなくなった」


 目的は、ナナクサとユーディリアの結婚式をサプライズでやろうという、リラの発案を具体化させる為の話し合いだ。


 一般には両家の顔合わせ──所謂結納に近いものだけが行われ、結婚式・披露宴は、過去に歴代魔王・領主子息の婚礼というケースでのみ行われてきた。先代魔王がホモだったため、ウルラントでは実に100年ぶり以上になる結婚式・披露宴となる。故に実際に見たことがある住民は殆どいない、シルベイクァン、モント、アレリアの3人を除いて。

 しかしながら、挙式のシーンを含めるおとぎ話は少なくないため、「いつか私もしたいな」と、幼少期に憧れる者も少なくはない。


 リラの発案をウルラントまるごと巻き込んでやろうという、とんでも方向へ舵を切ったのがシルベイクァンだ。参列者一万、前代未聞の大披露宴である。


「旦那、そう言いますがね、酒が全く足りねぇですよ?」


 マイルズの言うとおり、問題は酒だ。こちらの披露宴はそもそも、料理なしで美味い酒がメインなのだ。食に対して無頓着だった歴史が、料理より酒を取った格好だ。


「なに、儂のツテを使えば、大陸中から集められる。砂糖の在庫を吐き出すことにもなろうが、構うことはなかろう」


 シルベイクァンはアルガードス没後に凶事ばかり続いたことを憂いでいた。何か明るいニュースが必要だ、と。心の豊かさとでも言うべきか。肉なし、穀物値上がりに、アラストル。それらは住民へ少なくない心労を与えていた。

 ナナクサに料理を作らせればいいのだろうが、そんなことを頼めるはずもない。労力も予算も計り知れないだろう。それ以前に、いかに友であろうとも本気で殺されかねない。一方的都合で英雄に祭り上げた負い目から、邸宅1件分の敷地を治外法権としたうえで譲渡したのだが、それでも「次は無いぞ?」と釘を刺されている。あえてはっきりと口に出すことは無いが、内心ではそれほどまでに不愉快だったのだ。


 ではどうすればいいか?そこに降ってきたのがリラのサプライズ結婚式計画だった。それに、目的はもうひとつ。


(あやつが多妻を望まんことを周知させんと、収束せんからのぅ……)


 シルベイクァンの元に、今日この日までに各地領主から11件の見合い話が持ち込まれていた。自領リューリンゲル以外の全てからである。シルベイクァンとの、ではない。シルベイクァン経由でナナクサに、である。相手はいずれも領主の次女三女、あるいはその縁戚。魂胆見え見えだ。


 ナナクサは調理技術を書き記し売却した。持ち得る技術全てではないにしろ、それらは一朝一夕で会得できるものではない。料理とは生涯の修行なのだ。


 しかし、技術を購入した領主にとって、そんな事は知ったことではない。彼らは料理人ではないのだから。食す側・雇用する側にとって、雇用された料理人のコンディションは関係ない。納得できるものを提供できるかが重要なのだ。彼らが求めるのは、ナナクサが提供した水準の料理。たかが1ヶ月で、食に通じた者が重ねた20年の研鑽の結果と同等のモノが得られるわけがない。




 ならいっそ引きこんでしまおう。




 そういう結論に達するのは自明の理だった。手っ取り早く平和的に確実に取り込むには、いっそのこと一介の料理人として雇うのではなく、身内にしてしまえばいい、と。


 彼らはごぞって血縁者の中で跡継ぎに無縁の、それでいて美女を選び、シルベイクァン宛に一筆したためた。彼女らは本来、領主間の繋がりを後の世代に繋げるための──平たく言ってしまえば政略結婚が運命づけられていた。ごく一部を除いて。


 これまた当たり前のことだが、相手の男が美男子ぞろいというわけではなく、選択の主導権は男側にあった。政略結婚故に仕方がないというあきらめも彼女らにはあった。が、ここでイレギュラーが、ナナクサが現れた。


 色男・美男子というほどでもないが、それなりに顔立ちは整っており、全身がしなやかな筋肉で覆われ、それでいて脳筋ではない。実際に会った領主からの、正確性の高い生の情報だ。彼女らにとってナナクサは間違いなく当たり物件だ。

 故に、降って沸いた縁談話に乗らない理由はなかった。……ナナクサがユーディリアと交際中であったとを、主流である一夫多妻を望まない事も知らずに。もう既に結婚していることも知らずに。ナナクサが激怒し、一夜戦争の英雄全員がそれに呼応すれば、都市すらも物理的に消滅させることができることも知らず。無知とは罪なものである。


 アラストルの件は各々子飼いの密偵によって各領主へ仔細漏らさず伝わった。だが、荒唐無稽な内容を彼らは馬鹿正直に信じるはずがなかった。一介の料理人が少数精鋭の超戦力を保有し、自身もまた天災と揶揄できる程の術を扱えるなど、まともな頭が付いているならば誇張を疑う内容だ。「寝言は寝て言え」と灰皿をぶん投げてもおかしくはない。

 その彼らが、行商人の噂話、吟遊詩人の詩から、報告が事実であると認識するのはまだ先の話である。


「オレたちは何すればいいんダ?」

「今はやることないよ~。礼服とかドレスとかは私が縫うから~」

「お主らはまだ普段通りにしておれば良いだろう。……いや、それとなく噂を流してくれんか。近々、英雄ナナクサとユーディリアの婚礼を執り行う、と。精鋭兵の面々にでも流せば、あとは勝手に広がるじゃろ」

「成程……委細承知した」

「わかっタ」




 その夜……




 月のない暗闇の夜、シルベイクァン別宅の庭を5つの影が走った。全員が頭の先から爪先まで漆黒の装束を纏い、腰には黒塗の鞘に収まった短剣。闇夜と同化しているその出で立ちは、紛う事無くニンジャだ。昼間にその格好で出歩けば、言うまでもなく確実に不審者として捕まるだろう。


 リーダーである先頭ニンジャは一階に、偶然にも空いている窓を発見。ハンドサインで『続け』と指示を出し、自身を含む全員が一切の音もなく窓から侵入。その部屋の主、マイルズは、パンツ一丁で腹を出し、イビキをかいて眠っていた。


 この日は妙に蒸し暑い夜だった。あまりの寝苦しさに耐えられなくなったマイルズは、窓を解放して眠りについたのだ。万が一にも泥棒が入れば、自分の耳と鼻で気づくと過信して。


 彼らニンジャは過酷な訓練により物音は勿論の事、自身の精神状態を一定に保つことで、心音も極小まで抑えている。が、臭気はそうはいかない。人それぞれに体臭があるように、生活拠点である家もまた、人同様にそれぞれ匂いは異なるのだ。そんな異なる匂いが充満する閉塞空間で、嗅ぎなれない匂いが漂えば致命的と言える。


 故に彼らは普段から徹底して肉を食わず、その上で消臭・制汗作用を持つ薬草をすり潰したて混ぜた薬水を、何十と繰り返し頭から被るのだ。耳や鼻が効く獣人種相手には、そこまで徹底しなければ身を隠せないのである。

 しかしそれも数刻と持たない。生きる限り発汗は避けられないのだから。完全に押さえ込むことは実質不可能。時間をかければ滲む汗の臭いで気づかれかねない。故に、彼らの仕事は迅速に、一切の無駄なく行われる。彼らにとっての最大の障害は時間と施錠だ。無防備のマイルズを殺すことなど数秒で事足りるが、その数秒ですら彼らは惜しい。


 ハンドサインで『無視して二階、要人確保』と送り、音もなく扉を開けて廊下へと出るニンジャ達。彼らの目的はナナクサ、およびユーディリアの確保である。クロロホルムめいた眠り薬を忍ばせているが、[病毒無効]の特性を有するナナクサには何の意味もないことを彼らは知らない。


 依頼人からの情報により、屋敷の間取り図は全員の頭の中に記憶されている。また、朝方のうちに通行人を装い外から要人の姿が見える部屋を確認。迷うはずがなかった。まさか薬水を被っている間に、要人が揃って旅行に出かけたなどとは、夢にも思うまい。

 アラストルとの戦いからそれなりの日数が過ぎたとは言え、人心が完全に安定しているとは言えない。少なくとも年内は動けない──リーダーはそう睨んでいたが、今回に限っては節穴だった……。


 階段を駆け上がり、二階廊下へと出る。目的の部屋まで、障害は部屋の鍵だけだ。

 ごく普通の鍵ならば障害にすらならないだろう。だがこの屋敷の鍵に限ってはその限りではない。設計者があのズィローマなのだ。緻密な金属細工技術を以って作られたその鍵は、この世界の技術水準からすればオーパーツの領域だ。成否は施錠解除にかかっているといってもいい。錠の次第によっては、退却も選択肢にあった。


「っ!?」


 リーダーが足を止めた。後続のニンジャは予想外の行動に、衝突寸前のところで停止する。そろりと、先頭ニンジャの視線の先をみる後続ニンジャ達。その暗闇の先に、黒のネグリジェを着た幼女が立っていた。寝ぼけ眼の、ふよふよとした夢心地の空気をまとっている。ポニーテールに結った髪の先は、螺旋のように巻かれていた。


(髪を結ったまま?眠っていなかったのか?)


 リーダーのすぐ後ろのニンジャの脳裏に違和感が過る。直後、リーダーの様子がおかしいことに、後続全員が気づいた。リーダーは小刻みに震え、べっとりと汗で装束を濡らしていた。薬水が全く意味をなしていない。この異常事態にニンジャ全員が動揺した。

 全員の視線が幼女に集約される。視線の先の幼女の姿が揺らいだ。


「んみゅ~……ん。ドーモ、ニンジャ=サン。リラです」

「!!?ド、ドーモ。リラ=サン。ゴニンジャです」


 ゴニンジャ、それが彼らのコードネームだ。


 とある領地で諜報、暗殺、誘拐等の裏の仕事を引受け、絶対に成功させるという、裏仕事のプロフェッショナル。彼らの存在はウィルゲート大陸において一部の特権階級──そう、先代魔王を除く12の領主のみがその存在を知っていた。他に目撃者はいない。何故ならば、見者必殺。見たもの全てを殺し、その上で事故死に仕立て上げるからだ。


 その必殺の5人が何故、先代魔王の暗殺を担わなかったか。単純な話、要求額が桁外れだったのだ。それだけの高額になった理由も単純。リスクが高すぎること、そして、リーダーのカンが、危機を察知していたのだ。


(黒翼姫っ……!!まさか、最初から気づかれていた!?)


 ゴニンジャリーダーの特性は、ナナクサと同じ、否、それ以上の精度を持つ[危機察知]だ。それこそが、彼らの今日までの任務成功と生存を支えて屋台骨と言っていい。そのリーダーが、この距離で会敵するまで気付けなかった。これまでの経験にないことだった。


「こんな時間になにかご用~?」


 リーダーは焦った。10年ぶりに焦った。状況は非常にデンジャラスだ。

 相手は小さいながらも【黒翼姫】の異名を持つ英雄。下調べの段階で、真っ向勝負では勝利できる確率は限りなく0という試算。だからこそ、細心の注意を払い、神経を研ぎ澄ましてここまでたどり着いたのだ。


(返答次第ではこちらが殺られる。どうする?逃げの一手か?戦う?真っ向勝負?アンブッシュ?無理だ。買収?ワイロ?)


 リーダーの脳は完全に混乱、使い物にならなかった。後方のゴニンジャはリーダーの精神的異変に気づく。彼らは【危機察知】を持たないが、馬鹿ではない。リーダーのコンディションから目の前の幼女があの黒翼姫だと感づき、同時に、自分たちが一寸先の命すら保証されていない黄泉路にいることを自覚させられた。


「この先はね~、パパとお姉ちゃんのお部屋と、私のお部屋しかないよ~?この先に行くんでしょ~?」


 ゆらりと、二つの赤い光が灯る。ゴニンジャ全員が目を疑った。リラの瞳が赤く変わり、仄かに輝いていた。だがそれだけではない。リラの纏う夢心地の空気が消滅、彼らがよく知る空気を纏っていた。


 死の空気──殺意だ。


「ニンジャ殺すべし」


 ポツリと静かにつぶやいたその言葉に、ゴニンジャ全員が反射的に短剣を抜き構えた。


 死の土壇場になって、ようやくリーダーの脳は正常稼働し始める。


(((((アンブッシュなしの戦闘。間違いなく誰かが殺られる!氷雷帝の手綱を握るには水姫は必須だ。一人でも失えば、運び出すことは困難。退却し日を改めるしかない!!)))))


 5人全員の思いは一致した。だが、脚が動かない。過酷な訓練を課すことでスレイプニルを超える機動力と持久力を得るに至った脚が、石像めいた重さとなって体を床に縛り付ける。


 混乱したゴニンジャが、己の足を見る。何か液体のようなもので濡れ──いや、床と接着されている。その液体はリラの足──黒いうさちゃんスリッパから伸びていた。

 足を上げようとするも、全く床から離れる気配がない。未だ経験したことがないな接着力だ。異常とも言える接着力を持つその液体の正体に、一同心当たりがあった。


(まさかこれは、ピュアスライムの体液!?ナンデ!?)


 彼らの故郷──その一部地域に、極稀に無色透明のスライムが現れる事がある。周辺環境に一切染まっていない、全てのスライムの原種と言われる存在──ピュアスライムだ。


 その粘液は大陸最強の接着剤と名高く、乾燥することで非水溶性の性質へと変わるため、武具や服飾に携わる職人からは重宝されている。潤沢に粘液を保有する工房は無く、それ故にピュアスライムを捕獲し飼育することができれば、人生の勝利者とも言わるほどだ。それほどに希少であり、高価であり、需要が途切れない。


 当然採取にも危険が伴う。下手をすればとんでもない姿勢で、毛や皮膚が代謝によって破棄されるまでの間、カチンコチンに固められる結果になる。乾燥前ならば水溶性故に水を浴びればどうにかなるが、ひとたび乾燥してしまえば手の施しようが無い。乾燥するまでのその間、わずか1分。そこに体温が加われば、さらに時短する。うっかり手についていることに気づかずに武器を握ってしまえば、手の皮膚が代わるまで外出することすら叶わなくなるだろう。


 そんな代物を、会敵した時点で既に踏んでいた。そう──ゴニンジャは知らずのうちにアンブッシュされていたのだ。


 リラは無造作に、ペタペタと足音を立ててゴニンジャに近づく。ピュアスライムの体液で濡れているというのに、まるでただ水で濡れているかのような振る舞いで近づいていく。

 右手にはいつの間にか、切っ先のない1m程の長剣が握らえている。石打ち刑、絞首刑が主であるこの世界には馴染みのない処刑人の剣(エクセキューショナーズソード)だ。


「パパとお姉ちゃんの敵は、殺しちゃわないとね~」

「う、うわぁぁああ!!!」


 ゴニンジャらの手から短剣がリラめがけて飛んでいく。が、無意味。背から生え伸びた竜の黒翼がそれを遮り、短剣を弾いた。


「ア、アイエエエエエエ!?」


 間違いなく一級品の業物が、まるで小石を弾くように軽くあしらわれたのだ。正気でいられようはずもない。ゴニンジャは裾の内側に忍ばせていた棒手裏剣(ボースリケン)を手に収め、次々と休むまもなく投擲を行う。先端には神経毒が仕込まれており、全体が黒色に塗られている。闇に溶け込んだそれを目視し、回避あるいは迎撃することは不可能……だった。


 棒手裏剣は一定の距離まで接近すると、じゅわりと溶けて消えてしまった。


「ナンデ!?」


 リラは自ら切り離した自分の体の一部を、超強酸性の透明な液膜へと変え、巨大な盾のように正面に展開していたのだ。かつて迷宮にて、ナナクサと出会う以前に喰らった、金属を溶かし喰らうアシッドスライムの酸性を極限まで高めたのだ。


 リラは先頭のリーダーの前に立つと、ふわりと軽く跳躍し、その手の剣を振り抜く。ブンッっという音の後には、コトリと落ちて転がる首と、直立し構えたままの姿勢で切断面から噴水のごとく鮮血を吹き散らす死体が残った。


「ア、アイエエエエエ……!」


 リラは続くゴニンジャの横に建つと、また軽く跳ぶ。


「南無阿弥だぶだぶ残念無念ちんねんっと~」




 そうして、全員が首を刈られ、リラの全身と廊下のその一角だけが真っ赤に染まった。最後のゴニンジャは、恐怖のあまり失禁・脱糞。自らの舌を飲んで自害したが、お構いなしに首を刈られた。




 後日、彼らの雇い主の元へ、結婚式の招待状、5つの髑髏、1本の干からびた指が届けられた。その髑髏と、それらが入った箱の蓋裏に書かれた血文字を見て、雇い主は戦慄した。




『お前も髑髏と筆に変えてやろうか?』




 筆……ここで依頼主はこの血文字が、同封されていた指で、血のインクを持って書かれたものだと気づいた。同時に、送り主であるシルベイクァンが激怒している事にも……。


 彼は知らなかった──いや、今となっては知る者はいなかった。シルベイクァンが魔王の右腕と呼ばれた所以は、その強さだけではなかったことを。


 今でこそ温厚なシルベイクァンだが、かつて若かりし頃は、敵対する者には慈悲の欠片もなく屠り、嬲り、その死体を弄ぶ狂気の剣士だった。それを窘め、真っ向から戦い、狂気から開放した者こそが、後に魔王の左腕と呼ばれたズィローマである。


 彼は悟った。敵対すれば一族もろとも滅ぼされると。ゴニンジャという有料カードを失った今、彼の領の戦力は主砲不在の野球チーム同然。脅しではない。お前を滅ぼすのは容易いことだ。そうはっきりと言い放っているのだ。


 この一件は潜入していた密偵によって瞬く間に大陸全土の領主へと広まった。5人の犠牲を引き換えに、実力行使に出ようと僅かでも考えていた領主はその考えを完全に放棄、さらなる犠牲が増えることはなかった。


 後に彼は、ウルラントの大披露宴で住民に振舞った大量の酒の費用全てを、自らの懐から支払う羽目になる。あの味を知ってから凡そ1年に渡って一族皆が粗食せざるを得なくなり、最終的に頭がおかしくなって強制的に隠居させられた。


お読みいただきありがとうございました。

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