生きるという事は、命を頂戴する事
俺達は北へ歩いていた。ジーク曰く、南にゴブリンの集落、さらに南に沼地があるが、リザーディア───特徴を詳しく聞く限り、所謂リザードマンの縄張りになっているらしい。そして進むなと教わる道というのが、ひたすら北へ進めという究極的にアバウトなものだった。南に向かわずに本当に良かった。
「む!ジーク、ストップだ」
後ろから付いてくる背丈の低いジークの動きを手で制する。
「ドウシタ?」
「この先はやばい。迂回する」
この森、危険がバーゲンセールじゃないのか?まるで気が休まらない。
「ナニモミエナイゾ?」
「……俺な、こういうカンだけは人一倍なんだわ。多分このまま進んだら、俺ら死ぬ」
俺の顔を見て、ジークの顔が引き締まる。どうやら、冗談酔狂で言っているわけじゃないと思ったようだ。神公認の危機察知能力だと言ったところで信じるとは思えんし。
大きく迂回して北上することにしたが、その道中またイヤな感じがしたのでさらに大回りに。
それを繰り返すことさらに3度。
途中、ちらりと影が見えたが…。
「オ、オウガ……。」
黒い巨体と額から生えた2本の角をもつ、鬼のような巨人だ。頭二つ分俺よりでかい。体格もガチムチだ。そして素っ裸。玉も竿も丸出し。目からはジークのような知性を感じることはできず、本能で動いているようにしか見えなかった。
この遭遇以降、ジークは進路変更に疑問を呈する顔をしなくなった。
ああ、ゴブリンのボスの進むなっていう道は、つまりああいう奴らが縄張りにしているから行くなってことか。それ道は道でもデスロードじゃんよ。っていうか、そもそも道ですらねぇよ。
「そういやジーク。俺以外に人を見たことがあるのか?」
「ナイ。ボス、キケンナヤツ、オレタチニオシエル。ヒト、オウガ、オーク、マンティコア、モリオオカミ、キケンナヤツゼンブオシエル」
それでか。ってことは、最初の仮説も間違ってはいなかったんだな。そして人も危険な奴扱いか。
「ナナクサスゴイ、モリオオカミ、オソワレナイ」
森狼?森に住む狼だから森狼?安直な……。いや、彼らゴブリンが名付けただけだろう。正式名称は別にあると思う。もっとも、知的生命体がゴブリン以外にいなければ、森狼が正式名称になるのだろうが。
「その森狼ってのはそんなよく遭遇するものなのか?」
「アイツラハナガキク。ハヤイ」
油断ならない相手ってわけか。そりゃあそうだ、狼は地球と生態に差がないならば、群れで狩りを行う種だ。ちなみに絵本なんかでは悪い存在としてよく描かれているが、風評被害であると言っておこう。
そうして、迂回を幾度となく繰り返し、チラリと見えたオウガとかよくわからんでかい相手とか、息を殺してやり過ごし……ついに俺たちは森を抜けた!
「ぬけたーーーーーー!!いよっしゃーーーー!!!」
「イヨッシャーーーー!!!」
危険を売りさばく特売日は終わりを告げた。背後がすぐ森だということも忘れ、アホみたいな雄叫びを上げる。
この開放感、例えるならば受験前の勉強漬けから解放された時のような、でかい仕事を終えた後のような、そんな感じだ。精神的にも軽くなるが、体も心なしか軽くなった気がした。
……っと、いかんいかん、気を緩めることなかれ。まだ身の安全が確保されたわけじゃあないんだ。
何より食糧事情だ。結局森の中で得られた食料はりんごだけだった。残り8個。そうそうバカスカ食えそうにはない。
「ツギ、ドウスル?」
見渡す限りの平地。草の丈は俺の膝くらいまであり、ポツポツと林がある。草刈をすればゴルフ場に出来そうだ。見通しはいいので周囲の警戒を怠らなければ奇襲されることはないだろう。
「道を探すぞ。そこからは道沿いに進めばなんとかなる」
こういった見通しのきく場所で必要なのは、何よりも高い視点だ。故にやることはひとつ。
「いくぞジーク!合体だ!!」
「ハ?」
「俺の肩に乗れっ!!」
トランスフォーム肩車!
俺の背丈は175cm程度、ジークは推定120cm程度。体重も細身であるためなんとかいける範囲だ。そのまま移動するのは流石に厳しいが。
そんなわけで、俺の肩にジークがドッキングした。森を抜けてテンション上がっているのは否定しない。
「タ、タカイ……」
「そりゃそうだ」
合体することで視点は2m超えるしな。まさか高いところが苦手……いや、初めてなのか?
「ジーク、木登りの経験は?」
「ナ、ナイ……。キノボリニガテ……」
やっぱりか。高所恐怖症とかじゃあないよな?っていうか髪を掴むな!いてぇ!抜ける!ハゲる!!
「とりあえず、下じゃなくて周り見ろ、周り!!遠く!!」
「オ、オウ」
俺の目線じゃあ何も見えないからな。これで見つかりゃいいんだが。……よくよく考えれば、ジークの肩車分で増えた目線の高さ程度で何か見えるようになるか?
「ナ、ナニモミエナイ……ケシキガイイ、ダケ」
やっぱりそうそう上手くいかないらしい。
「んじゃーあれだ、あの木までまず歩こう。あそこの上ならここよりもっと見えるべ」
方角そのままで、遠くに見える木を指差す。太陽が傾き始めているし、そう遠くまではいけそうにないだろう。
ジークを下ろして歩き出す。見渡す限りの原っぱ。目指す木の向こう側、どれだけの距離があるのか、やたら遠くに雪が降り積もった山が見える。本当にやたら遠い。何キロ先だか予測できない。
「ン?」
「どうした?」
「シズカニ、マッテロ」
なんだなんだ、なにか見つけたのか?
ジークが脇に逸れてしゃがみ、そのまま這うように慎重に動いていく。息遣い、一挙手一投足が狩人のそれだ。
見えなくなって少し待つと、ひょいと立ってこっちを向いた。
「エモノ、イタ!」
戻ってきたジークの手には、長い耳を掴んでぶら下げられた褐色のウサギが1羽。既にシめたあとなのか、息はないようだ。
「よく見つけたな……。晩飯はウサギ肉決定だな。グッドだ」
本音を言えばウサギ肉は遠慮したいが、食料を選り好みできる状況ではないし、こっちの世界で初めての動物性タンパク質だ。食わない選択肢は生存戦略的にありえない。
それから数時間歩いて、目的の木の根元に到着した。このへんまで来ると、地面の草の割合がだいぶ減ってきている。空を見れば、日がだいぶ傾いて茜色に染まってきていた。気温もこれから下がっていくだろう。今日はこれ以上は動かないほうがよさそうだ。
「さて、捌くか。っと、ジーク、すまん、穴掘っていてくれ」
「アナ?ナンデダ?」
「内蔵を捨てるためだ。下手に野ざらしにすれば、血の匂いで何が寄ってくるかわからないからな」
猛獣って、血の匂いに敏感だしな、たぶんファンタジーで言うところの魔物も。
森を抜けたとは言え、油断は禁物だ。今は無風だが、もし北から風が吹けば、俺たちの匂いは風下に流れるだろう。始末はしっかりしなければ、寝込みを襲われて明日の朝日を拝めないかもしれない。そんなのはいやだ。
「ナルホド、ワカッタ」
しかし、素手で穴掘りはさすがに難しいな……あ。
「俺の杭使ってなんとかやってみてくれ。幾分ましになるはずだ」
「マカセロ」
先端はぼろぼろになるだろうが、その時は削ればいい。
ジークに杭を手渡すと、掘りやすそうな場所を探してウロウロし始める。ちょっと離れた場所で杭を地面に突き刺し、傾けてえぐり、突き刺し、えぐりを繰り返す。問題はなさそうだな。
さて、ウサギか。基本的に愛玩動物扱いだが、かつて戦国時代では坊主も屁理屈で食った肉だ。食えないことはないが……まあ、捌こうか。やり方は知っているし。
…………ぶっちゃけると俺、ウサギは動物の中では好きな方なんだ。確かにやり方は知っている。だが抵抗は当然ある。あるが……食わないことには体が持たない。明日以降、この木の北側で動物性タンパク質を摂取出来る保証はない。
誰かが言っていたな。生きるということは、命を頂戴することだ、と。ああ、全くその通りだ。今また嫌というほどにそれを実感している。昔散々実感していたくせに、今の今まで忘れていた俺は愚か者だ。
……やろう、食わなければコイツは無駄死にだ。食ってきっちり生きる、自然界の弱肉強食に則って!
しかし道具もなしに捌けるか?無理だよな?最悪丸焼きか?……いや。
「まてよ?」
[錬金術]での[抽出]を地面対象にやればどうなる?鉄とか取れるか?……一応、試してみるか。このへんの土に鉄分が多ければ、あるいは……。
手を地につけて、意識を集中する。
「[抽出]──鉄」
言葉に出したほうがやりやすいのかもしれないと、なんとなく思った。地につけた両手の間に、鉄であろう金属が集まってくる。
が、直ぐに止まる。パチンコ玉1個分くらいだ。どうやら鉄分はろくにないようだ。
「ちと足らんか……あ」
よく考えれば、血液にも鉄は含まれているんだっけ。某スタンド使いが血液の鉄分をカミソリに変えていたし、兎一羽からならそこそこ取れるか……?
いや、それならいっそ……。
うさぎに手を載せ、
「[抽出]──血液』」
うおお……毛穴、目、口、鼻から血が滲み出して、空中で水玉の時みたいに塊になってふよふよ浮かんどる。流石に量が多い。ここから抽出……だめだ、一旦地面にぶちまけよう。精神的にきつい。
って、ダメだダメだ!そんなことしたら何のためにジークに穴掘らせたのかわからねぇ!アホか俺は!?
「ジーク、穴どうなってる!?」
「デキタトコダ!」
そのまま血の玉を操って、ジークのそばへ向かう。兎一羽は入れそうな穴だ。
「ナンダコノタマ!?」
驚愕するジークをよそに、穴に玉を落とすと、血の匂いがむわっと広がった。
「くはぁ……」
けっこうクルわ……。精神が疲弊する。心なしか体力もちょっぴり消耗した気もする……。っと、抽出抽出。
穴にぶちまけた血から鉄の[抽出]を行うと、地面から吸い上げた分と合わせてパチンコ玉が2個分少々程度になった。これだけあれば十分か。
ひとまず小さな片刃ナイフ状に[成型]。片刃ナイフだが刃部分がまるでダメだ。完全に潰れているわけではないが、鋭利に研がれているわけでもない。こりゃナマクラだ。
「オオオ……」
ジークが感嘆の声を上げている。
「いや、こいつはナマクラだよ、出来損ないだ」
おそらく研いだとしても切れ味は高くないだろう。金属層が何重もあるわけじゃない。要はこれ、型に入れて冷ましただけの半端な鋳造品である。
「あれ?死体相手に肉の切断をすればそれで済んだんじゃね?」
こう、杭を作るときに枝を切断したのと同じ感じで。
そうだよ、なんで思いつかなかったんだよ。よし、やろう。ナマクラナイフで捌くより楽ならばそれでいいだろ。
木の根元に置きっぱなしの兎肉の前に戻り、早速やってみる。
「[切断]、切開、内蔵分離……あ、これだめだわ」
うんともすんともいわん。……これ、まさか死肉相手には使えない?いや、血液は抽出できたんだ。とすれば……条件があるのか?まあ、できないならしょうがない。最初の予定通りに捌くだけだ。
ところで、これ本当に[錬金術]なのか?なんかちょっと違う気がしてきた……。
*
「全くやりにくいったらありゃしない……」
処理が終わった兎肉を、大きい石の上に載せた。なんとか革を剥ぎ、内蔵を取り除き、部位ごとに分けたが、不慣れなせいで余計に疲れた。切れる刃物も文明の利器だな……。
「よし、あとは焼くだけ……あ」
ここにきて、自分がとんでもないドジをしたことに気づく。
「ナナクサ、ドウシタ?」
「火が無ェわ……」
「ア……」
やっべぇどうするよ。流石に俺も生肉食えるほど内蔵も舌もワイルドじゃない。そのへんは表情からしてジークも同じらしい。
「群れだと火どうしてた?」
「リョウリバン、ヒ、オコセル。オレ、デキナイ」
「俺もできねぇよ。まいったな……」
どっかり腰を下ろして思考する。ここまでやってあきらめて腐らせるなんてできるはずがない。サバイバルとは自然との調和であり、同時に抗いなのだ。
「あ、摩擦熱はどうだろう?」
漫画じゃ木の棒と板を用意して、板に木屑盛って棒突っ込んで両手でくるくる高速回転だったか?あれじゃ火がつかないって話だが、確か弓の弦を使う方法が……。……どっちもダメだな。
木の板、木の棒、木屑は木から[成型]すればできる。だが、現実的じゃない。俺もやったことあるが、あれはダメだ。無駄に体力を浪費するだけだ。弓を使おうにも、弓弦の原料がない。というか原料がわからん。鯨の髭だったか?蔦で代用しようにも、蔦に限らず代用可能なものが見当たらない。
「ナ、ナマデクウシカ……」
「おい馬鹿やめろ早まるな死ぬぞ」
こんなところで食中毒になられても困る。結果論とは言え血抜きは徹底的にやれたが、病原菌や寄生虫まではできなかった。一応やってみたが、感覚的に、あ、ダメだと認識した。つまり微生物相手には使えないのだろう。あるいはそれが肉相手に[成型]なりなんなりができない理由かもしれない。
仮に生で食ったとしても後味が最悪だ。下手をすれば腹痛で無駄に体力を消費する羽目になる。その上消費した体力を回復できるだけの十分な食料が存在しない。消化吸収の面まで考えても、やはりきっちり加熱調理しておきたい。なにより、出来る限り美味しく食べたい。
どうすれば火を起こせる?
火打石、はないな。ご都合主義の小説じゃあるまいし、都合良く見つかるとは思えない。
石油……いや、なんの解決にもならん。ある前提でほったとしても、どれだけ掘ればいいのか見当もつかないし、仮に火花で発火させることができたとしても、今度は消せずに大火災になる。
……いやまて、この[錬金術]……いや、この際だ、[錬金術もどき]と呼ばせてもらう。明らかに範囲外の事象まで引き起こしているこれなら、火くらいぽっと出せるんじゃないのか?いや、考え方を変えるんだ。火を錬成するのだと。
……ダメモトでやってみよう。男は度胸、なんでもやってみるもんだ。
とりあえず右手人差し指先に意識を集中させる。火をイメージして……。
「[点火]」
ボッ
指先から、小指の先ほどの緋色の小さな炎が上がる。チリチリと燃える炎は、暗くなりつつある周囲をほんのり明るく照らした。
「……ヒ、ダナ」
「できちまったな」
気を抜いた途端にすうっと火は消えてしまった。
というわけで用意したのは、ちょい盛りの抜いたばかりでまだ瑞々しい草。木の左側面……西側に生えていた枝全部。とにかく燃えるものが欲しかったので、手加減無用でやりました、反省してない。
で、これらを全て水分だけ[抽出]し、空っぽになったペットボトルに集めた。そして、水分が抜けて燃料として使えるようになった枝を持ち、先端に意識を集中させる。
「[点火]」
ボッ
枝の先から燃えだした。橙色の小さい炎だが、今の俺たちにとっては恵みの炎!天からの恩恵ッ!
「ナナクサ、ハヤク、ハヤク!!」
急かすなジーク、わかっている、大丈夫だ。さっきのは指先に可燃物なしで炎を維持させていたんだ。今回は枝そのものを燃やしている、だからすぐには消えない。
乾いた草に火種を放り込み、燃え広がっていったところで、細い枝から少しずつ継ぎ足していく。慎重に、消えないように火力を維持、上昇させ……。
「よーしよしよし、いい感じの火力だ。焼くぞ焼くぞ!」
上手に焼けましたー!
「ごっぞさん……」
「ウマカッタ……」
もっと筋張っているかと思ったが、なかなかどうして柔らかかった。食いもんが豊富にあるからだろうかね。なかなかに美味だった。塩とか胡椒とか欲しいとこだったが、内地じゃ塩分が……ね。
「ナナクサ、アレドウヤッタ?」
「アレ?」
「ヒダ。ソレニミズタマ、チノタマ。ジュツシナノカ?」
……何だ、この世界、術ってのはあるのか?火付け担当のゴブリンがいるとか言っていたが、原始的な発火方法じゃなくて魔法的な発火方法だったのか。
「あー……俺な、こういうものを原料に錬成ができるんだわ」
手に兎の骨を持ってブラブラさせて言う。
「[抽出]──カルシウム」
言った瞬間、手の骨が砕けた後、丸く球形に固まり、目の前にふよふよ浮かぶ。手に残ったのは、僅かな肉の残りカスだけ。
「コノタマナンダ?」
「ああ、骨成分の塊だ。骨だけじゃない、歯とかもそうだな。ちなみに血の中にも含まれている」
せっかくなので骨から全部[抽出]すると、カルシウム玉がさらに大きくなった。
「んで、こいつを……」
カルシウム玉に手を乗せ。
「[成形]──スティレット」
玉が変形し、その全てが白い棒状の刀身を持つ短剣へと変わった。
「骨でできたナイフ、[ボーンスティレット]ってところか」
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ボーンスティレット
分類:短剣
威力:E
強度:E-
刺すことに特化した短剣、スティレットを骨で模倣したもの。
威力・強度共に金属性に劣るが、非常に軽量で使いやすい。
この短剣を見るたび、ナナクサはあの日食べた兎の味を思い出すだろう。
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少々刀身は長めだ。刺すことに特化した代物であるため、切れ味は全くない上、強度もあまり期待できないだろう。
「スゴイナ。……ニクツクレル?」
欲求に正直なやつだな。
「無理だな。生き物は作れない。ま、水が飲めるだけいいさ」
「ソウダナ」
[抽出]した水は二人でがぶ飲みした。殺菌などできようはずもないから、保存が効かない。こればかりはその場その場で抽出するしかないだろう。
……待て、火を作れたのなら氷も作れないか?いや、できたとしても現状、ペットボトル以外に保存容器が存在しない。のどごしが爽快になるくらいか。吸収効率を考えるなら冷え切っていないほうがいいんだよな、基本。それに、冷たいものを摂取するとカロリーを消費してかえって腹が減ってしまうし、下手をすれば腹が下る。
ま、いいや、疲れたし今日はここまでだ。寝る前に良く筋肉をほぐしておこう。
しかしまあ……確信が持てたわ。あれはやっぱり[錬金術]じゃない。錬金術の皮を被った別の何かだ。
華がないって?すまない、女の子はまだ先なんだ……。




