ゴミ箱
「だー、つかれた……」
ハヤブサに積んでいた食料を掻っ込み、上等とは言えない宿のベッドにボフンと倒れる。保存食とは言え、いつまでも食わないでおくわけにはいかなかった。……味は聞くな。
シーツの洗濯はきちんとしているのか、ホコリ臭くはない。そこそこの柔らかさに体を委ねると、満腹感にもよるだろう、すっかり脱力してしまった。
「ふー……」
靴を脱いで、ごろりと仰向けに寝転がる。飾り気のない良くも悪くも簡素な天井だ。……まあ、天井だしなぁ。ヲタ部屋のようにポスターが張ってあるわけでもなく、雨漏りの跡があるわけでもない。
「あいつら、ちゃんと食ってるかな」
別れたジークとグレンの事を考える。今頃はマンマールへの道中で野宿か、あるいは夜通しで馬車を走らせているかのどちらかだろう。
「凍えてなけりゃいいんだが……って、俺はオカンか!!」
そうだな、合流したらまず美味いメシを腹いっぱい食おう。美味い飯屋がなければ自炊すればいいしな。もし仕事が見つからなければ、今回の件の報酬を元手に屋台でも始めるか。女っ気はまるでないが、まあそれでもいいだろう。ゆったり平穏に生活できればそれでいい……。
ああ、それにしても尻が痛い……。
尻の痛みを紛らわすために夢想していると、やはり眠気は襲って来るもので……明かりであるテーブルの上のロウソクを消さずに眠り込んでしまった。
*
……む。
上下左右すべてを見渡す。白い。どこまでも果てしなく白い。この空間は……!あの時の漆黒の空間と似ているっ!!
「やっとみつけたよーーーー!」
この声、忘れるものか!
ぼやんと少しの距離を置いてロンゲ神が現れる。
「ッッシャオラァ!!!」
歓喜の声をあげ、地を蹴って距離を一気に詰めた!!
ここであったが百年目!!!てめーには必殺のフェイバリット、マッスルミレニアムをおみま……ああくそう!!!
「昇○拳!!!」
俺の右拳がロンゲの顎を捉えて高く宙を舞い、ぐちゃっと、嫌な音とともに頭から落下した。
「グフッ……な、何をするんだい……」
その場で崩れながら涙目で訴えてきた。
「昇竜○だよ、ボケが。マッスルミレニアムをぶち込むと決めていたんだが、リングもコーナーもロープもなにもないってことに今更ながら気づいてな」
その辺、あのフェイバリットは使い勝手が悪いと言わざるを得ない。
「君は神を殺す気なのかい!?」
猛然と非難してくるが、お前に非難されたくはない。
「殺しても死ぬようなタマじゃねーだろ」
「なんて罰当たりな……」
「お前のうっかりミスで2度目の死を覚悟したんでね。今の俺には敬う気持ちなんぞ微塵もねぇよ」
元より霊はいるけど神はいないが持論の元無神論者だしな。元無神論者が神職直系の末裔とは、阿呆な話である。
「んで、あんたが出てきたってことは、俺がどういう世界に飛ばされたかわかったってことだな?」
でなければ今日までの間に接触してくるはずだ。つまり今俺は、コイツの力の届く範囲にいるってことになる。
「だいぶかかったけど、ようやく、ね。とりあえず、すぐにでも予定していた世界に送るよ」
「いや、別にいいし。まったり生活の目処が立ったから、その辺いいわ」
「ええーーー」
いや、ええーとか言われてもな。送られた先でしっかり生活基盤作れるかどうか別問題だろ。0から土台作るの大変なんだぞ?俺はどうあがいてもよそ者なんだからさぁ。
「わ、悪いことは言わないから、行ったほうがいいよ?」
……ふむ。少しばかり考えてみる。俺が居座り続けるのは問題だと言いたいのか?それとも………だめだな、わからん。
ロンゲに目を向けると、顎にバツ印の絆創膏をヒゲの上から貼っていた。お前、それでいいのか?
とりあえず、その場にあぐら座りして、滅殺モードから対話モードに切り変えた。
「ひとまず聞かせろ、あの世界は一体何なんだ?」
ロクでもない答えが来るだろうことは分かっている。だが、何も知らずに暮らし続けることが出来るほど俺は大雑把な性格ではない。知れることは知り、知らないことは調べ、分からないことは研究するのが基本だ。
知るということは即ち、万物万事への理解の一歩だからだ。そうして知ったことは、いつか何かの拍子で役に立つ……かもしれない。過去に実際役立って生還することができたしな。
「君を送っちゃった世界はね、次元の果てにある『空想の集積地』っていうところ。わかりやすく言うと、私達の管轄から外れている『ゴミ捨て場』だよ」
「……は?」
ゴミ捨て場……ですと?
まさかの回答に俺唖然、ゴミ捨て場は予想外だわ……。俺多分今すごいアホヅラしてるんだろうな……。
「日本人に限ったわけじゃないけどさ、ファンタジーとかSFとか好きな人間って、こんな世界だったらいいのにな、とか、こんな世界に生まれたかった、とか思うでしょ?」
まあ、そうだな。それこそが昨今の異世界転生ラノベ大量出版の根源だと思うくらいには。俺自身、学生時代はそういうファンタジーな世界に行って、主人公をアシストする不動の二番手に……とか……うん、やめよう。中二病時代の黒歴史を掘り返すのはよそう。精神が致命傷を喰らう。
「まあ、どんなきっかけであれ、別の世界を空想するわけだよね。才能が有る──無くても努力を続けた人が、空想を物語という枠内に収めるわけだ。そうして物語の世界が出来た時に、それを設計図にして世界が別の次元に生まれるんだ」
「……まじですかい?」
「まじ。人間の空想も馬鹿にならないでしょ?実はこれ、地球人類がみんな持つ能力なんだ。その世界に直接干渉はできないけどね」
そんなんで世界が生まれるんかい。地球上創世神でごった返し状態じゃないか。
「いや、それつまり人類皆が神になれる権利があるってことか?」
「うん、まさにそう。誰もが私達の座にたどり着けるようになっているんだよ、最初からね」
ああ……目の前のロンゲがまさにそれか。物語を作ったわけではないが、図らずともその生涯が物語として語られ、使徒として膨大な信仰を得た。それによって神格を得たわけか……。
「簡単に言ったけど、設定を煮詰めて煮詰めて煮詰め尽くしてようやく、だからね。要するに、物語っていうのは世界という料理を入れておくための丼なんだよ」
ドンブリか、なる程判りやすい。つまりマンガ家と小説家と絵本作家と、作家に分類される人種は皆が神だということか。
まてよ、まさか『ゴミ捨て場』ってのは……。
「そうか、物語というドンブリにまで至れなかった断片、あるいは構想で放棄され中途半端な物語が流れ着いた世界、か」
「うん、半分正解。実際はそれに滅亡した世界の残滓とかも加わって、蠱毒のように喰らい合って生まれた世界……いや、今も育っている世界だね」
物騒な単語が出てきた気がするんだが、気のせい……じゃないよな?
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蠱毒
壺の中にありとあらゆる種類の毒虫を入れ、互いに殺し合いをさせて最後に残った毒虫を呪術に使う。所謂やばい儀式の準備である。ジッサイヤバイ。マネスンナ。
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「続きを綴られない物語が、世界としての形をとりたい為に互いに喰らい合う。……覚えがないかい?
作者が飽きて更新されなくなったネット小説。
作者が死亡して続刊が出なくなったライトノベル。
作者失踪でエターしたや○夫スレ。
ゲームを自作ようとして、プロット書きかけで断念したり。
地球規模だけで見ればとんでもない数になるよね」
確かになぁ……。一巻出ただけで終わった小説とか、世に出ることなくボツくらってゴミになった漫画とか、まるで読まれず評価2桁で更新止まったな〇う小説とか……娯楽あふれる今の世の中なら、娯楽になり切れなかった夢想は腐るほどある。つまり、材料はごまんとあるわけか。
「問題は……蠱毒で生まれたあの世界をまとめる神がいないことなんだ」
どういうことだ?まとめる神がいない?……あー、そうか。
「なんとなくわかってきた。世界同士が喰らい合う際に、その世界の神まで喰らい合うために空席状態。社長以下役員がいない平社員だけの会社状態か。育って拡張しているいる今も、これからも」
「うーん、一応正解。地球でもさ、今まで私達が本当にやばい時は軌道修正してきたんだよ?小惑星が衝突しないように、とか、日本列島が地震で沈没しまいようにとか、どうしようもない自然災害による滅亡回避に限定されるけどね。かなり昔に一度失敗してるし」
まさかムー大陸?それともアトランティス大陸か?
「あの世界にはそれをやる存在が、今は誰もいないんだ」
ぞくりと、背に嫌な汗が流れる。自分が思っている以上に、世界というやつは滅びやすいのかもしれない。
「で、どうする?」
「どうするって言われてもな……ま、このままでいいさ」
いろいろ情報を得たが、結局この結論しかない。生活基盤の目処もたったし、ジークとグレンをほっとくわけにも行かない。あいつらは俺の友だ。全幅の信頼を寄せてくれるあいつらを俺は裏切りたくない。
「地球だって56億年後に弥勒様だったかによって浄化されるんだろ?どこへ行っても世界が滅ぶ前に、俺が死ぬ」
「本当に、いいんだね?」
真顔で俺を見るロンゲ、やだ、ちょっとカリスマが漏れてる。
「ええよええよ。何かあれば、俺自身の安寧の為に原因をたたきつぶすだけ……いや、状況に即して自分にできることをやるだけだ。どこの世界に行ったとしても、俺がやることは変わらんだろ?」
「……わかった。それじゃあ私は、君からは手を引く。引くけど、最後に一つだけささやかな能力をあげられるよ。どうする?」
ささやかっていうのが引っかかるが……。
「どういうつもりだ?」
「どうもなにも、最初の予定より大分変っちゃったし、このまま何の補てんもしないのもどうかと思っただけだよ」
少し見直したわ。おい、そこ、いまチョロインかよとか思わなかったか?思ったやつは前に出ろ、闘魂を注入してやる。
「まあ、もらえるんならありがたく貰いたい。最初の頃とは事情が変わったしな……。けど、どの程度がささやかなのか俺にはよくわからん」
ものさしが人よりちょいとずれているっていう自覚はあるし、人と神の認識が完全に同じだというわけでもないだろう。
「せめて選択式にしてくれ。そのほうがお互い楽だろ?」
「そうだね。うーん……4つから1つかな。まずは[魅了]。誘惑して交渉を有利に進められる。」
OH……フツメンに毛が生えた程度の俺には、十全に扱える能力ではなさそうだ。だからこそささやかなのだろう。俺がイケメンだったらささやかレベルで収まらない。歴史上、傾国とも呼ばれた美女がおるしなぁ。女じゃねーけど魅了ってのは実際国を動かせる程にやばい能力だ。
「二つ目[識別]。薬の効能や素材の良品、不良品の分別ができるようになる。君向きの能力だね」
確かに。今後、素材に関しては仕入先を確保できればいろいろ作れるだろう。直接買い付ける際に、目的の金属が多く含む鉱石を選ぶこともできる。
「三つ目、[瞬間限界突破]。瞬間的に全ての能力を3倍まで引き上げられるけど、その分負担が多いから、使ったあとはひどいことになるよ。骨折とか筋断裂とか」
ほぼほぼメガ〇テじゃねーか。
「治癒手段の目処があって、体を徹底的に鍛えるならアリだと思うよ?3倍っていうのだって、今は3倍までっていうだけだから、その気になれば30倍くらいできるんじゃないかな?」
「30倍は適当だろ?」
「うん」
こやつめ、ははは!!○竜拳だけでは不満らしい。
「……悪かったよ。最後の四つ目、[自己再生]。自分が決めた引き金の言葉で、負傷した部分を再生できる。さあ、選び給え!!」
「選び給えって、あのさ、これMMORPGの職業選択の間違いじゃないのか?」
[魅了]はどう見ても商人向け。[識別]は生産職向け。[瞬間限界突破]は攻撃職向け。[自己再生]はタンク向け。ネトゲか!!
「私には君が今後何を目指すかがわからないからね。だからそれぞれの分野からピックアップしてみたんだ」
ふーむ……。確かに、ささやかだがあるとないでは大きく違う。
交渉に有利になる[魅了]。要は自分を磨けば磨くほど、儲けが増えるということだ。ストレートに金になるが、反面、自分を磨くための費用もかかる。かかるが……モテる男になるやもしれん。
[識別]は言うまでもない。全般のコストパフォーマンスを[魅了]とは別のアプローチで大きく引き上げて収入を増やせる。いや、それだけじゃないな。粗悪品を掴まされることもなくなる。
[瞬間限界突破]は………。そもそも回復手段の目処が立っていない。治療術もあるのかわからんし、医学がどれだけ発展しているかもわからん。情報が少ない状況で選択するには余りにも危険だ。
[自己再生]があれば、有事の際にあいつらを庇うことができるな。……いや、怒られそうな気がする。何より、外傷で死ににくい。できれば[瞬間限界突破]とセットで欲しいとこだ。いや、単品でも十分活躍できる。単純に死ににくくなるのは大きい。……コストパフォーマンスがどの程度か気がかりだが……。
以上を踏まえて、消去法で考えてみるとする。
まず[瞬間限界突破]はないな。俺には合わんし、そもそも人間より強固な肉体を持つ種はいるだろう。宝の持ち腐れだし、今後実戦から離れることも有り得る。まあ、それなりに鍛え直すつもりだが、欲しいとは思えない。
[魅了]に関しては、確かに人生4回目のモテ期が来るかもしれない。……相手が男になるかもしれないというリスクを孕んでいるが。魔王城がホモーのワンダーランドだっていうなら、同性愛は禁忌と言われる程ではないだろう。つまり地球より多いかも知れない、一般的かもしれない。だが、俺にはそれを受け入れられない。俺は普通に女の子が好きだが、悪女と浮気者はお断りだ。だから[魅了]は無し。
となると、[識別]と[自己再生]のどちらか。どちらも甲乙つけがたい……。
突き詰めると、金と命なんだよなぁ。金は命より重いとか誰の言葉だったか。事実だと思っている節もあるから、こうして悩むのだろう。こういう時は、あれしかないな。
「コインない?」
コイントスである。
「あるよ、はい。」
こ、これは!旧500円玉じゃねーか!!まだ絶滅していなかったのか……平成初期の、20年近く前のだろ、これ……。ま、まあいい。
「表なら自己再生、裏なら識別。いくぜ」
パチンッ──
コインが回転しながら空中を舞う。落下し、コツ、コツと3回跳ねた後、くるくる回転し──その動きを停止させた。落ちたコインの面には日本国五百円と入っている。
「表か」
「裏だね」
…………。
「「え?」」
おいおいおいおい……。
「年号刻まれでる方が裏だぜ?ほら、昭和64年って…………これ、超レアものじゃんよ」
昭和64年、たった三日間だけの間に作られた、非常にレアリティの高い代物だ。まさか死後にそんなレア物を手に、しかもコイントスしたとは……。
「うそ!?今の今ままで間違ってたの!?うーわーーーはずかしい……」
「あー大丈夫だ。日本人でも多分半分以上は間違えて覚えてるから」
多分そうだと思う、俺も10歳までは間違って覚えていた、否、先入観感でそう思っていた、という方が正しい。何故間違うのかって?アラビア数字が『強い』からだ。
「じゃあ、目が覚めた瞬間から使えるようにしておくよ。最初に決めた言葉が引き金になるからね。それじゃあ、今度こそサヨナラだ」
「って、ちょっとまってくれ!」
「ん?」
あぶねぇ、これだけは聞いておかなきゃならん。
「俺に与えた[錬金術]って、普通の錬金術なのか?明らかに錬金術の枠内に収まっていないんだが。浮かぶ水滴とか、指先の火とか、奇跡に分類されそうなんですけど?」
「え!?」
ロンゲは硬直した。
「おかしいな、錬金術以上を与えるには神力が明らかに不足している。……それもしかしてさ、そっちの世界の魔法と錬金術が融合しちゃったんじゃない?」
「はぁ?そんなのアリなのかよ!?」
「あくまで予想だよ。そもそも、ゴミ捨て場は管轄外だからどういう原理で魔法とかが動いてるとか、私も詳しく分からないんだ」
全知全能というわけではないらしい。いや、さっきのコインの件で分かっていたけど。
「それと、なんで管轄外なんだ?ゴミはちゃんと分別して捨てて処理するもんだろ?」
「……管理に行ったら行ったで私らも喰われるから」
「喰われ……え?」
「いるんだよ、神を食らう化け物が。間違いなく。どんな姿かも分からないし、実体を持っているのかも分からない。信仰を失って相当弱っていると言っても神だ。簡単に、少なくともヒトが倒せる存在じゃない。それを食らえる存在───【神喰い】がいるから今神がいないし、外から管理しに行こうともしない」
【神喰い】って……こぇぇぇぇ……。
*
む……ぅ。
薄暗い宿部屋の天井が目に映る。頭を側面に向けると、テーブルの上でロウソクがジリジリと明るく燃えている。
「……ロウソク、消し忘れてたのか」
最初につけた時と比べ半分以下まで短くなっている。勿体無いな…。ロウソクだって安くはないはずだ。匂いからして魚介油を使用したタイプだろう。中の下の質くらいだろうかね。
「拡張し続ける神喰いの世界か……」
言葉にすると中二病全開だが、早い話、『手に余るゴミ捨て場』なんだよなぁ。なんか、そんな世界観のゲームがあったような気がする。拡張し続けて、何れは大爆発でもするんだろうかねぇ……。
コンコン
ん?今、ドアが鳴った?こんな時間に誰だ……?
靴を履いて、ドアへ向かい開ける寸前に、それは聞こえた。
「グロムビル隊長、どうしますか?」
「構わん、ぶちやぶれ」
この場にいては危ないと、頭の中で警告音がガンガンなっている。その場で後ろに飛び退くと、木製のドアが倒されて、鉄鎧を着込んだ兵が部屋になだれ込んできた。フルフェイスメットで顔は見えないが……この鎧は、門番の兵と同じ……こいつら、魔都の守備兵か?
思考を巡らす間に四方を囲まれ、鉄の剣を全方位から突きつけられる。
「下手に動くなよ。怪しい素振りを見せればこの場で殺す」
入口に最も近い位置にいる、頭ひとつ大きい、少しばかり立派なバケツヘルムをかぶったやつから声が聞こえた。
しまった、デコの包帯外れてる……。冷静に、冷静に……。
「こんな時間に一体何の御用ですかね?」
「この金貨を使ったのは、お前で間違いないな?」
掲げられた金貨は、俺が殿下から受け取ったもので間違いない。……はずだ。
「この宿でほかに金貨を使った客がいないんだったら、それは俺が使ったもので間違いないですよ」
「白々しい盗人め!この金貨は、アルガードス魔王陛下が13人の領主へ3枚ずつ贈った、間違っても貴様のような怪しい者が持ているわけがない代物だ!!連行しろ!!!」
うぇ、なんかめんどくさいことになってきたぞ……。
お読み頂き感謝ですっ。




