夢現
例えば天地がひっくり返るんじゃないかと思うような大恋愛とか、身分違いの儚い恋とか、世界中を探してみたら、フィクションみたいなノンフィクションが意外と普通に存在している気がする。
私は少女漫画にときめくし、有名な作家さんの小説に感激するし、ちょっと大胆なお話に好奇心が湧いたりする。いわゆる普通の女子高生だ。現実はありきたりで、あっちでカップル誕生かと思えばこっちで別れる男女がいる。恋愛という特殊な心情を欲とかいうありふれた感情でシャッフルしあべこべにしそれを愛だと語って一般人は異性とじゃれつく。それか悪いとは言わないが、私の周りはそんなのばっかで、異次元のかけらもなくて、夢も希望もなくて、はっきり言うとつまらなかった。
壮絶な愛の物語を間近で見ることは叶わないらしい。
そんな代わり映えのしない、平坦な、壊れたDVDが映画の日常シーンだけ延々と繰り返し流しているような、それをぼーっと眺めているような、時が止まってしまった現実。
もう良い加減見飽きたから、早く次を再生しないものかとDVDを必死になって磨いていたそんなある日、突如DVDは続きを流し始めた。あまりにも極端な変化だったため、私は動揺し、一時間分くらい内容が抜けてしまっているのではないかとDVDを疑った。しかし現実は繰り返しはできても巻き戻しはできない。私は素直に、その特殊な状況を受け止めようと務めた。
そいつは言った。
「どうも生き霊です」
私は言った。
「生き霊が何故私のとこに?」
生き霊は笑う。
「君と話がしたかったからさ」
不思議なお化けだ。
私はこの生き霊に会うまでお化けというものは凄く怖いものだと思っていた。先入観や目に見えないものの話なんて信じるものじゃないなとこの時深く思ったのを今でも覚えている。
「ねー、未来。未来は俺のこと怖くないの?」
ある日、生き霊は私に聞いた。今更である。もうこの生き霊にであって何日経ったことか。
「怖くないよ」
「なんで、俺これでも一応お化けだよ?」
「そこで一応とかつけちゃうあたり、君らしいね。不思議なお化けさん」
「あ、また君って言ったな。未来は昔からそうだ、すぐに人のこと君って言う。俺の名前は」
「翔君でしょ。もう何回も聞きました」
出会ってまだ数日だというのに慣習化してきたこのやり取り。私がため息交じりにはいはいと言うと、翔は少し不満げだかおとなしくなって私の部屋を無意味に飛び回る。そしてまたしばらくするとどうでも良い話題をなんの脈絡もなく投げかけてくるのだ。私が気になることはなにひとつ言ってくれない。私だって、この不思議な生き霊についてなにも気にならないわけではないのだ。
何故この翔という生き霊は私の前に現れたのか、何故なにも教えていないのに名前や過去を知っているのだろうか、何故私にだけ翔のことが見えるのだろうか。
出会ったその日にすべて聞いてやった。翔いわく「未来は特別だから俺を見ることができるし、俺はずっと未来を見てたからいろいろなことを知っているよ」だそうだ。この生き霊はストーカーかもしれない。この時本気でそう思った。実際、私のあとをフラフラとついて来ると、ずっとニコニコしながら話しかけてくる。たまにお風呂場にも侵入してくるから私は本気で怒ったりするのだが、何せ相手は生き霊で触れることも出来ないのだからどうしようもない。ただ、私がもう二度と口を聞かないと言うと霊も人並みにしょぼくれるらしく、反省の色を見せるから仕方なく許してやっている。
なんとも奇妙な生き霊だ。生き霊と言うからにはどこかに生身の体があるはずだが、翔は戻ろうとしない。一回私が戻ってあげなくていいのかと聞いたことがあったが、その時も彼はニコニコ笑って、俺はここが好きだからと言った。
本当に謎ばかり。思えば翔にあってから私の生活もずいぶんと変わった気がする。よくしゃべるようになったし、よく出かけるようになったし、よく笑うようになった。そのどれもが、前までの私には不足していた気がする。どれもこれも翔に振り回されて無理やり変わっていったのだが、不思議と悪い気はしなかった。
私は翔と四六時中喋ることで、学校でもクラスメイトや先生とよく会話するようになった。今までは話題が思い浮かばず、話しかけたくてもどうしたら良いのかわからなくて受け身がちになっていたのが、自然と言葉が出るようになったのだ。翔が話題をくれたこともあった。
私は学校以外の場所へ行くことがどうにも億劫で、休みの日は一日中部屋にこもって漫画を読んたりテレビを見たりしていたのだが、そんなんじゃ体が腐るぞと翔がお説教をしてくるので、仕方なく近所の公園やスーパーに行って暇を潰していたら、いつの間にか家で一日中ゴロゴロしている方が気持ち悪く感じるようになっていた。翔はただ外で遊びたかっただけだと思うが、それでも外にでて散歩したり、公園のベンチで本を読んだりすることで私はだいぶ健康的になったことを思うと、翔のわがままも悪くない気がしてくる。
そして何より、時の止まったような日々が翔によって進み出したのだ。生身で感じるフィクションみたいなノンフィクションは思いのほか壮絶で楽しかった。私は自然に笑うようになっていた。
また、彼を好きになることに、そう時間はいらなかった。
ある雨上がりの午後、散歩しようと誘う翔に私はなんの脈絡もなく問いかけた。
「あなたの体は、どこにあるの。私、会ってみたいな」
途端に翔は大人しくなった。
「あなたじゃなくて翔だよ」
このやり取りはしょっちゅうしている。ただいつもより、翔には力がない。もしかしたら、聞かれたくないことだったのだろうか。
私は不安になった。
「ごめんなさい、翔。ただ、興味本位で聞いてみただけ。気にしないで」
慌てて弁明しようとしてつい口を滑らした。
「もう言わないから、お願いだからいなくならないで」
言い切って、はっと我に帰り、まだ会って数週間しか経っていない、しかも生き霊に対して、私はなにを言っているのかとなんだかパニックだ。
けどこれが、翔への好意を自覚した瞬間だったかもしれない。
「今はまだダメだ。もう少し、時が来たら、必ず会わせよう」
耳元で囁いたその言葉は、ただの慰めかもしれない。しかし私はすっと落ち着くことが出来た。
翔と私が出会ってから一ヶ月ほど過ぎた頃、私たちはとても親しくなっていた。普段はおちゃらけている翔だが、私が不安そうなのを感じると瞬間真剣な面持ちになって話を聞く体制になる。初めて翔の前でそういった態度をとった時、笑い流されるかなと思ったら以外にも優しい声でどうかしたと聞いてくるから、普段とのギャップに驚いたものだ。そうして、友達にも先生にも家族にも言えないようなことを、なぜか翔には素直に話せた。
自分は人間を信用出来ない、自分と他人とには何か言いようもない隔たりがある気がする、家族ですらどこかよそよそしく感じる、自分のこともいまいち分からない。そんな人間不信的なことを、どうしても心細くて眠れない夜、ずっと翔に話していた。翔だって生き霊なのだから、どこかに体があって確かに人であるはずなのに、このふわふわとした透けている存在は、なぜか私の凄く近くにある気がしてなんでも話せた。もちろん近いというのは物理的な距離のことではない。抽象的ではっきりとは言い表せられない異空間的距離。その距離が、人でも物でも動物でも最も近いのが翔なのだ。そのためだろう、どんな悩みだって分かってくれる気がした。
事実翔は分かってくれたし、優しい言葉を返してくれた。私がなにを言っているのか分からなくなって泣きそうな時も、温かい瞳でじっと待っていてくれた。だから私は混乱せずにちゃんと自分の気持ちと向き合って、一番正しい言葉で複雑な感情を言い表すことができた。人はせっかちだから、なかなか言葉を待っていてくれはしない。それってつまりこういうことじゃないの、と言われることが怖くて、私は相談という行為ができなかった。途中で口出しをされると、それこそもうわけがわからなくなって、自己対話すら成立せず、言いたいこと全てが泡と消えてしまう。そして、うんそうだね、と曖昧に笑って返すしかなくなり、相手はズバリ言い当ててやった感謝しなと得意げに、しかし優しさを装ってあれやこれやと言ってくる。そうじゃない、もう少し待ってと思っていても、もうなにも言えやしないのだ。私が体験した話ではない。周りを見ての見解だ。けど、間違っていないという確信がある。
いつも私の周りでふざけている翔。しかしそれすらも私を楽しませるための行為のように思えてきて、自意識過剰かなとか自分を笑って見せるものの、やっぱり期待してしまうのだ。
「ねぇ翔。なぜあなたは私の前に現れたの? 他の人じゃない、私の前に」
とある昼下がり、私は翔と公園に来ていた。そこで私は思い切って尋ねてみた。しかし、翔は
「出会ったその時に言っただろ、未来とお話がしたかったんだって」
と気のない返事。もしかしたら、お話ができるなら誰でも良かったのかな。ここはとことん問い詰めてやるべきなのかな。
「それはさ、あなたを見ることが出来たから私だったの? 見られるなら誰でも良かったの?」
「あーまたあなたとか、代名詞使ったな」
私は真剣なつもりなのに、またそうやって誤魔化そうとする。
「分かってるよ、翔でしょ」
「そうじゃなくて、知ってるかどうかが問題なんじゃない。俺は一回でも多く未来に翔って呼んで欲しいんだ」
不意の言葉に私はドキっとした。それは、ときめいたからでもあるだろう。けど他に、なにか私の中の大事な物を見破られた、そんな気もしたのだ。私は相反する二つの緊張感に押さえ込まれそうになる。
「ふ、ふざけないで、翔」
「未来が今本気なのは俺も分かってるよ。けどさ、ふざけてるように見えるかもしれないけど、俺だって本気だよ。今までのだって、すべて本気さ」
またドキッとした。今度も同じ、複雑な緊張。真剣に捉えてなかったのは私の方だった。私は翔に、失礼なことをしていた。
「そのことについて、未来が気に病む必要はない。俺も、態度が悪かったしな。あれじゃどう考えてもふざけてるようにしか見えないもんな」
そんなこと聞きたいんじゃない。慰めは必要ない。どんなにふざけていても、おちゃらけていても、本気だということに気づいてあげられなかったことが悔しいんだ。
翔は、どんな時だって私の本気に気づいてくれたのに。
「仕方ないよ、未来はまだ全てを知らないから。けど俺は未来の全てを知っている。出会ったあの日に教えたじゃないか。『未来は特別だから俺を見ることができるし、俺はずっと未来を見てたからいろいろなことを知っているよ』ってね。もしかして、もう忘れちゃった? それとも、あれは冗談だと思ってた?」
そうだよ、その通りだよ、だから私は本心が知りたくて、本心が出会った日の言葉と同じなら良いなって淡い期待を抱きながら、けど何処かでそんなはずあるかって思ってて、ずっとずっと心の中では考えてたけど、態度には出さないよううやむやにしてて、今日やっと、聞いてみようって思い切ることが出来たんだ。出来たんだ、けどそんな必要はなかったじゃないか。
今ならはっきりと分かる。あれは冗談なんかではない、本気の言葉だったと。ひしひしと伝わってくる、言葉の力強さが。
私の頬を雫が伝う。一つこぼれ出すと、堰を切ったように次から次へと溢れかえる。
「ごめん、ごめんね翔。私って一体何がしたかったんだろう」
「泣く必要はないよ、未来」
翔は空中からそっと私の元に降りて来て、そのままぎゅっと抱きしめた。温かい。確かに感じるこの温もりも、冗談ではない本気なんだ。
「前に言ってただろう、俺の体に会いたいって。会わせてあげるよ」
公園から一番近い駅に向かうと、私は翔の案内に従って電車に乗った。
不思議なことに、指定された駅は全く知らないところだったけれど、何故かずっとそこにいたかのような、もうかなり前から帰りたかったような、引っ越したあとに感じる故郷を思うあの懐かしさがあった。
首をかしげながら駅名を凝視する。やはり、初めて聞く名前だ。
「どうかした? 急に怖くなったとか?」
面白そうに尋ねる翔に私はまさかと笑って答えた。
そしてそこまでの切符を慣れた手つきで購入すると、そのまま滑り込んできた電車に乗り込んだ。
数十分後、電車は病院の最寄りに到着する。病院はそこから徒歩五分ほどの近さだと翔は言った。そして全く迷わずに、改札を抜け出口を抜け大通りを突き進んでいった。私は少し早足てその背中を追う。
気づくと私は病院の正面玄関前にいた。目の前に広がる真っ白な建物を見上げる。大きい。五階建てだということは分かった。しかし、横の端が見当たらない。
ここに生霊だと自称する翔がいるということは、事実上植物状態となった身体が入院しているということだから、入院施設のある総合病院だろうとは思っていたが、まさかここまでとは。なんの案内もなしに入り込んだらすぐに迷いそうだ。
「驚いた? でもまだまだだよ。さあこっちに来て」
翔は玄関の先にあるロビーには向かおうとせず、玄関脇から奥までずっと続いている庭のような空間に私を案内した。芝生が生い茂り、簡易的に作られた石畳の道の両脇には季節の花々が咲き乱れる、よく整えられた綺麗な場所だ。それゆえに妙な違和感を感じる。自然に囲まれているはずなのに、やけに人工的だ。
「気持ち悪いだろ、この庭。俺、散歩は好きだけど、あえてここを散歩したいとは思わないよ。未来ん家の近くの何もない場所歩いてる方がよっぽど楽しい」
翔は寂しそうに呟いた。いつもより声に力がないのは明白だ。
ここにくるの、実は嫌だったのかもしれない。それなら私はすごく申し訳ないことを。
「でも、未来がいるから、今日は楽しい」
ニッコリと笑って翔は私をみた。いつもの温かい笑顔。ふっと心が軽くなる。
もしかして、私が不安なの、伝わったかな。だから元気付けようとして。
なんにせよ、ここまできた以上引き返すわけにはいかないんだ。だったら私だって翔の暗い気持ちを吹き飛ばすくらい明るくしないと。
「私も、ここの雰囲気なんか苦手。自然な感じが全くしないもん。でも、私の家の周りに何もないってのは失礼じゃない?」
「そ、そうじゃなくて、それはものの例えで」
「なーんて、冗談だよ」
二人でひとしきり笑って暗い気分を発散させると、翔もどことなく緊張が抜けたような様子になった。やっぱり、ここに私を連れてくるって決めてから、なんだかいつもより硬い感じがしてたけど、気のせいではなかったようだ。
「こっちだよ、未来」
無機質な庭の途中に、簡易に作られた階段と扉があった。病院の壁を這うように屋上まで続いている。
「これは、非常口? こんなとこから入って大丈夫なの?」
私は念のため翔に確認した。実際、受付を通さないのはなんだか悪い気がする。
「大丈夫。ほら、鍵は空いているから」
急かされるまま私はドアノブを捻る。なんの抵抗もなく扉は空いた。不用心にもほどがあるだろう。
「さぁ、病室は五階だ。そのまま上がって」
「う、うん。わかったよ」
簡易的だがよく整備された非常階段。各階に着くたび扉が目に入る。鍵は、やはりかかっていないのだろうか。
不意に私は足を止めた。そこはちょうど、五階と四階の間の踊り場だった。
不意に、と言ったのは私が意識的に止めたのではないからだ。身体が無意識に静止する。そして向きを変え、手すりから下を覗きこもうとする。
ふっと意識が飛びそうになった。めまい? でも、こんなにも視点が定まらないのは初めてだ。このまま、無意識の闇に落ちてしまいそう。
「らい……未来! しっかりして、あと少しだ」
はっと目を見開く。息が荒い。けど、もうめまいはしていない。
周りを見る。ここは非常階段の踊り場で、手すりが自分より高い位置にあって……。
どうやら私はその場にしゃがみこんでいたらしい。よかった、落ちてなかった。
「ごめん、もう大丈夫」
私は残りの階段をゆっくりと登った。
五階の非常口の前に立ち、そののぶをゆっくり捻る。やはり、なんの抵抗もなく開いた。迷わず院内へ入る。
物音一つしない、静かな空間。まるで、すべての生命が息を潜め眠っているかのようだ。
「部屋は、向こうの角を右に曲がった一番奥だよ」
「分かった」
足音を響かせて廊下を進む。私だけが、その生を主張している。
この階は個室の病室だけがあるようだ。どこの部屋もネームプレートが一つ分しかない。
個室で入院できるのはよほどの重症患者か何か事情がある人、金持ちだけだろう。仮に生霊という存在が精神体だと仮定するなら現在翔の体は意思のない存在。つまりは一時的とはいえ植物人間状態。この状態は、傍目からみればかなりの重症。私は先に精神体と会話しているからそれほど危機感は感じていないものの、早く体に戻るに越したことはない。家族が、心配している。
翔が生霊じゃなくなったら、もう会えなくなるのかな、と思うと少しだけさみしい気がする。
そんなことを考えているたら、気づくと目的の部屋前にいた。
「ここだ」
「うん」
はやる胸を押さえながら、とって手をかけ、そっと開く。
その瞬間、正面から思い切り風が吹き付けてきた。思わず私は腕を交差させて顔をかばう。
突風が舞い込む室内を腕の隙間からそっと覗いた。ベッドを囲う真っ白なカーテンが勢いよく揺れている。その隙間には、ベッドに横たわる人の影。
やがて風が収まり、静かな時が戻り始める。
一歩、また一歩と歩を進め、私はベッドへと近づいた。
揺れの収まったカーテンは、ベッドをすっぽりと覆い隠す。私は何故か焦りを感じ歩を速めた。
カーテンの前まできて、私は数回深呼吸した。もう翔は急かしてこない。それどころか、話しかけすらしない。もしかしたら、もう体に戻ってしまったのだろうか。
私はもう一度、深く息を吸い込むと、右手を胸に当て押し出すように息をはいた。
よし、と心の中で呟き、カーテンに手をかける。
その刹那、またも突風が吹き込んできた。
カーテンがパッと両側に開き私を包み込む。私は驚いて、右手を胸に当てた状態のまま目をつむって体を縮こめた。
カーテンの揺れ惑う音がする。風はまだ収まらない。しかし、妙なことに、カーテンに包み込まれたかのような感覚の後に私は風を感じなくなった。それは台風の目に入り込んでしまったかのような、不思議な感覚。
暖かな光が私の顔を照らす。まるで誰かに呼ばれているようだ。
起きなきゃ、起きなきゃいけない。
私は体の緊張をほどきながら、そっと目を開いた。
溢れんばかりの光が降り注ぎ、視界に映るベッドの輪郭がはっきりと分かった。その傍の台には、花瓶にいけられた綺麗な花。毎日水も変えてもらっているのだろう、光に照らされ元気なのがよくわかる。
しかし、眠る人の顔だけが、よく分からない。光が、白に染めてぼやけさせる。
ねぇ、あなたは誰?
光を手で遮りながら、その人の顔に近づいた。心臓が、動き始める。
「……え、私?」
少し前からちょっとずつ書き進めていた作品です。本当は一話完結にする予定でしたが、思いの外長くなったので前後編にしました。
後編はまだしばらく先になると思いますが、気長におつきあい下さい。
まずは簡単なご挨拶だけで。
それではまた。
2014年 9月4日 春風 優華