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革命的第8話

待たせたな同志諸君! 世界同時革命の日は近いぞ!!


「セルゲイさん、いますか? ってこの絵はなんですか?」

「おぉ! 同志アウレ。これは戦意高揚のためのポスターだ」

 机に置かれたポスターには赤い旗――鎌と槌をかたどったソビエトの国旗を持つ男が先頭に立ち、後方に鎌を持つ農夫姿の女、槌を掲げた少年が書かれている。

 他にも王冠をかぶった男が農夫の少女の上に座り、農夫が泣いている構図もある。

「子供も女も関係なく我らに加われるような絵がよいと注文したのだ。あと、王政の不正についてもだ。よい出来であろう」

 他にも役人によって殺されたヘスラーの妹について書かれた文字だけのものや貴族の暴虐を書き記したものと様々なポスターやビラを私は作らせていた。

「こんなものを作って、どうするんです?」

「ばら撒く。そしてより多くの人民が赤軍に加わるようにするのだ」

 いわゆるプロパガンダだ。貴族政治の腐敗をじかに訴えれば赤軍に賛同するものもでてくるだろう。出ないものは物理的に抹消する。

「セルゲイさん、これなんですけど、ズルワルド陥落に半日もかからず、守備隊は赤軍と対峙しただけで降伏したって嘘じゃないですか? 教会にこもって半日も戦ったじゃありませんか」

「同志アウレ。多少の方便も必要なのだ。王国兵は脆弱であり、簡単に打ち破れる。そう書いたほうが赤軍に参入する敷居が低くなるだろ……いいか同志。我々はまず勝たねばならんのだ。そのためにはより多くの人民の協力が不可欠だ。嘘も仕方の無いことだ」

 それに大げさに書いたほうがインパクトが強い。まぁどこぞの島国も同じようなことをしていたらしいしな。それに比べれば可愛いものだ。

 それにしてもアウレは文字が読めたのか。農奴をしていたというから侮っていた。

「それにしても、これだけの物を作らせるとお金がすごくかかるのでは? そういえば銃についてもお金はどうやって工面したんですか?」

 驚いた。農奴だからてっきり物を買うという発想がないと思っていた。意外とやるえはないか。

「人民にとって労働は美徳だ。徳は進んで得るものだ。それでまかないきれないものは、すべて接収した物だ。死んだやつに金は必要ない」

「…………」

 工房を牛耳っていた豪商や騎士団の駐屯地にあった財産は全て押収した。その金でプロパガンダポスターや銃、火薬の原料を購入した。

 やはり富は再分配して人民全てにいきわたるべきなのだ。うん。

「そういえば私を呼びにきたようだな。どうした?」

「はい、抵抗していた騎士団と豪商たちを街の中央に集めました。どうするんですか?」

「決まっているだろう。粛清だ」



 街の広場にはまだ硝煙と血のにおいがただよっていた。カラスが空を旋回している。

「同志セルゲイ! お待ちしておりました」

「同志ケニノご苦労!」

 街の中央にいるのは騎士団の生き残りと中小工房を牛耳っていた豪商が集められていた。各人が後ろ手に縛られている。

「尋問はどうか?」

「騎士団はともかく、豪商たちは口をすぐに割りました。ですが、有力な情報はありません。ただ2人の商人が我々に賛同しています。どうしますか?」

 心を改めるのいうのか? とりあえず話しを聞いてみよう。

「どいつだ?」

「わ、私です!! 貴方様方の考えはまことに素晴らしい!! 私もお仲間に入れてください!!」

「俺もいれてほしい!! 今までのことは悔い改める」

「よい心がけだ同志。ではここにいる無産階級の人民に貴様らの全ての財を明け渡せ」

「そ、そんな馬鹿なことが――」

「わかりました。あなた方の共産主義という思想は素晴らしい。私は長いあいだバアル様にお仕えしましたが、私腹をこらすことしか考えないあの方にうんざりしてました!! 協力できることはなんでもします! どうか私を仲間にお入れください!!」

 決まったな。

「よかろう同志。では裏切り者から粛清だ」

 「やれ」とケニノに短く命令をする。ケニノたちは仲間になると嘘をついた商人を無理やり立たせた。

 あぁ、駄目だね。本当に駄目だ。嘘をつくなんてまるでファシストのスパイのようだ。

 私はこの世でどうしても我慢できないことがある。ファシスト共が生きている事だ。やはり根絶やしにしなければならないな。

「やめろ! やめてくれ!!」

 商人の首に縄がかけられる。反対側は木の枝を通して赤軍のメンバーが握っている。彼らが縄を引けば商人の首が絞まるというところだ。

 私は広場を見渡す。捕虜は結構な人数がいる。はやく粛清を済まさなければ日が暮れてしまうだろう。

「ここにいる捕虜たちよ! 貴様らは偉大なる共産主義に異を唱えた貴族主義者だ!! 貴族主義者はこの世を腐敗させ、人民を貧困にあえがせる! よってその罪により、死刑を言い渡す!! 執行開始!!」



 さて、見せしめにしばらく吊るしたままにしておくか。だが、疫病が流行らないようにはやく処理をしなければ。あぁ忙しい。忙しいが、労働は美徳だぞ? 同志。


前書き何言ってんだ(ドン引き)

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