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革命的第3話

アウレ

農奴の青年。

 あれから程なくしてアウレの村についた。

 アウレの友人というへスラーから事情を聞くと領主の使いが増税を言い渡しに来たそうだ。

 本当に許せない。ここはやはり見せしめに血祭りにしてやろう。

「村長がそれに反対したんだ。これ以上、増税されると冬を越せないって。そしたら使いの奴等、村長を逮捕するって……」

 なんと! 資本主義の圧制から立ち上がった村長が捕らえられるだと!? 圧制に立ち向かった英雄である同志村長をいち早く救出せねばならん!!胸が熱くなるなぁ。



 ほどなくしてアウレたちの村についた。家と小屋の真ん中のような建物が彼らの居住スペースなのだろう。

 村の中心には二階建てほどの建物がたっている。とがった屋根の上には宗教的彫刻がシンボルとして飾られている。

 そもそも宗教ってアヘンとか麻薬的なものであって思想的優位性を確立している我々共産主義者には不要なものだから後で爆破しなければならないな。うん。

「払えないじゃないんだ! 今は王国危急の時! 税を払わなければ国が滅び民も滅ぶんだぞ!」

 ん? どうやら間に合ったようだ。村の中心の人垣から大きな声やざわめきが聞こえる。

「私のような老婆を捕らえるというなら捕らえてください。ただし、税については待ってください!」

「甘ったれるなこのクソ尼!」

 肉を殴るような音と悲鳴。ゆ、許せん!! やはり粛清しなければ……。

「みんな! 手を出すではない。今は耐えるのだ。大丈夫、大丈夫だ」

「オラ! 起きろ! さっさと乗れ!!」

 老婆が馬車に乗せられる。私はホルスターからトカレフを――。

「セルゲイさんやめてください! 村長も言ってました! 今は耐えるんです!」

「どけアウレ! あいつら粛清できない!」

 アウレに取り押さえられて私は粛清の機会を逃してしまった。役人たちが去ってゆく。村に涙が流れた。



「どーして止めた!! あの豚どもを皆殺しにしてやらねば――」

「セルゲイさん! 落ち着いて!!」

「ところでアウレこのお方は? 察するにどこかの武人様か、お召し物から貴族様の関係者?」

「ちがーう!! 私は退廃的な貴族に見えるだと!?」

「そ、そうだ聞いてくれ!! この方は伝説の勇者様なんだ!」

 「勇者?」「なんんか粗野っぽい方だが?」「冗談だろ?」といったざわめきは聞き取れた。お前ら案外失礼なやつらだな。

「本当だ! この方は魔物を魔法で、それも一撃で倒されて、ソビエトっていう異世界からこられたそうだ!」

 アウレが私になにかしてほしいような眼で見ている。仕方が無い。残弾数が心もとないが、本当に仕方が無い。

 私はトカレフを引き抜いて手近な瓶に照準をさだめ、引き金を引いた。

 瓶は砕けて中に溜まっていた水が流れ出す。喚声が上がった。

「勇者様だ!」「失礼を申し訳ありません勇者さま!」「私たちをお救いください!」

 なんかよくわからないが、助けを求められたのならしょうがない。何よりも人民の解放こそ私たち共産党員の仕事だからな!

「よしわかった! 今こそ立ち上がるときだ! ゆくぞ! 全国の労働者プロレターリアよ!」

 しかし、クールにならなければ。革命には準備がいる。

 武器や兵糧といった軍事物資のほかに情報が必要だ。

 あのアメリカは日本軍ヤポンスキーの作戦暗号を解読したり、イギリスはナチスのエニグマを解読して優位に戦争を進めたという。

 しかし、一番大事なのは武器や情報だけえじゃない。

 人民だ。我が祖国ソビエトが開発した革命的戦術である浸透戦術は多数の兵が前線を押して、前線の弱い部分を一気につく戦術だ。

 つまり戦争は数なのだ。

 いかなる最新兵器や強力無比な戦車が来ても数で殴殺すれば問題ない。

 クルスク戦車戦でドイツ軍のティーガー重戦車1個小隊に我が祖国のT-34中戦車を50両も破壊されたが、ティーがーは月100両程度に対して我が軍のT-34は万単位で生産されるので最終的に大祖国ソビエトからファシスト共を追い出し、ベルリンに迫る勢いである。ウラー!!

 また戦争に大事なのは思想的優位性を誇る共産主義だ。共産主義思想と数。両方を兼ね備える大祖国ソビエトは必ず全世界を席巻するだろう。


 しかしあの時、軽はずみに役人を殺していれば、全てが無駄に終わる可能性があった。アウレに感謝しなければ。

「じゃ……私が勇者様を都に案内しましょう」

 そういって出てきたのはみすぼらしい衣装をきた若者だ。なんかアウレたち農夫とは違った、服を着ている。靴も日本の足袋というものに似ている。

「私は商人をしているケニノといいます」

 彼はケリトアザ王国の工房都市であるズルワルドという街に住む商人で、この村へはズルワルドで作られた鉄製農具を収めに来ているらしい。

 ズルワルドでは純度の高い鉄の採掘が行われていたり、火山による温泉もあり、にぎわっているらしい。

 私はとりあえずそのズルワルドにいって情報収集を行うことにした。


書いててこの小説は本当にファンタジーなのかわからなくなってきました(小並感)

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