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革命的第10話

五月内に勇者様をもう一度更新できるとは思っていませんでした(迫真)


あと、ご都合主義入ってると思います。気分を害された方は総合評価の高い小説を読んでください。


 あたりはまだ薄暗い。かがり火によって明るい天幕の中では最後の確認が行われていた。

「ではまず、バアル騎士団は弓兵の攻撃、重装歩兵の突撃、最後に騎兵による殲滅戦を行います」

 参謀が地図に並べた駒を1ずつ指した。

「ガリル殿はバアル様と共に天幕で待機されますか?」

「いや、私も戦場に出よう。騎士団においてくれ」

 敵の数は一千人ほどと聞く。しかし一揆の有象無象共だ。歩兵が突撃したら敵はもう瓦解するだろう。

「皆のもの! じきに夜が明ける。武功を立てれば褒美を授けよう。よく戦うのだ!!」

 私の声に我が騎士たちが答える。

 そうだ。農奴が麦を作るように騎士は日々、鍛錬と己の技術の研鑽に励んできたのだ。

 その勇壮さは魔物との戦闘でよく知れ渡っている。中央軍集団ほどの活躍はしていないが、我が南方軍集団の精鋭たちだ。それは騎士だけではない。重装歩兵もそうだ。

 その研ぎ澄まされた陣形にやつらは恐れ、震え、絶望するだろう。今頃は命乞いの時間になっているに違いない。

 私は天幕から出て薄明るい世界を見渡す。ふと、敵の陣地が見たくなる。

「ガリル魔導士。哀れな敵陣を見物しようではないか」

「そうですね。しかと見物しましょう」

 参謀が護衛をつけると言ったが、この時間だ。きっとやつらは寝ているに違いない。いや、震えて寝付けぬかもしれぬ。

 今、攻撃しないのはせめてもの慈悲だ。彼らを生かしているのは私の慈悲だけなのだ。

 敵陣をのぞけばかがり火がたかれ、柵とその周辺を行きかう反逆者たちが見えた。

「あの柵はなんでしょう……? 馬よけでしょうか?」

「おそらくそうだろう。だが、迂回してしまえば関係ない」

 やつらはあんな柵さえあれば大丈夫だとたかをくくっているのか? 舐められたものだ。誉れ高い我がバアル騎士団をあれで防ぐつもりか? 片腹痛い。

「農奴共を教育してやる。農奴は所詮、農奴であるとな!」

 舞台は整った。自分たちの存在を思い出させてやる!



 私は塹壕から離れた天幕の中にいた。特設の司令部だ。しかし司令部といっても私は戦闘が始まれば前線に行かなければならない。

 いまだに戦力も戦局も油断ならない時だ。私もセルゲイ銃を持って戦わなければならない。

「同志ケニノよ、舞台は整ったな」

「同志セルゲイ。準備万端です」

 馬を防ぐ柵だが、中央ならびに柵の端には柵が途切れた場所があった。私はそこに大砲を二門づつ設置するよう命じた。これで射線が通る。

 敵は二千人とこちらの二倍以上の兵力を有するが、こちらとて新兵器の榴弾砲が合計六門設置されている。

 目標は柵と塹壕避けてを通過するであろう騎兵と歩兵だ。

 騎兵の出番はおそらく歩兵の突撃の後――こちらの士気が崩壊して壊走した所をその機動力で包囲するはずである。

 つまり騎兵は歩兵を援護するために側面を取ろうと中央ではなく両脇からくる可能性が高い。

 大砲を側面に設置させたので革命的に敵騎兵は壊滅でるだろう(まぁ命中は期待できないが)。

 それに最終的に騎兵に対して頼みになるのはズルワルド市街戦で鹵獲したパイクになろう。

「しかし、同志セルゲイ。戦力比が圧倒的だと不安がる兵がおります。自分たちの二倍以上の騎士団とたたかわなくてはならないことに恐怖を抱いております」

「そいつは敗北主義者だ。我が赤軍を崩壊させうる貴族主義の手先だ。次にそのような世迷言を言った奴は粛清しろ。それに我らは思想的優位性を保持しているから貴族主義の雑兵より十倍は勝れている。すなわち我らは一万の軍勢なのだ。一万の軍勢で二千の弱兵を蹂躙するのに何を不安に思うのだ?」

「さすが同志! そうですよね。我ら解放赤軍が負けるはずがありません! 早速、泣き言を言っている奴を粛清しましょう!!」

 いい心がけだ。同志ケニノは立派な政治将校になるだろう。

 兵力差に関しては我が兵は十倍は勝れているから問題ない。

 しかし、騎兵の機動力は大変な脅威だ。

 いくら練兵を施したといっても元は農夫や工夫だ。包囲されてしまったらどうすることも出来ないだろう。

 我々にあるアドバンテージはいくばくかの射程と迅速な補充人員だ。

 敵の兵は補充には時間がかかるだろうが、我々は違う。おそらくそこが戦争の帰趨を分けるだろう。

「さて、同志アウレ。君の部隊の布陣はどうかね?」

「言われたとおり、端の部隊の後ろに布陣しました。味方が前にいるから敵を撃てないし、どうするんですか? 予備兵力ですか?」

「違う。全軍に命令してあるが、このような大きな戦だ。少しでも旗色が悪くなると逃げ出す輩がいる。そいつを撃て」

「み、味方ですよ!?」

「同志アウレ。そいつは味方じゃない。味方なら背を見せずに敵に立ち向かうものだ。もし、逃げたやつがいるならそいつは敵のスパイだ! 我々のことを貴族に売る唾棄すべき連中だ! だから逃げたやつを撃て。ちなみに同志ケニノ。君も――」

「わかっております同志。我々の崇高な目的を踏みにじる貴族の手先は皆殺しです」

 同志ケニノ。わかっているではないか。ハラショー。

「さて、弾薬は十分か? 火種は?」

「……それについては大丈夫です。すでに塹壕の中にかがり火がたかれてますからすぐに火種を移せます」

 それはいい。すぐにあの屑共をほふれるではないか。

「そうか同志アウレ。ハラショー。我らが赤軍に勝利を!」

 それから私は司令部天幕から指揮を執るために二人と別れて中央の塹壕に向かう。

 しかしケニノはともかくアウレの釈然としない顔に不安が覚えるが、彼も私と同じ革命戦士だ。十分、やってくれるだろう。

 塹壕に入った私は雑納から取り出した双眼鏡で相手の陣容を観察する。

 距離は五百メートルくらいか? 歩兵が二千人程度。 その後方には騎兵がいるだろう。

 この時代では密集した歩兵の突撃、その後に両側に待機する騎兵が包囲して殲滅するというのがセオリーだろうからまだ騎兵を恐れることは無い。騎兵で一番恐ろしいのはその突進力と機動性だ。なんとしても動きを止めなくてはならない。

 その時、敵陣に太鼓が響いた。決戦の合図だ。東の彼方が明るくなってきた。

「矢が来るぞ!! 警戒せよ!! 戦闘配置!! 装填!!」

 各中隊長から小隊長へと命令が復唱される。これらの小隊や中隊の指揮官にはすでに戦闘を経験した工夫や農夫たちを起用している。しかし、こちらも信号ラッパや軍鼓が欲しい。

 そうだ。この決戦の後に奪えばいいではないか。簡単なことだ。

「打って来た!!」

 その報告に私は空を一瞥する。一応、弓よけの盾(木製)は作らせたが、数はあまり無い。塹壕の壁に身を寄せて一撃を回避する。

 3回くらい、弓の雨が降った。太鼓が鳴る。きっと歩兵の突撃だ。鬨の声が聞こえる。

「射撃用意!!」

 私を含めた全員が塹壕から頭を出す。

 槍を構えた歩兵が突撃してきた。

 盾を前面と上方に構えている。ファランクスと言われる古代ギリシャが使っていた歩兵戦術に似ている気がする。

 だが、そんな古代の陣形で赤軍に勝てるとでも思っているのか?

「砲兵隊より伝令!! 砲撃準備よし!!」

「砲兵は射撃開始!!」

 伝令が走っていく。距離は100メートルをきった。これくらい近ければ当たるだろう。

 轟音が響く。歩兵の陣中で砂埃が上がる。吹き飛ばされる兵。なぎ倒される兵。様々だ。一応、大砲としての機能は果たしているようだ。

「全隊! 射撃開始!!」

 私の号令の元、ゴルシコフ銃が火を吹く。時代錯誤の貴族主義者め、我々の恐ろしさを教育してやろう。



「なに!? 歩兵が!?」

「はい!! 苦戦しています! やつらは炎の魔法を使うようです!!」

「馬鹿な!? あれだけの兵力を相手にしているのだぞ!? 学校を出たものが王国に反旗をひるがえしたなんて聞いていない!! 何かの間違いでは!?」

「いえ、確かにものすごい炎が上がっていました」

「そんなはずは……教育を受けない者であれば魔力についての知識もない……そんな者がここまでの大部隊を攻撃できるはずがない!!」

 ガリル魔導師の顔に浮かんでいる不安にこちらの騎士たちの顔色がだんだんと悪くなる。なんたる事だ。

 貴族が不安を顔に出すとはなんたる失態か。怒鳴ってやりたいところだが、ここで怒鳴っても士気を下げるだけだ。自重する。

「報告します!! 突入した重装歩兵が壊走しています!! 指示を!!」

 なんてことだ。そんな馬鹿な。二千もの重装歩兵が敗れるだと!? それも一揆風情に。

「騎士団が駆け込む!! 士気を取り戻すのだ!!」

 私は愛馬にまたがり、騎士団の先頭に歩み出る。

「今こそ我らが誅罰を下すとき! みな続け!!」

 「おう!!」「万歳!」「バアル様万歳!!」

 騎馬が駆け出す。大地が揺らぐ。側面から騎馬が仕掛ける。

 戦場には血と何かをもやしたかのような臭い、そして煙が立ち込めている。

 敵陣では鬨の声とは違う声が聞こえる。

 敵は何か棒状のものを持っている。槍か、なにかのようだ。

 その時、花瓶をたたきつけたような音がした。私の愛馬が倒れた。

「え?」

 視界が揺らぐ。周りの馬たちが悲鳴を上げる。それでも数騎が走っていった。

 な、何が起こったのだ? 私はなぜ倒れた? 起き上がろうと手をついた。

 何か生ぬるいものが手に触れた。

「が、ガリル!! ガリル魔導士!!」

 そこには変わり果てた婿がいた。天を恨めしげに見ている目には魔道学校主席の自信など映っていなかった。



「馬が来る!! 馬が!!」

「わめくな!! 前列射撃用意!!」

「駄目だ! お終いだ!! もう嫌だ!!」

 その声が発端だった。騎馬隊が押し寄せようとする小隊の士気が崩壊した。

「お、俺も」「こんなとこいられるか!!」「母さん! 母さん!!」

「撃て! 撃たねば死ぬぞ!!」

 塹壕からボロボロと逃げ出す人々。そこに発砲音が響いた。

 逃げ出そうとしたものだけではなく、その場にいた者に等しく弾丸が降り注いだ。

「は~い! 第二射用意!! 裏切り者だ。貴族主義者だ。スパイだ。こいつらは同志ではない。敵だ! 撃て!!」

「同志ケニノ! やめてくれ! 俺はみかた、ぐあああ!!」

「では同志諸君! 敵に対して射撃を続行してください! ほら! 早くしないと、あの騎士に殺されるまえに私たちがあなた方を撃ちますよ」

 ケニノの顔に悪魔が写っていた。味方に対しても一寸の遠慮もない顔を人間が作れるだろうか?

 ケニノが手を上げる。射撃用意の合図だ。塹壕にいた指揮官は撃たれた痛みも忘れて号令をかける。

「しゃ、射撃用意!! 撃て! 前列、後方へ! 中後列は一歩前進!!」

 しかしそこにあった列は崩れていた。あわてて装填する。カートリッジから火薬が、弾がこぼれる。

「見ていられませんね。同志諸君! 出番です!」

 ケニノの部下たちが塹壕にいた者をどけて射撃をする。

 敵の騎馬隊は沈黙した。



 この戦いでケリトアザ解放赤軍が投入した火器はバアル騎士団を震え上がらせた。

 一度轟音を上げれば馬は暴れ、隊列を組んだ歩兵は吹き飛ばされた。

 バアル騎士団は一揆軍全員が魔法のような攻撃をしてくることに慄き壊走を強いられた。

 ヘイムリヤ・バアルは参謀の助けにより戦場を離れることができた。

 残った兵力はヴァスドン関所の門を閉じて立てこもった。

 赤軍はいよいよ、勢いづいた。

 そして勝利に酔った。

 酔わなければならなかった。

 そうでなければ、後ろから撃たれるかもしれなかったから。


ちなみに鉄砲TUEEEEEE!!! になってますが、実際はもっと苦戦すると思います。


鉄砲が騎兵に対して確定的な優位性を発揮するのは後装式ライフルが登場して連発銃が現れる頃です。

つまり第一次世界大戦までにならないといけません。


織田信長が長篠の戦いで武田の騎馬隊を~と言いますが、それは馬防柵をはったりと野戦築城や槍を使う足軽がいたりと複数の要因(例えば兵の練度とか)による勝利です。


同志セルゲイの場合は運が良かったと言うことで、ここは一つお願いします。

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