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革命的第1話

昔、別の名前で小説を書いていましたが、その時は第2次世界大戦のやつしか書いていなかったので、初のファンタジー小説にどきどきしてます。感想評価をお願いします。



#####この小説は当局によって監視されています#####

 ここはどこだ?

 私はたしか退廃的なファシスト共と森で戦い、敵の凶弾に倒れたはずなのに気がついたら丈の長い草むらにいるではないか!

 あたりを伺っていると草むらが急にゆれだした。

 まさかファシストどもか!!

 ならばやることは1つしかない。

 私は大祖国が生み出した革命的拳銃のトカレフをホルスターから抜き放つ。

 草むらの動きや足音からして数は少ないようだが、やはり拳銃1丁ではやや心もとない。

 しかし同僚は革命的精神させあれば素手でもファシストを倒せると言っていたし……まぁだいじょうぶだろう。

 私は慎重にトカレフの照準を草むらに合わせる。そのとき、草むらの向こうの人物が同志だったらどうしようか。

「誰だ! 名前を名乗れ! 名乗らなければ撃つぞ!」

 警告を発したが相手は止まるそぶりを見せない。どうやらロシア語はわからないようだ。

 と、いうことは敵だ! 両手でトカレフのグリップを握って照準を安定させる。その瞬間草むらが大きな影が飛び出した。

「なッ、なんなんだ!?」

 草むらから出てきたのはドイツ野郎でもポーランド人でもなく、二足歩行するトカゲのような生き物だ!!

 背丈は2メートルはあるか、前足についた鉤爪がカチカチとひびき、鋭い眼光が私を射る。

 沈黙はわずかだった。トカゲは腕を振り上げて私を引き裂こうとする。

「う、くそ!!」

 だが爪が届く前に右手に握っていたトカレフの引き金を立て続けに引く。

 手になじんだ反動が八回起こり、スライドが後退して止まる。

 肩で息をする私を尻目にトカゲが、崩れ落ちた。

「……これは一体なんなだ?」

 我が大祖国では一度も見たことも無い生物だ。ポーランドにもいないと思う。まぁシベリアまで行くと見れるかもしれないが。

「あ! あの!! 大丈夫ですか!?」

 振り返ると籠を担いだ農夫のような男が走りよってきた。手に弩を持って俺が倒したトカゲを警戒している。

「大丈夫だ、問題ない。それよりこいつはなんなのだ?」

「なにって……魔物でしょ? 先週も現れたのにまた出てきたのか……」

 はて、魔物とは? まるで意味がわからん。

「まさか……魔物を知らないので?」

「知らないも何も初めて見た。そもそもここはどこだ? 私はポーランドの森でファシスト共を相手にしていたのに……」

「ぽーらんど? ふぁしすと? 何をおっしゃっておられるので……?」

 農夫の話を聞くとなんとここはポーランドでも大祖国ソヴィエトでもなかった!!

 ここはケリトアザ王国という国で、北の魔王が統治する国と戦争をしているという。

 さっきのトカゲは魔王の手下でゲリラ的に攻撃を仕掛けてきているらしい。

「つまり……俺は異世界に来てしまったのか……」

「おそらく……そうだと思います……」

 ん? 農夫がいやに哀れんだような目をしている。

 どうやら農夫は私を頭のネジが緩んだかわいそうな人のように思っているようだ。

「私が言ったことが嘘であると思っているのか?」

「い、いえ滅相も無い……」

 顔を背けて引きつった笑いを浮かべている。間違いない。私を馬鹿にしている。

「そういえばあなた様はどうやって魔物を退治したのですか? 剣も槍も見当たりませんが……」

「それは我が大祖国が作った最強の拳銃――トカレフであのトカゲを退治したからだ。剣も槍も銃の前に無力だからな」

「じゅう……ですか?」

 まさかこの農夫、銃を知らないのか? いやしかし異世界だからありうるかもしれない。ここはこの農夫を見返すよい機会かもしれん。

「これが銃だ。金属製の弾……矢じりか、を火薬によって高速で撃ちだして遠くの資本主義の犬を殺す道具だ」

「はぁ……私は農奴・・ですので学がありません。もう少しわかりやすくお願いします」

「簡単に言うと遠くの敵を弓よりも早く確実に殺る道具だ」

 私はトカゲを撃って空になったマガジンを抜いて予備マガジンをトカレフに装填する。ためにし倒れているトカゲに一発撃ちこむ。

「あ、貴方様は魔法使い様でしたか!!」

「いや違う。政治将校だ」

 どうやら我が祖国の技術の高さが魔法のように見えるらしい。誇らしい限りだ。

 だが先ほど農夫の話ていたことに違和感を持ってしまった。

「魔法を使えるということはやはり貴族様ですか? これは大変な失礼を――」

「貴族だと!? この私が貴族に見えるか?」

 農夫は申し訳ありませんとすばやく謝る。そして違和感の正体がわかった。

「お前は農奴なのか? それに先ほどの質問、この国には貴族がいるのか?」

「はい……ケリトアザ王国は昔から王様と貴族様が国の政を行う国です。我々農奴は貴族様の荘園を耕して租税を納める義務があります。

 ただ、近年は魔王の侵攻によって軍費の調達のために租税が上がっておりまして我々農奴の生活はより苦しくなっております。

 しかし、もしかしてなんですけど、異世界からこられた魔法使いが世界を救うという伝説が本当なら、貴方様はまさに勇者様ですね! 私たちを苦しみから解放してください!」

 なるほど。この国は王と貴族に支配されており、魔物との戦のために増税が加わって人民が貧困にあえでいる、というわけか。確かにこの農夫もやせ細っている。

 政治将校としてもソビエト連邦共産党党員としてもこれは見逃せない。

 それに元の世界へ帰るすべもわからないのだ。ならばいっそのことひと思いにやってやろう。あと勇者がどうのといっているが関係ないだろう。

「なるほど。このセルゲイ・ゴルシコフ、事情はわかった"同志"! ならばまず怠惰な貴族主義共を根絶やしにしてやろう!! 今こそ革命の時だ!!」



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