★ プロローグ
たった一回の夏で人生が変わる。
って言われてもピンとくるはずがない。
だって私はまだ、
人生が変わるのが分かるほど大人になってないのだから。
そんな私でも、人生の意味は知ってる。
それは自分で道を切り開けないというのも分かってる。
けれども、
人生はたった一回きりの素敵な出逢いで地球がひっくり返ってしまうくらい、
単純な物だって気付いた。
そう、
あの人に出逢ってから―――――。
中学生の時、
大親友の恋のキューピットをしたことがある。
大親友がどうにかお目当ての相手に振り向いてもらえるよう、
色んな努力をしてきたけれど、
結果は残念な結果に終わってしまった。
大親友は「大丈夫だよ、明日香のせいじゃない。」って言ってくれたけど、
放課後の教室で夕陽に照らさられながら大親友が泣いていた事を私は知っている。
恋をして良い事なんて一回もないと思った。
周りの友達が次々と彼氏を作り、
ものすごい勢いで別れていくのを目の当たりにしていたから。
けれども、
そんな私にでも、
運命の人に出逢えた。
愛しくて愛しくて誰にも渡したくないぐらい大事な人。
あの時の事は今でもはっきり覚えている。
そう、
あれは高校二年生の夏のこと―――――。