06S.淫魔ドール・ネティス 前編
「デスタロン(破壊神拠点)」の「紅姫の元」に「中央神アラル」から、いわく付きのドールが、送られて来ました。そのドールは「女型」のものでした。神が、言うには「このドールは〝右側神の世界″のもので有り、現物は所有者が、死亡した為に、既に破棄されて、その世界には存在しない。」と、言いました。それは「所有者達の凄まじい情欲を、その素体に注がれ続けたので、ドール自身が、物体なのに既に、淫魔化して居ると言う〝稀有なドール″だ。」と、言いました。
所有者の何れも、ドールを実体化出来る「使い魔」では無かったので、自我が、目覚める前の状態で長い間、存在したので、今では「強力な〝淫魔ドール″に、成って居る。」と、言いました。そのドールは「女型ドール」の為に「男型の者が、所有すると〝欲情の世界″に、引きずり込まれてしまい、そのドールから中々、離れられなく成る。」と、言いました。
その結果「淫靡な世界から、抜け出せなく成るので最悪、死に至る者達が、続出した。」と、言いました。その「いわく付きドール」を「中央神アラル」が気に入り、わざわざ異世界で「デュプリ(複写)」して、この世界に「持ち込んだ」ようでした。そしてそれを「紅姫隊が、管理しなさい。」と、言うことでした。
紅姫は、この世界では「神の声」が、聞ける「稀な存在」でした。彼女は「神の御命令」には、背けなかったので、その件を了承しました。では具体的に「それをどうすれば良い。」のでしょうか。紅姫が、白郎に命じました。彼女には「男型の機能」が、備わって居ないので、彼女のファミルの中で、彼が選ばれました。
紅姫の本名は「レミティル」と、言いました。彼女は「地下世界アルザンティア」の出身で有り「赤い体皮」を、持つ巨人族「タイタニオン」の娘でした。彼女の呼名の言われと成った、赤い皮膚は、同じ地下世界の魔人類で有る「赤色魔人」の遺伝子によるものでした。☆「中央神の世界」でも、地下世界は「アルザンティア」と、呼ばれました。
彼女の先祖に、その魔人が居たので遺伝の結果「赤い体皮を持つ」タイタニオンと、成りました。彼女の体皮は、そんなに強い赤色ではなく、やや桃色に近い、体皮でした。タイタニオンの女型としては、小柄な方で、身長は180㎝程度でした。
紅姫の本流は、ダルタニアの巨人種「ギガンデス」でした。その魔人は、身長3m~5mも有る、この世界一の巨人族で有り、全身緑色をした体毛に覆われ、その体毛と皮膚は、かなり固く、弾丸を通しませんでした。後頭部には、後ろに向かって2本の、太くて短い角が有り、発達した犬歯が2本、上から下に伸びました。
顔にも、緑色をした体毛が生えており、目は1つではなく、2つ有りました。全身を、強固な筋肉に、覆われて腕は、途轍もない破壊力を、秘めました。それは「人間界」で、言うと「鬼」のような姿でした。彼等の専用武器は「棍棒」で有り、それは「特殊な金属」で、鋳造されました。
その姿は「人型」でしたが、殆ど魔獣に近い、存在でした。その巨人族の一部の者達が、地下世界へと降りて行き、そこで魔人化して、小型に成った者が「タイタニオン」でした。彼等は、背中と毛髪以外の体毛を失い、毛の色も茶色に、変わりました。容姿も、一般的な魔人類と変わらない姿に、戻りました。しかし彼等の、後頭部の角と犬歯は、そのまま残りました。
「タイタニオン」は、男女共筋肉質で、腕力が強いのが、特徴でした。彼等は、巨人族の言語と、習慣と体臭を共有しており、見た目は変わりましたが、互いに同族意識の高い魔人類でした。彼等には、独自のネットワークが有り、彼等の武器は、タイタニオンが製造したものを、同族で有るギガンデスに、供給されました。紅姫は、その魔人の傍流で有る「タイタニオンの系譜」でした。
彼女の容姿は、普通の魔人類と同等でした。髪は、栗毛色の直毛で有り、胸まで伸びました。瞳の色は茶色で、上下とも長い睫毛でした。目は大きくて彫の深い、綺麗な顔立ちでした。眉は、切れ長で有り細くて、濃い茶色でした。ポッチャリとした唇から、小さい牙が見えました。彼女の肌色は、ピンク色に近い色でした。後頭部には、太くて短い角が、生えて居ました。
「紅姫」は、筋肉質な身体でしたが、胸も大きくて、魅力的なスタイルでした。大柄な女性でしたが彼女は、武装しませんでした。何かの、大掛かりな戦闘が有っても、彼女の装備は、有りませんでした。そして彼女の武器は、タイタニオン専用ではない、赤い金属で造られた、ギガンデス専用の大きな「アイアンクラブ」を、装備しました。
実は彼女は、戦闘態勢に入ると、強力な「先祖返り(トロス)」をしました。これは、紅姫だけが持つ「固有スキル」で有り、彼女は自由に「赤い体毛を持つギガンデス」に、変わることが出来ました。彼女が、ギガンデスに変異すると、体長4mにも成る大柄な破壊神「赤いギガンデス」に、成りました。そして彼女には、ファミルで有る「白郎(アルティス族)」や「エミリア(黄金魔獣)」を、初めとした「バフォメトンの3聖獣」達を、従えた「破壊神部隊」の司令塔と、成りました。
「中央神アラル」は、その「淫魔ドール」を起動させて、新たな紅姫のデスタスの、メンバーとして、部隊に組み込むことを、考えました。それから白郎が、質問しました。「自分は〝使い魔″ではないので〝淫魔ドール″を、起動させることが出来無い。」と、言いました。
しかし「宇津木白郎」には、淫魔を従える能力が、有りました。彼は「戦闘魔人ギガンデスと、双璧を成す」アリティス族の勇者でした。そして紅姫が、言いました。「そのドールを起動させる為に、今回特別な力を、貴方に与えて居る。」と「中央神アラル」が、述べたようでした。
白郎は、しかたなく了承しました。それから「それは何処に、有るのでしょうか。」と、言うことに成り、紅姫が神に聞くと「紅姫隊の隊員」で有る「淫魔系ゴーレム」の「宇津木アマネ」が、眠って居た「D・ダンジョン」の中に、隠したとの、ことでした。そこには前回、訪れたことが有るので、まだ「Mサークル」が、残って居ました。
紅姫も「そこには、同行する。」と、言いました。そして、現場まで行くことに、成りました。2人は準備が整うと、早速「Mサークル」を、起動させると「Dダンジョン」へと、向かいました。白郎は、そのドールを動くようにして「何に、使うのだろうか」と、思いました。そのドールは「所有者の欲情を、煽るものだ。」と、聞かされました。その「他者のそれ」を、煽ることが出来るドールを、これから動くようにするのです。
紅姫隊には、既に似たような存在で有る「アマネ」と言う「淫魔系ゴーレム」が、居ました。その為「もう一体増やす」と、言うのでしょうか。白郎は「使い魔」では、無かったので、仮にドールが動くように成っても「それはゴーレムには、成らないだろう」と、思いました。彼は、そんなことを考えて居る内に、アマネが隠されて居た「秘密部屋」まで、到着しました。
紅姫達は、そこに到着すると「淫魔ドール」を、探しました。しかし部屋の中には、置かれて居ないようでした。その為「アマネ」が、入って居た石棺が、当時のままで、置かれたので、その中を覗きました。「すると・・・。そこに有りました。」それは、かなり「妖艶な気」を放つ「危険なドール」でした。確かに白郎は、それを見ただけで、欲情しました。こんなものを、一般人が持てば「確かに命を、奪われるだろう」と、思いました。
その「淫魔ドール」の容姿は、白い肌色をした金髪で有り、彫の深い顔でした。身体付きが、大柄な巨乳娘で有り、髪は長くて直毛で有り、背中まで伸ばして居ました。見た目が人間で言うと、妖艶な白人娘のように、見えました。眉毛が細くて、切れ長で有り、瞳の色が、薄い水色でした。目の上下には、念入りに描いたような、焦げ茶色のアイシャドーが、入って居ました。唇が上下共、厚ぼったくて、魅惑的な朱色でした。そして鼻筋が高くて、尾翼が狭いと言う、典型的な「美女の容貌」でした。
その「ドール」は、目を見開いて、白郎のことを、しっかりと、見て居ました。彼女は、まるで生きて居るように、見えました。確かに、こんな妖艶なものを、所有したら、大概の「男型の若者」で有れば、即座に反応して「悪戯を、するだろう」と、思いました。これならば、神でも「〝動かしてみたい″と思っても、しょうがないのか。」と、彼は思いました。
同じく、それを見た紅姫も「あらぁ。凄く綺麗な、お人形さんね。これならこの子を、自動化しても、アマネとはタイプが違うから、キャラが被らないわね。でも戦闘能力は、低そうね。彼女は典型的な〝淫魔タイプ″に、成るわね。ただ男型を、誘惑するだけに特化した、殿方に取っては、夢のような〝魔人ドール″に、成るわ。でも本当に、解き放っても良いものかしら。」と、彼女は囁きました。
そして、この「淫魔ドール」の自動化の方法とは、それは「歴代の所有者」が、このドールにして来たように、ただ只管に、ドールの体内に「情欲の体液」を、注ぎ込めば、良いとのことでした。それをこれから、白郎が何日も掛けて、この淫靡な洞窟内で、このドールを相手にするのです。自立するまで、どの位の日数が、掛かるかは、分かりませんが、することにより「ドールが、動くように成る」と、言いました。
この「Dダンジョン」の最初に、入って来たときに開けた穴は、既に修復されました。誰が直したかは、知りませんが、この洞窟は、密閉された「最初の状態」に、戻って居ました。このドールが置かれた「密閉空間」には、自分達しか居ませんでした。白郎には、言葉の通じない相手の心と、話すことが出来ました。ドールは物体でしたが、既に何かの意思を、感じられたので、試しにドールの心を、覗いて見ました。すると何かが、聞こえて来ました。