番外編① 展開が早すぎてついていけません!
たくさんの評価、イイね、ブックマークありがとうございます♪
めちゃくちゃ嬉しいです(*´ω`*)
また、リクエストがありましたので、後日談というか「最終話のその後の話」を投稿しようと思います。
もうしばらくお付き合い頂けると嬉しいです。
こんにちは、皆さん。
ほんの2時間ほど前、ついにあの強面総長と心が通じ合い正式にお付き合いする事になったアンズです。
そう、総長に告白し、逆にイロイロと告白され、つい数時間前に付き合い始めたばかりのはずなのですが。
「つーワケでアンズは俺の女になったから。手を出したヤツは殺す」
なぜ、徴税課の朝礼でこのような報告がされているのでしょうか。
総長、心配しなくてもアラサーの私に手を出す物好きはアナタぐらいしかいません。
あぁ、ほら、皆さん上司の突然のプライベート報告に死んだ魚のような目をしているじゃないですか。
痛い。みんなの視線が痛い。完全に同情しきったような憐れみの視線が痛い。
あとニックさん。今めちゃくちゃ笑い堪えてる顔してますよね。私、昨日総長の家に置き去りにされたことまだ許してませんからね。後で文句言わせてもらいますからね。
今朝、総長にからかわれた後、猛特急で自宅に戻りシャワーと着替えを済ませてどうにか遅刻せずに出社できたと思ったら(ちなみに昨日高熱で倒れたはずの総長は、今朝になったらいつも通りの体調に戻ったようで普通に出社してました)。
朝礼でまさかのカミングアウトですよ。
朝礼で交際宣言する人って普通いますか?いませんよね!?あぁ、私はこれからどんな顔で徴税課の皆さんと接すればいいのでしょうか………。
***
「長官!なんなんですか、あの朝礼での報告は!?」
「何って普通にホウレンソウだが?」
「報連相は仕事に関する報告、連絡、相談です。プライベートな内容は報連相に含まれません!」
「そうピリピリ怒んな。俺達レベルになるとプライベートも報告の義務があるんだよ」
何ですか、俺達レベルって?私を総長と一緒のレベルに含めないでください。
うーん、でもよく考えたら私はともかく総長は徴税課の長です。日本で言えば課長クラスでしょうか。役付きになるとプライベートな内容が朝礼で報告されることもあるかも………って日本でも結婚報告ならともかく交際宣言している人なんて皆無でしたよ。やっぱり総長の感覚がおかしいんじゃ………。
いえ、深く考えるのはやめましょう。これ以上考えていると精神衛生上にも良くない気がします。
「ところで長官、今からどこに行くんですか?」
実は先程、仕事中に総長から「付いて来い」と言われ、総長と2人並んで歩いているのですが。
なぜか徴税課などがある建物から外に出て。
いつの間にか王宮内に入り。
無駄に長い廊下を歩いているなぁと思っていたら。
段々と警備が物々しい区域に足を踏み入れ始めておりまして。
私がこの世界に巻き込まれ召喚された直後、約1ヶ月ほどは王宮内の客室で過ごしていましたが、この区域に入ったことは一度もないのですが。
廊下に飾られている調度品もキラキラ輝く見るからにお高そうな物が多いですし、もしかしてここはやんごとなきお方がいらっしゃる場所なのでは?
なんでしょう。緊張で背中に冷たい汗が流れます。嫌な予感しかしないのですが。
「言っただろ?俺たちレベルになるとプライベートも報告義務が出てくるだよ」
そう言って総長が立ち止まった先には、ただでさえ警備が厳しい区域の中、屈強な騎士らしき人達に厳重警備されている扉が。絶対にこの中にいる人はビップなお方ですよ。間違いないです。
あ、あの、総長、まさか今からこの扉の中に入るなんてことは………。
私がビビっている間にも総長は扉をノックし中に入っていき。もちろん私も総長から連行されるように中に引きずられていったのですが………。
「陛下、時間を作って頂きありがとうございます」
「よい。そなたの頼みを無下にするわけにはいくまい」
あ、あの。今、陛下って言いました!?言いましたよね!?ということはこのやたら豪華な執務室の、大変立派な机に座られている、誠に威厳のあるそちらのお方は………も、もしかしなくてもこの国の国王様になるのでしょうか!?
あぁ、胃がキリキリと痛み始めました。総長、私を連れて国王陛下に何の報告をするつもりですか!?!?
「今回はお願いがあり参りました」
「ほう。それは隣の異世界人である女性と関係がある事か?確か名はアンズ・タチバナだったか」
「仰る通りです、陛下。こちらのアンズ・タチバナと私の結婚を許可して頂きたく存じます」
………はい?
あ、あの、総長?あなた国王陛下に何をお願いしているんですか?
まぁ、確かに現在の私の身元後見人は国ですので、結婚の際には国の許可がいるかもですが、それでもいきなり国のトップに持って行く話じゃないですよね?下から少しずつ上に持ち上げていく話ですよね?
しかも私たち今朝やっと付き合い始めたばかりなのですが。確かに告白時に「最後の女にしたい」的な話はありまして「最後=結婚」に繋がりはしますが………でも!そういうことって、もう少しお付き合いしてから、少しずつ2人で話し合う事じゃないんですか!?ゆっくりと進めていく話なんじゃないですか!?
「ふむ。クレイが異世界人に熱を上げているという噂はかねてから聞いていたが、まさか本当だったとはなぁ」
「こうやって直接陛下のところに結婚の許可を頂きに参るくらいには」
「なるほど、そなたも必死というわけか。………して、アンズ・タチバナよ。そなたに異存はないのか?」
………は、はい?
異存はないかと聞かれても、この状況で国王陛下に向かって「異存ありまくりです!」なんて正直に言えるわけないです。というか、敬語!私、正式な敬語がアヤシイのですが、変な答え方して不敬罪とかに問われませんでしょうか!?どうしましょう。この世界の王族に対する礼儀やマナーが全くわからないのですが!!
私が完全に混乱してアワアワしていると………
『アンズ、返事は?』
総長の心の声が聞こえてきました。
思わず隣を見ると、総長もこちらを見ていて。目があった一瞬、意地の悪い黒い笑みを浮かべ、ニヤリと口の端を持ち上げて。
あ、これ、青くなってアワアワしている私を見て楽しんでいるパターンですね、わかります。というか、こんな場所でまで私をオモチャにするなんて信じられません。今度、絶対に何か仕返しをしなければ。
とはいえ、いつも通りの総長の顔を見たら頭が冷静になりました。
今朝付き合い始めたばかりでこの展開は急すぎますが、それでも「総長と結婚したいかどうか」と問われたら、答えは1つしかありません。
「はい。私もクレイ・クロム長官をお慕いしていますので」
国王陛下の目を真っ直ぐに見つめて私の正直な気持ちを伝えます。
「であるならば、余が反対する理由などあるまい。クレイ、結婚を許可する」
「は、ありがとうございます」
その後、少し国王陛下と総長が軽い雑談をして、無事に執務室を出ることができたのですが。
徴税課に戻った後も、本当に散々でした。
徴税課では総長とのアレコレを皆さんから聞かれ。さらにはどこから聞きつけたのか、他部署の方までもが徴税課までやってきてイロイロと聞かれ。完全に珍しい見せ物状態です。
で、やっと就業時間が終わったと思ったら、総長から夜月亭に誘われ。行ってみたらチェイソンさんとマーサさんから………
「クレイと結婚するんだってな?クレイの事よろしくな」
「アンズちゃん、アタシ達の事は遠慮せずにお父さん、お母さんって呼んでいいからね。こんな娘が欲しかったんだよ」
と涙ぐみながら言われ。
誤解がないように言っておきますが、私はチェイソンさんもマーサさんも大好きです。きっと今から数ヶ月後に同じセリフを言われたら感動して泣いていたに違いありません。
が、今朝付き合い始めたばかりなのに、そんなセリフを言われ、私にどうしろと………。
いえ、チェイソンさんもマーサさんも全く悪くありません。2人とも純粋に喜んでくれています。そんな2人を見ると私も嬉しいです。
はい、悪いのは全て総長です。
私、知ってます。これはおそらく「囲い込み」というヤツでしょう。総長に外堀をドンドン埋められています。でも、こういった囲い込みって普通本人が気づかない間にゆっくりと進めていくものじゃないですか?
展開が早すぎてついていけないと言いますか、徴税課の皆さんに国王陛下。さらにはチェイサンさんにマーサさんまで………。あぁ、なんかもう総長から逃げられる気が1ミリもしないのですが………。
2人にお礼を言いつつ、若干白目になりながら総長を見ると、案の定ニヤニヤしながらこちらを見ていました。ちょっと総長に殺意が芽生えたのは秘密です。
そして極め付けは、現在。
夜月亭を出た後に「どこかで飲み直すか」と総長から誘われ。
「いいですね(私も思いっきり飲んで現実逃避したいです)」
と遠い目で応えて総長について行っていたはずなのですが………
なぜか現在、私は総長のマンションの玄関にいます。
「にゃぁ~」
あ、黒猫ちゃんがお出迎えしてくれました。
今朝ぶりです、黒猫ちゃん。今朝もモフモフツヤツヤで可愛かったですが、今も変わらず愛らしいですね。
って、黒猫ちゃんで和んでいる場合ではありません。
今日から付き合い始めた私と総長。
お酒を飲んだ後のカップルが、夜に彼氏の家に遊びに行って(私はどこかの別のお店に行くつもりだったのですが、なぜか総長の家についていました)。
その後にすることといえば………(ゴクリ)。
これってもしかして、マズイ状況なのでは………!?
総長 「よし、アンズ。今からファンサービスの時間だ」
アンズ「何ですか、ファンサービスって?」
総長 「俺とお前がイチャつけばいいんだよ」
アンズ「それってただ長官が楽しいだけじゃ………」
総長 「そうとも言う」
■ くどすぎてボツにした文章
ありのまま、今起こったことを話します。「私はバーに向かっていると思っていたら、いつの間にか総長の家に着いていた」。何を言っているのかわからないと思うのですが、私も何をされたのかわかりませんでした。スキルとか、魔法とか、そんな不思議現象ではなく、総長の女馴れしたタラシテクを味わったんです………。
元ネタが分かる人は同士です。




