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強制するつもりはねぇが

キスの後、職場では特に態度が変わらないと思った総長ですが、スミマセン。私の勘違いでした。


というのもここ最近、妙に距離が近いです。


明らかにスキンシップが多いというか、よく私を触ってきます。触ってくるのは決まって2人きりの時なので問題ないといえばないのですが(いえ、職場で触ってくるのは問題であるとも言えますが)、触ってくる場所がですね。




「ほっぺた」なんです。




以前から頬をよく触られるなぁ、とは思っていたのですが。普通、男の人ってこんなに人の頬を触るものなのでしょうか?


私もうアラサーで肌も若い子みたいにピチピチモチモチしているワケじゃありませんし、頬を触るのはやめて欲しいのですが。


しかもただ触るだけではなく、手つきがなんだかイヤらしいんです。私の煩悩がそう思わせているだけなのかもですが、こう普通に触るのではなく、艶っぽい触り方なんですよ。さらに同時に耳とか唇とかですね。さりげなく触ってくるので総長に触れられると背中がゾワゾワして変な気分になるんです。


しかもどうも総長は私が、総長に触られて狼狽えているのを見て楽しんでいる節があるような………。


いっそ私がクール女子のように毅然に対応できたらいいのでしょうが、総長に触れられるとそれだけで頭がいっぱいいっぱいになってアワアワしちゃうんですよね。もっとこうキリッとしたクール女子になりたいです。



「おい、アンズ。さっきの資料、間違ってるところがあったぞ」

「え!?スミマセン!どこですか?」



って、いけない、今は仕事中でした。まったく総長の事ばかり考えてしまって、ミスしちゃうなんて。こんなんではダメですね。もっと気を引き締めなければ………。目指せ、仕事ができる系クール女子です!


机に座ったままクール女子になる決意をしていると、書類を持った総長がこちらに歩いてきました。座ったままの私のすぐ隣で立ち止まって、私に書類を見せようとしたのですが、ふと動きを止め。



「ここのところだが………と、その前に」



なぜか私の方に手を伸ばしてきて。

ちょっと総長、ここ職場ですよ。周りに人がいるんですよ。こんな場所でなぜ私の顔の方に手を伸ばしてくるんですか!?


―――ダメ、また触られちゃう!


思わずギュッと目を瞑った私ですが、




「ほら、髪になんか付いてるぞ」




総長は私の髪に付いていたらしい小さな紙屑をとっただけでした。


やだ、私、総長を意識しすぎて変な勘違いしちゃった。そうだよ、人がいる場所で総長が触れてくる事はないのに。………自意識過剰すぎて恥ずかしい!


自分の勘違いにカーっと顔が熱くなります。


きっと今私の顔は真っ赤です。赤い顔を隠したくて俯いていると。




「………へぇ」




低いバリトンボイスでつぶやく声が聞こえて。

思わず下げていた顔を上げて総長を見やれば、目を細め黒い笑みを浮かべた総長と目が合いました。


この顔は、まずいです。最近よく見るようになってきた私をオモチャにして遊ぶ時の顔です。


思わずビクッと身体を揺らし身構えた私ですが、



「ほら、アンズ。さっきの資料だ。今は仕事中だろ。ちゃんと前を向けよ」



総長は至って普段通りの態度で。


あれ?何もされない?なんだかよくわかりませんが、今回はイジワルな事はされないようです。



「あ、はい。スミマセン」



総長の方に向けていた身体を前に向け直し、総長が机の上に置いてくれた書類を手に取ります。


ほっとしたような、拍子抜けしたような。まぁ、他の人の目もありますしね。こんな場所ではさすがの総長も変な事はしないのでしょう。



「で、やり直して欲しいところだが………」



って、総長!距離が近いです!


私がまじめに書類を見ようとしたら、総長が身体をかがめて。

後ろから座っている私に覆いかぶさるようにしながら資料を指差してきて。


覆いかぶさるとはいっても職場ですから、私と総長の身体の間にはわずかに隙間があるのですが、それでもこの距離はおかしいです。

なんで私の顔のすぐ隣に総長の顔があるんですか。これでは絶対の横を向けません。


しかも、わわ、耳元で喋られたら耳に息が!


というか、これでは総長の言葉に全然集中できないのですが!?仕事ができる系のクール女子を目指したいのに、全く正反対になっちゃうのですが!?




『さっきは本当にゴミを取ろうとしただけなんだが………予想以上にイイ反応だな』




ちょっと待ってください。イイ反応ってなんですか?私は普通の反応しかしてませんよ!



「どうした、アンズ。顔が真っ赤だぞ?」




顔が赤いのは総長がこんなに近づいて、しかも耳元で喋るからです。わかっているのに、わざと言わないでください!


しかも周りには聞こえない絶妙な音量でクククと笑いながら話さないでください。絶対にまた私をからかってますよね?



「もしかして………俺から触られると思ったのか?」



言いながら総長が書類を持っていた私の右手に自分の右手を重ねてきて。


ちょっ、総長、ここ職場!確かに机の上の手なら死角になって周りからも見えないでしょうけど、でもこんな場所ではダメです。


しかも親指の腹ですりすり撫でるのやめてください。その触り方がイヤらしいんですよ。段々と変な気分になってくるんですよ!


カッと身体中が沸騰したように熱くなり、何をどうしていいのか分からなくなって真っ赤な顔で下を向いてしまいます。



『もっとゆっくり進めるつもりだったんだが………』



え?ゆっくり進めるつもりだったって何をですか?というか総長がゆっくり進めた事ってありました?なんか毎回ノンストップで進んでませんでしたか!?






『そろそろ仕上げるか』





ちょっ…仕上げるって、だから何を仕上げるんですか!?

これ以上進められたら私もう爆発してしまいそうなんですけど。

って、そんなことはもう何でもいいので、とにかく今触るのをヤメテください。ここが職場だって分かってますか?


私が頭の中で混乱しまくっていると、なぜかここで総長がピアスの話題を出してきました。




「アンズ、俺がやったピアスは今日はつけてねぇのか?」




あ、そういえば、昨夜ピアスお手入れをしてそのまま外したままでした。総長から頂いたピアスですからね。こまめにお手入れをするようにしています。



「スミマセン、昨日、ピアスの洗浄をして、そのままつけ忘れちゃいました」

「ほぉ………ピアスの洗浄、ね」



いつもよりも数段低い声が聞こえたと思ったら。私の右手に重ねられていた手が離れて。

声が低いのは気になりますが、ひとまず助かりました。

ほっとしたのも束の間、今度は総長の指が私の首の下、鎖骨らへんに当てられ。



そ、総長!?!?!?



私がドギマギしている間に下からゆっくりと首………顎………頬………と指の腹でなぞられていきます。そうして耳まで行き着いた総長の手が、何もつけてない私の耳を責めるように親指と人差し指で耳たぶをやわやわと揉み始め………。


ちょっ、ちょっと総長!

ここは職場です!さすがにそれはアウトですよ!!



「強制するつもりはねぇが、できるだけ身につけとけよ」



言いながらねちねちと耳たぶを揉まれて、しかも時々耳の穴の方にまで親指を入れられ、総長が耳を触る音がダイレクトに聞こえちゃいます。



「アンズ、返事は?」

「は、はい」



総長から触られている耳が熱くて、耳にジンジンとした甘い痺れが響いてもう何も考えられなくなちゃいます。

しかも耳のすぐそばで掠れた低い声で囁かれ、まるで悪魔にでも魅了されているかのようです。



「いい子だ。それから、今日仕事終わったら待っとけよ。メシ行くぞ」

「ひゃっ………ひゃい」



ダメです。総長。そんなに耳ばっかり触らないでください。耳の痺れが身体にも伝染して、身体の内側まで熱くなってきちゃいます。身体に力が入らなくなって、まるでこの前デートでキスされた時のようなフワフワとした気分になるんです。



「この前の続きは、その時にゆっくりな」



はい、この前のデートの時の続きは後からゆっくり………




「ひゃい♡」





そこで、やっと総長が私の耳を離してくれました。


………良かったです、やっと解放されました。

と思ったら、悪魔のような笑みを浮かべた総長がこちらを見下ろしていて。



ん?

そう言えばさっき、この前の続きって、えっ!?


あ、あれ?

なんか私、今とんでもない約束をしたような………。




「じゃあ、後でな。逃げるなよ?」





そ、そんなああああああぁぁぁぁ!?!?!?






ニック 「仕事中に職場でアンズさん口説くとか、長官マジパネェっす!」

エスメ 「ちょっとシルヴィア姉さんー、これ気付いてないふりした方がいいんですかー?」

シルヴィア「エスメちゃん、全力で気づかないふりしましょう。そっちの方が平和だわ。イロイロと」


総長はほっぺフェチ。ついでに耳を触るのも好き。

ほっぺや耳を触ってアワアワするアンズの反応を見るのが好き。


ところで「小説家になろう」さんでは、フェチ的な描写はどこまでOKなのでしょうか?今回はセーフですよね。たぶん。エロには入らないはず。たぶん。

もし読んでいて「さすがにアウトじゃない?」的なものがあれば、そっと教えていただけると助かります。その際は修正 or 某所への引っ越しを検討しますので。

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