それ絶対に長官の前で言っちゃダメよ
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ニックさんとやりとりした後に職場に着いた私ですが、さっそく徴税課の数少ない女性仲間にピアスを見られて話しかけられました。
「アンズちゃん、ついにクラム長官と付き合うことになったのね。おめでとう。いやぁ〜お姉さんも嬉しいわ」
こちらはシルヴィアさん。サラサラしたパープルのロングヘアと口元のホクロがセクシーな綺麗なお姉さんです。これだけお肌もツルツルでお色気ムンムンなのに、なんと3人の子持ちママで年齢不詳なのです。
ちなみにシルヴィアさんは蛇族の亜人でもあり、怒ると瞳孔が縦に開きます。石化魔法のスキルを持っているらしく、以前ニックさんがウッカリ年齢を訪ねた時は1日カチコチの石像にされ、みせしめのためにか徴税課の中央に飾られていました。
徴税課の長は総長ですが、影の支配者とも言われており、絶対に怒らせてはならない人です。
「わー、しかも耳のピアスー、ホワイトティアーズの一粒ダイヤじゃないですかー。長官もやる時はやりますねー」
こちらはエスメちゃん。ふわふわしたピンクゴールドのボブカットにくるりとした大きな瞳が可愛い20歳の女の子です。
ちなみにエスメちゃんは可愛らしい見た目とは裏腹に虎の獣人で超肉食系です。現在は絶賛婚活中らしく、この徴税課には「国家公務員なら貴族男性と知り合えるから」という理由で入ってきた猛者でもあります。
が、お仕事は丁寧で早いし、逆ギレした人に対しても笑顔でズバッと正論を突きつけ対応できる頼れる女子なんですよ。
あ、そうそう、エスメちゃんが言ったホワイトティアーズはイケ爺様のお店の名前です。なんでも貴族御用達で有名なジュエリーショップだったらしいです。
「2人とも誤解ですよ。確かにこのピアスは長官からいただきましたが、お付き合いはしてませんよ」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「「えっ!?」」
さっきもニックさんと同じようなやりとりをしたような。
もしかして今日は他の人ともずっとこのやりとりを繰り返さないとなのでしょうか。
「それに、この一粒ダイヤもよくできていますけどイミテーションで本物じゃないですよ」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「「えっ!?」」
うんうん、驚くのも無理もないです。このダイヤ、本当によくできてますものね。
やっぱり異世界って魔法が使えるから加工技術も日本より卓越しているのでしょうか。
「ちょっと、ちょっとー。シルヴィア姉さん、どう思いますかー?」
「うーん、クロム長官、職場でも分かりやすくアピールしてたのにね。アンズちゃんが真面目すぎて上手く伝わってないのかしら?」
「でも魔力付きのピアスあげてますよー。自分の魔力込めたアクセサリーを渡すのってー、恋人か家族くらいだって知らないんですかねー」
「アンズちゃん、東方国出身でこの国の文化に疎いから知らないんでしょうね。あの様子だと長官からも何も聞かされてないわね」
んん?シルヴィアさんとエスメちゃんがコソコソ2人で話始めましたが、声が小さくてよく聞こえません。
「しかもホワイトティアーズにイミテーションなんてありましたかー?」
「いいえ、ホワイトティアーズは高品質の本物しか取り扱っていないわ。ダイヤにも魔法付与してるみたいだし片方だけでも数十万ガロ(1ガロ=1円)はくだらないはずよ」
「普通の男ならそんな高級アクセ付けてる女性に手は出せませんよー。アンズさん、他部署でちょこちょこ人気なのに可哀想ですー」
「しかも裏側の黒曜石からクラム長官の魔力が溢れ出してアンズちゃんにまとわりついてるわね」
「ヒエェー、アンズさん知らないうちにそんなピアス付けさせられてるんですかー。独占欲強すぎというか、重っ!愛が重すぎてドン引きレベルですよー」
「エスメちゃん、それ絶対に長官の前で言っちゃダメよ」
内容はよく聞こえないのですが、なぜか2人が可哀想な物を見る目でこちらを見てくるのですが。さっきもニックさんに似たような視線を向けられたし、なんなんですかね?
しかもニックさんは最終的に遠い目をしながら私を拝み出しましたけど、2人も同じことしませんよね?
「これ、アンズさんに教えてあげた方がいいんじゃないですかー?あんなアクセ付けたら絶対に新しい男なんてできませんよー。うわー、長官、無いわー。絶対に無いわー」
「でもね、エスメちゃん。思い出して、アンズちゃんが来る前の徴税課を」
「・・・・・・・・」(←職場全体で大きなミスして1週間以上葬式状態だった事を思い出している)
「・・・・・・・・」(←脱税者炙り出し時の地獄のような壮絶な現場を思い出している)
あれ?やっぱり遠い目をしながら何かに思いを馳せています。
目尻にキラリと光る涙が見えるのは気のせいでしょうか?
「長官、仕事はできる人ですし尊敬してるんですけどー、よくイライラして空気が重苦しかったですねー」
「平民という身分で若くして徴税課の長になった人だからね。周りに舐められないように常に気を張ってたし、私たち部下を守るためにも矢面に立ってくれてたから」
「そう思うと、今は平和ですよねー。長官もよく笑うようになりましたしー。アンズさんの書類チェックのお陰で職場全体で凡ミスも減ったし、誰かが大ミスする前に長官が上手くフォローしてくれるようになりましたしねー」
「そうなのよ。そこでよ、もしアンズちゃんがいなくなったらどうなると思う?」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
んん?今度は険しい顔をしてますね。
そんなに眉間に皺を寄せたら綺麗な顔が台無しですよ。
「あの重苦しい空気にはもう戻って欲しく無いですねー」
「えぇ。今の働きやすさを知ったからには、前の状態に戻るのは苦痛にでしか無いわ」
「とゆーことは、アンズさんには悪いけどー………」
「えぇ、長官の安らぎと、私たち徴税課の心の平穏のために………」
「「生贄になってもらうしかない」」
「ですねー」
「わね」
な、なんか今度は2人がギラついた目でこっちを見てるんですけど。
完全に獲物を狙う肉食獣の目な気がするんですけど。私何かしましたかね?
「ふふふふふー、絶対に逃がせませんねー」
「えぇ、絶対に逃しちゃダメよ」
怖い!2人がこっちににじりにじりと歩いてくるのが怖い!
総長じゃないのに顔が完全に悪人化してますよ!?
「アンズさん、ちょっとこっちに来てくださいー。まずは現状把握からですねー」
「うふふ、そんなに怯えなくても大丈夫よ。ただアンズちゃんは長官との恋バナを話してくれればいいの」
「あの、現状把握っていったい何のですか!?というか長官との恋バナって何を話せば!?」
「恋バナ!いいですねー。あの長官がいったいどんな口説き文句を言っているのか。想像しただけで笑いがー。ぷぷぷ」
「久しぶりの恋バナ、私も楽しみだわ」
「え!?2人ともどうしたんですか!?落ち着いて、落ち着いてくださーい!!」
あぁぁ、2人とも私の両腕を掴んでズルズル引きずらないでください。もうすぐお仕事の時間ですよ。
一体私はどうなるんですかー!?!?
シルヴィア「エスメちゃん、婚活中なのにクロム長官は狙わないの?長官、けっこうお金持ちよ」
エスメ 「私、身長180cm以上の男性じゃないと恋愛対象にならないんですよー。長官は背が低いから嫌ですー」
シルヴィア「エスメちゃん、その事も絶対に長官の前で言っちゃダメよ」
*総長は172cmで、この世界の男性としては身長低め




