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重い…。重すぎるっ…!!


「長官、選びますから手を離してください!」



イケ爺様と綺麗なお姉さんの前での甘い雰囲気に耐えきれなくなり、つい宝飾品を選ぶと言っちゃいましたが、一体どれを選べば!?

せめて値札があれば、出来るだけ価格が低くお財布に優しいものを選べるのですが………、当然ながら目の前にずらーっと並べられているキラキラした宝石に値札なんて物はありません。



重い…。重すぎるっ…!!



いえ、別に総長の愛が重いのではなく、庶民の私がこういったキラキラした宝石を選ばないといけないこの状況が重すぎるという意味です。価値が分からない私には激重すぎる任務。ミッションインポッシブルです。


が、おそらく、何かしらを選ばないと総長は納得されないはず。


こうなったからには、当てずっぽうです。できるだけシンプルで飾り気が少なく、かつ小さい物を選びましょう。宝石の価値なんて分かりませんが、そういった物なら比較的価格が低い気がします。たぶん。



「長官、これでどうでしょうか?」



普段は見慣れない高品質な宝石の眩しさに目をチカチカさせながらも、小さな一粒ダイヤらしき物を選んでみました。1番小さくて装飾が全くないシンプルな宝石です。

ふふふ、どうですか。これならお値段的にも優しい物のはず…!!



「へぇ………」

「これはこれは………」



な、なんなんですか2人とも。2人して意味ありげに目を細めないでください。

私もしかして変な物選んじゃいましたか!?宝石の価値なんてわからないから不安なんですけど!?



「まさかそいつを選ぶとはな」

「さすがクロム様のお連れ様。物の価値を見抜く慧眼をお持ちですな」



え!?その口ぶりから言って、もしかしてお高いヤツですか?

総長のお財布が大変痛い思いをするお値段のヤツですか!?

スミマセン、総長。それ無しでお願いします。もっと軽めのヤツを選ばせてください!!



「ちょ、長官!やっぱり私別の」

「店主、それで頼む」

「かしこまりました。何か魔法付与はお付けになりますか?」

「長官、あのですね。私、違う物を選びな」

「そうだな。いざという時に身を守れる結界魔法でもつけといてくれ」

「少しお時間を頂きますが………」

「あの長官?私の声聞こえてますか?聞こえてますよね?おーい!」

「構わねぇよ。どうせすぐにできんだろ?」

「ははは、これは手厳しい。それではご期待に添えるよう30分で仕上げて参ります」




なんて事でしょう。私の声は聞こえなくなってしまったようです。



私の意見はガン無視され、総長とイケ爺様の2人でドンドン話が進んでいきます。


それはさておき、魔法付与。この世界には魔法が存在し、色々な物に魔法を付与する事ができるんです。特に宝石のような硬い鉱物には高度魔法が付与できるので貴族に人気なんだとか。付与する魔法によってお値段はピンキリですが、確か結界魔法はかなり高等魔法になるような………。


あ、ちなみに私は純日本人なので魔法は使えません。魔力はあるようなのですが、自分ではよくわからないです。この世界でも大なり小なり魔法が使えるのは3割程度でしょうか。総長は魔法も使えるそうなのですが、使っているところは見たことないですね。


と、そんなことよりも、今度こそ総長にハッキリさせないといけないことがあります。



「長官、さっきの宝石ですが、本当に黒猫ちゃん用ですか?」

「あぁ?んなワケあるかよ。あれはお前用だ」

「そんな、私受け取れません!」



総長からのプレゼントは嬉しいですが。あんなにお高そうなもの、私には分不相応です。

明らかに身の丈に合わない物を頂くわけにはいきません。

私が断固として断る態度を貫くと、総長がはーっと長い息を吐いて身体ごと私に向き直りました。



「価格を気にしてるなら、アレは本物そっくりに作られたイミテーションだ。安物だからお前が気負うことねぇよ」

「え?そうなんですか?………でも、それでも長官にアクセサリーを頂くワケには」

「あのなぁ、こんな事を言うのは今更だが………」



右腕をゆっくりと私の顔に伸ばし、手のひらで頬に触れ。






「俺はお前に惚れてる」





鋭く黒い瞳で私を見据えながら、低く心地よい声で告げられました。


そんなズルいです。

なんでこんなタイミングでそんな事を言うんですか。


私が何も言い返せないでいると、顔に触れていた親指の腹でゆるりと頬を撫でられてしまい。




「惚れてる女に贈り物がしてぇのは、男として当然だろ?」




総長はズルいです。

なんでそんなに愛しそうに頬を撫でるんですか。

甘く優しい声音で諭すように語りかけるんですか。




「これは俺の男としてのワガママなんだが………俺からアクセサリーを受け取るのはイヤか?」



その言い方もズルいです。

そんな甘い表情で、優しい声音で。

そんな言い方されたら断れるわけないじゃないですか。

総長の言葉に抗えるわけないじゃないですか。





「いやじゃ、ないです」




小さい声で呟けば、頬を撫でていた手が頭をぽんと軽く叩き、離れていきました。


今まで頬に触れていた体温が恋しくて、もっと触れていて欲しくて「離さないでください」と縋りたくなってしまいます。




「俺のワガママに付き合ってくれてありがとな」




そんな総長は全然ワガママじゃないです。

むしろワガママなのは、これだけ総長に言葉と態度で気持ちを伝えてもらってるのに何も返せてない私で。



「長官、私」



きっと曖昧な関係のままにしているのは私の方で。

私の勇気さえあれば私たちの関係は変わるんだと思う。

今の心地良い関係が壊れるのがイヤで、総長の優しさに甘えて私からは何も返せてなかったですけど。


でも、きっと私もずっと前から総長のことが好きで。





『………よし、言質も取ったことだし』  





だから、私もちゃんと総長に気持ちを返したい。

ただ思ってるだけではなくて、言葉でちゃんと総長に伝えたいんです。


「私、長官の事が………」








『これで遠慮なくアンズに虫除けの首輪をハメれるなァ』(ドス黒い声&ドス黒い笑み)







………総長、私のトキメキ返してください。




総長「そう言えば、今何か言いかけてなかったか?」

アンズ 「何も言いかけてません!」



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