総長と黒猫?
試験的にタイトルを変更しています。もしかしたら、また元に戻すかもです。
「アンズさん、聞いてくださいよぉ。クラム長官が酷いんですよぉ!」
朝に出社したら、お馴染みのニックさんが泣きついてきました。
近くにはこれ以上ないってくらい眉間のシワを深く刻んだ総長もいます。
総長、いつにも増してドス黒いオーラが滲み出ていますが、本格的に悪魔でも召喚するつもりですか?
それはさておき、今はニックさんですね。一体どうしたんでしょうか?
また仕事でミスして縄でグルグル巻きにされ屋上(5階建)から逆さまに吊り下げられたんでしょうか?それともこの前「テメぇ、次同じミスしたら指詰めて詫びさせっからなァ!」とか言われていたので、ついに指を………。
ゴクリと喉を鳴らして恐る恐るニックさんの手を確認したら、ちゃんと指が10本付いていました。良かった、ニックさんの指はまだ無事です。
「どうしたの?」
あまりの剣幕に尋ねると、ニックさんが総長を指差しながら理由を説明してくれました。
「ほら、この前、長官が飼った黒猫ちゃんがいたじゃないですか。長官ってば、その黒猫ちゃんに首輪も付けてあげてないんですよおぉぉぉ!」
ああ、あのニックさんが拾ってきて総長が飼うことになった黒猫ちゃんですね。毛並みがよくて可愛い猫ちゃんでした。
ちなみに黒猫ちゃんの名前はそのまま「黒猫」だそうです。総長、いくら名前を考えるのが面倒臭いからって、もう少しまともな名前を付けてあげてください。どこかの荷物を運ぶ宅急便みたいじないですか。
「うっせぇ!首輪付けるかどうかは俺の勝手だろ。それより人を指差すんじゃねぇ!」
総長がニックさんの人差し指を握って反対方向に曲げています。
うわぁ、かなり痛そうです。
「でも、首輪がないと黒猫ちゃんが外でお散歩中にノラと間違われて誰かに連れて行かれるかもじゃないですかぁぁぁ!?下手したら闇業者に捕まって他国で売られちゃうかもじゃないですかぁぁぁぁ!?」
「あぁ?黒猫はそんなにトロくねぇよ」
指を曲げられて半泣きしながらも反論するニックさん。あの総長に口答えするなんてなかなか勇気ありますよね。でももう指が真っ赤ですよ。
「長官、猫と考えるからダメなんすよぉぉ。人間の女の子で考えてみてくださいよぉぉ。最愛の彼女が首輪を付けてないばっかりに他所の男に取られたらどうっすかぁぁ!?」
「あぁ゛?」
ニックさん、さすがにその説得方法は無いですよ。猫と人間は違いますからね。総長がそれで納得するはずないじゃないですか。
「そいつは許せねぇな」
と思ったら、一気に総長の周りの空気が重力を帯び、ドス黒さが増しました。魔界の瘴気が溢れ出ているようです。
同時に総長から握られていたニックさんの指からミシミシと変な音がなり出し、あり得ない方向に曲がってしまいました。あれは完璧に折れちゃいましたね。ご愁傷様です、ニックさん。
まぁ、ニックさんはいつもの事なのでまだいいとして、ニックさん以外の職場の皆さんも「ヒイィ」と震え上がって怯えています。
総長、皆さんが可哀想なので魔界の瘴気を漏れ出させるのはヤメテあげてください。
「でしょー。でもほら、可愛い彼女も所有者ありの首輪を付けておけば悪い虫が寄り付かず安心っすよ」
「確かに、一理あるな」
なんとか総長の手から逃げ出したニックさんが人差し指をフーフーしながら言います。あり得ない方向に曲がったかと思いましたが指は無事だったようです。良かったですね、ニックさん。
それに総長も黒猫ちゃんへの首輪付けを考える気になったようです。私も黒猫ちゃんの事は少し心配だったので、良かったです。珍しい動物を狙った闇密輸者は多いですからね。
ふふふ、それにしてもなんだかんだで黒猫ちゃんが心配だなんて、総長も可愛いですよね。
「それに自分が選んだ首輪を黒猫ちゃんが付けてるところ想像してみてくださいよ。黒猫ちゃん美人ですし、自分で選んだ首輪を付けてくれたら嬉しくないっすか?」
「自分で選んだ首輪………ねぇ」
『アイツに首輪をつけるとしたら………』
そ、総長?
なんでこっちを見てるんですか?今は黒猫ちゃんの話ですよね?アイツって黒猫ちゃんの事ですよね?ヤメテください。こっちを見ないでください。
しかも眉間にシワがより過ぎて恐ろしい顔になっていますよ。
『・・・・・・・・・・・』
ちょっと心の声まで止めて何を考えているんですか。私の方を凝視しながら無言を貫くのはヤメテください。絶対に今、変な想像してますよね?眉間のシワを深くしながら変な想像しないでください。
というか、今、総長の心の中のイメージが私の頭の中にも流れ込んできたんですけど!?なんで私が猫耳&猫しっぽ付きで首輪付けて女豹ポーズとってるんですか?それと私の胸はそんなに大きくないです。勝手に私の体型を改変しないでください。というかそもそも私で変な想像をするはヤメてください!!
「………ありだな」
なしですよ!
私は猫耳も猫しっぽも首輪も付けませんよ!絶対にそんな格好しませんからね!!
「でしょー。早く黒猫ちゃんに首輪買ってあげてくださいよ。あ、でも、クロム長官ってセンス無いからなぁ。長官に任せていたら首輪も黒っぽいの買いそうですね。黒猫に黒首輪だと目立たないっすよ?」
「あぁ゛?」
ちょっとニックさん、なんて事言うんですか!?たとえ事実だとしても言っていい事と悪い事があるじゃないですか。そこら辺をキチンと把握して本音と建前を使い分けるのが立派な社会人というものですよ。
「だから、アンズさんと一緒に買いに行ったらどうっすか?」
えっ!?
えええええええええええ!?
総長 「ニックもたまにはいい仕事するじゃねぇか」
ニック 「ってか長官。まだアンズさんと付き合ってないんですか?いい加減そろそろ告ったらどうっすか?」
総長 「うっせぇ!」




