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ロマンティックは突然に

評価、ブックマーク、いいね等いつもありがとうございます。

励みになります(*^^*)


「狭ぃ、アンズもっとそっち行けよ」

「何言ってるんですか、長官。私はもうギリギリですよ。長官こそそっちに行ってください」

「これ以上行ったら俺が床に落ちる」

「私だってもう壁に体がくっついてるんですよ。これ以上はムリです!」




狭いシングルベッド。

並んで寝転ぶ私と長官。


あぁ、神様。なぜ私は今こんな事になっているのでしょうか。


いえ、分かっています。「今日はどこで寝ますか?」と長官に聞いてしまった私の失言が原因です。

そう、私の失言の後…




「私がソファーに寝るから長官は私のベッドで寝てください。ここまでして頂いた長官をソファーで寝かせるワケには行きません」

「ソファーだとまだ夜は寒ぃだろ。俺がソファーで寝る」

「ダメです。ソファーで眠って風邪引いたらどうするんですか。それにソファーだと疲れも取れません」

「それこそお前もだろ」

「ダメです!絶対に長官はベッドで寝てください!」

「だったら………一緒に寝るか」




という流れになりまして。

イヤですダメですセクハラですと訴える私を、総長があっという間に俵担ぎし私の部屋までスタスタ歩きまして。


ちなみに私は割りと全力で手足をバタつかせたのに総長はビクともしませんでした。身長的にはそこまで変わらないはずなのに、なんなんですか。

あと「おぃ、暴れるな」とか言いながらどさくさに紛れて私のお尻とか背中とか触るのヤメてください。「ひゃぁ」とか変な声が出たじゃないですか!!


で、ベッドまで着いた総長は布団をガバっとめくりまして。ベッドの上に担いだ私を下ろした後、あろうことかそのまま一緒に布団の中に入ってきたんです。





そして、冒頭のやりとりに戻ります。


ううぅ、狭い布団の中だと肩が総長と触れてしまいます。シングルベッドに大人2人って無理があるんですよ。あぁぁ、総長と触れている箇所が熱いです。


私たち付き合ってませんよね。ただの上司と部下ですよね。ただの上司と部下がベッドで一緒に寝るって絶対におかしくないですか?おかしいですよね!?


というか、こんな状況だと嫌でも総長の動きを敏感に察知してしまいます。総長が身動きする度にカサカサとなる衣擦れの音がやけに反響して大きく聞こえてくるんです。



どうしましょう。ドキドキが止まりません。



そうだ。ひとまず総長に背を向けて壁を見ましょう。総長のことばかり考えるから意識してドキドキするんです。壁の模様を数えることに集中すれば平静を保てる気がします。よし、そうと決まればさっそく…


寝返りをうち、総長に背を向けようとした私ですが、




「アンズ」

「は、はいっ!」




後ろから声を掛けられ、うわづった声が出ちゃいました。

総長、いきなり名前を呼ばないでください!心臓が飛び出るかと思ったじゃないですか。




「絶対に何もしねぇから………抱きしめていいか?」




抱きしめる?



総長が私を?



2人きりの部屋で?



しかも夜も遅いベッドの上で?






………え!?そんなの無理です!無理に決まってます!


もう既にただの上司と部下とは言えない状況になっているのは薄々気づいていますが、それでも超えてはいけないラインという物があるんです。


これ以上は本当にアウトといいますか、下手したらめくるめく官能の世界に足を踏み込んでしまう可能性があるといいますか。日本でよくみた、朝のベッドでタバコを吸うダンディーな男性に「少ないがとっておきな」とか言われながらお札を握らされるお約束な展開に発展しそうな気が(注 アンズの片寄ったヤクザイメージ)。


いえ、総長は決してそんな事はしないはずなのですが。それでも万が一というものがあるかもじゃないですか。




「アンズ………ダメか?」




総長、そんな切なそうな声を出さないでください。そんな声出したってダメなものはダメです。


それに切なそうな声ですが、実際は断られるなんて思ってないですよね。声の調子に大人な余裕が感じられます。こっちはさっきから………なんなら総長がシャワー浴びている時からノンストップでドキドキしているのに、なんでそんなに余裕なんですか。なんでいつも私ばっかり振り回されないといけないんですか。こんなの嫌です。


でも、嫌なはずなのに、それでも総長の一挙一動に嬉しさを感じてしまう私自身がいて。


嫌なんです。本当に嫌なんです。でも、でも私は総長なら………





「いい………ですよ」





蚊の鳴くような声でかすかに呟いたら、総長が動く気配がして。後ろからゆっくりとお腹に力強く筋張った腕が回されてきました。そのままぎゅっと力を入れられ身体を総長側に引き寄せられてしまい。


総長の頭が私の頭のすぐ後ろにあり、私の背中に総長の胸が、私のお尻に総長の腰が、そして私の足に総長の足が密着しています。


あわわ、息が!総長の息が首の後ろにかかって、胸がバクバクします。それに匂い!総長のシャンプーの匂いがするんです。自分以外の人の匂いがするのって、ものすごく変な感じです。というか、自分の心臓の音がうるさいです。




「温けぇ」





私の耳のすぐ後ろで掠れたバリトンボイスが溢れました。


ドキドキと胸が高鳴るのはそうなのですが、それと一緒に背中側からじんわりとして温かくなってきます。背中だけではなく胸や両腕、両足までポカポカとしてきて。トキメキと一緒に胸の奥がほんわかと温かくなるような。


先程までドキドキと煩かった心臓が今はゆっくりと一定の間隔で音を刻んでいます。


なんだか、すごく落ち着いて、不思議な気分です。こんなに異性と密着しているのに、落ち着くなんて。それどころか、このままずっと総長とこうしていたいなんて。





『アンズ、好きだ』





あぁ、総長の声が心地良いです。

この低く心地良い声をもっと間近で聞いて、背中に感じる体温をもっともっと身体の奥で感じたいなんて思ってしまいます。


総長、私も………






『すっげぇ、お前が好きだ』






私も総長の事が………






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