2話
みとりの家
「はー!疲れた!」
無邪気ね
「よくも生きる権利を奪ったような相手の家に泊まれるわね」
「もー!そんな暗い事言わないで!」
「あら?違うの?」
「むー!せっかく生に執着し始めてきたのに!こんなのみとりちゃんじゃない!おこだぞ!」
幼児退行し始めたわね
「悪かったわ」
「ねぇ…今日は思いっきり甘えて、いい?」
「いいわよ。好きなだけ甘えなさい」
「やったー!じゃぁみとりちゃんの事、みとりお姉ちゃんって読んでいい?!」
「そうはダメよ」
「ケチ!意地悪!」
「はいはい。ポテチよ」
「わーい!」
こいつ、ほんと子供っぽいわね
「どうしたの?みとりちゃん?」
「いや、ギャップが凄いなって」
「みとりちゃんは普段の私と素の私、どっちが好きー?」
「どっちも好きよ」
「やったー!みとりちゃん大好き!」
それにしてもあの夢の中で見た聖奈とほんと変わらないわね…
「なーに深く考えてるの!みとりちゃん!膝枕して!」
「え?!膝枕?!」
「ダメ〜?」
「…仕方ないわね」
「いいの?!やったー!」
数分後
足が痛い…
「ねぇ!みとりちゃん!」
「なに?」
「お母さんが死んでも、みとりちゃんが実態を返さずに済む方法、教えて〜!」
「何度も言ってるでしょ。無理よ」
「親不孝者!」
「?!」
急に何?!
「みとりちゃんがここまで生きてこれたのは誰のおかげだと思ってるの?!みとりちゃんをお腹を痛めて産んだのは誰?!みとりちゃんを女手1つで育ててきたのは誰?!お母さんがみとりちゃんをどれだけ愛してるか分からないの?!お母さんがいなければ生きてこれなかったんだよ!」
「急にどうしたのよ…」
「私ね、みとりちゃんを失って悲しかった…みとりちゃんもお母さんが死ねば私と同じ思いをする事になる」
「まぁ、そうね」
「その時、お母さんが1番望むのはみとりちゃんが生きる事だと思うんだ!みとりちゃんはどうしたいの?」
「あんたのお母さんは普通の人間として生きていくのを望んでるんじゃないの?」
「今は自分の事を考えて!」
「わか…な…」
「みとりちゃん…?」
「分かんないよ!分かる訳ないじゃん!わたしはあんたが人間として生きる事ができる時間を奪って存在している!母さんの気持ちは応えたい…でもあんたが私のせいで霊体化したままでいるのも辛いのよ!」
「もー!みとりちゃんは考えすぎだよ〜」
「これが考えすぎならどれだけ良かったことか」
「もー!うるさい!みとりちゃんは自分の事だけ考えろ!おこだぞ!」
ほんとこいつ子供ね
「あなたこそ自分の事だけを考えなさい…私ばかりに時間を使うとお母さんが悲しむわよ?」
「私はお母さんとコミニュケーションを取れるからいいの!それにお母さん、みとりちゃんと争ってるの、案外楽しそうだよぉ!」
「そうには見えないけど」
「みとりちゃんは鈍感だなぁ…」
「どういう事よ?」
「なんでもなーい!」
「ご飯どうする?」
「お寿司食べたーい」
贅沢ね…でも
「いいわ。今日は私のおごりで寿司屋にでも行きましょ」
「やったー!」