5話
聖奈の夢の中
「ここは…」
さっきまでま寝てたはず…明晰夢？
「お目覚めだね！」
「あなたは誰？」
「私は瑞葉。よろしくね」
「よろしく」
「突然だけどあなたは神様から選ばれました！」
「どういう事？」
「神様がね、適当な人間を選んでその人の願いがどうなるか、というものを実験しようと思ったらしいんです！さぁ聖奈ちゃん！なんでも願い事言ってください！」
「夢の中とは言え1000000000000分の1に掛けて願うのもいいか！」
「さぁ！願いを言ってください！」
「私の友達にみとりちゃんという子がいるんだ。その子が植物状態で意識回復の為に実体を貸したんだ。その結果私は今は霊体化したんだけど。みとりちゃんのお母さんが死んだら強制的に私の実体はみとりちゃんの元を離れてしまうの」
「ふむふむ…」
「だからもしみとりちゃんのお母さんが死んでも私の実体をみとりちゃんから私の元に戻らないようにして！」
「お易い御用です！神様に伝えときますね！」
「ありがとう！」
「私、あなたに興味が湧きました！これからも夢の中限定で会っていいですか？」
「いいけどあなたはどんな存在なの？」
「赤河瑞葉！夢の管理人です！」
みとりの夢の中
ここは…あれ？喋れない。夢？ってあれは聖奈？！
「みとりちゃん…」
「聖奈ちゃん、そろそろお母さんが心配するよ？」
「はい。でも少しだけ2人だけに、してくれませんか？」
「分かった。でも長居はダメだからね」
これは、私が入院してる時？
「みとりちゃん、どうしてあの時私を庇ったの？！」
聖奈？
「どうしてあの時私を庇ったの？！みとりちゃんが居ない世界で私は生きたくないよ！元に戻ってよ！寿命半分あげるから、元に戻ってよ！」
これが私が植物状態になっている間に起きていた事？
「お願い…死ぬ以外ならなんでもするから…これ以上悲しませないで。みとりちゃん、これ、なにか覚えてる？」
これは？！
「みとりちゃんがあの時くれたなんでも券。お願い！お願い！元に戻って！」
この苦しみがもう一度聖奈に…あれ？ここまでか。今は喋れるかしら？
「あー。喋れるわね」
「ちょっといいですか？」
「あなたは？！」
「私はバクの瑞葉です。とある方の依頼を受けてあなたの夢魂を過去に飛ばす事に致しました！」
「それって！」
「行ってらっしゃ〜い！あ！これは現実世界にもろに影響を受けるから注意してくださいね！」
「ちょっとまっt」
「過去を変えたって何も変わらない。だって聖奈の歴史には未来のみとりにあったと記録されてるのだから。歴史は変わらないよ。お姉ちゃん」
過去
ここは…体が薄い。夢魂とか言ってた気がする。夢の中にあるはずの魂が過去に来たってこと？
「ねぇお姉ちゃん！」
子供の頃の聖奈？どうして…
「どうしたの？」
「私ね、みとりちゃんを探してるの？知らない？」
「知らないわ」
「そっか。そうだよね」
なんなのこれは…
「あなたは誰なの？」
「赤河みとりよ」
「あなたみとりちゃん？！」
「あなたの知ってるみとりじゃないわ。私の知ってる聖奈はあなたでは無いし。この見た目はあなたの知ってるみとりなの？」
「違う…私の知ってるみとりちゃんは…」
「植物状態になったんでしょ」
「さすがは本人だね！あなたは未来からきたんでょ！」
「正解よ。鋭いわね。私は未来人。つまり未来を知ってるの。私の正体を当てたご褒美に未来の聖奈と私の関係、知りたい？」
「いいの？！好きな事聞いていい？！」
あのバクがこれは現実世界に影響するって言ってたような…これは上手く説得すれば聖奈が実体を渡す未来を回避できるかも
「いいわよ。何？」
「じゃあどうして未来のみとりちゃんは存在しているの？！」
「あなたが助けてくれたのよ。自らの実体を犠牲にしてね」
「ほんとー！いつかは…いいや！」
「どうして？」
「だってみとりちゃんはいずれ助かるんだよ！これを知れただけでも満足さ！」
「良かったわね」
「あ！でも気は抜かないよ！抜いたら歴史が変わってみとりちゃんが助からないかもしれないからね！」
「助けない方がいいわよ」
「え？！どうして？！みとりちゃんは助かるんだよ！嬉しくないの？！」
「あなたが私をたすけたことによりどうなったと思う？」
「そりゃあ私は大喜びでしょ！」
「聖奈は私を助けた事により苦しい思いをしたのよ。その結果人間ではなくなり私を助けたことを後悔したの。お前さへいなければってね」
「嘘だ！」
「嘘じゃないわよ」
「嘘つきは泥棒の始まりだぞ！」
「どうしてそう思うの？」
「今のみとりちゃんには生きる気力が全く感じない！そんな事言われたら自殺してそうだもん！」
「ぐぅ」
「だって顔に嘘って書いてあるもん！」
「はぁ…当たりよ。私の負け」
「いつからこんな平気な顔で嘘をつくようになったの？」
「え？」
「私は子供だからわかんないけど、こんなのみとりちゃんじゃない！あなたはもっと正直で優しい人だったはず！私にこんな事言わない！みとりちゃん、あなたの心はどこにあるの？私の知ってる優しいみとりちゃんはどうしてこうなっちゃったの？」
「聖奈…」
子供に言われるなんて…
「ねぇ。教えて。私がみとりちゃんを助けた時、どう思ってたの？」
「喜んでいたわよ！馬鹿みたいにね！」
「みとりちゃん？」
「あなたは私を助ける事により大きな代償を支払ったのよ！確かにあいつは喜んだ！でも私は喜ばなかった！あいつに、苦しい思いをさせたから！」
「今ほど苦しい事なんてないよ！」
「それは今しか生きていないからそんな事言えるのよ！あいつが苦しむ姿は見たくないのよ…」
「今のみとりちゃんも苦しそうだよ？」
「あんたはあんたの人生をあゆみなさい。私なんかの為にドブにつかうんじゃないわよ」
「みとりちゃん…」
「もう一度言う。悪い事は言わないから私を助けるのは辞めておきなさい」
「みとりちゃんは1度私を助けるために交通事故にあった。命の恩人だよ。みとりちゃんを助けられるなら苦しい思いをするなんて大した事ない！」
「あなたはどうして私だけ生きてるんだろうって思ってないの？」
「思ってる。植物状態になるのは私だったってね。だからこそ助けたいんだよ。どんな事をしてでも」
「あなたが私を助けた事により私が思う気持ちがそれよ」
「そんな事ない！私にはこれがあるもん！」
「これは…」
「なんでも券！これがあればなんでも願いを聞いてくれる！これを使って私が苦しんでも後ろめたい思いはしないでねってお願いするんだ」
まさかずっとこれを覚えているなんて…
「みとりちゃんは優しいからきっと私が無茶しても許してくれるはず！友達だもん！死ぬ以外はかすり傷よ！」
こんな心優しい奴の実体を返さない宣言を私はしてしまったのか…
「なんか悲しそうな顔してる！どうしたの？！」
「それを、大人になった私は覚えていると思う？」
「思う！だってみとりちゃん、優しいんだもん！覚えてないわけが無い！」
「そうね。少なくとも私は覚えているけど歴史変わっちゃったから、あなたの知ってるみとりはもしかしたら覚えてないかもね」
「むー！私！あなた嫌い！こんなの、全然みとりちゃんじゃない！」
「好きなだけ嫌いなさい。でも、私はあなたが好きよ」
「大切な人を助けようとしてるのを止めるやつは友達じゃない！みとりちゃんは大好きだけどあなたはみとりちゃんじゃない！」
「私は正真正銘赤河みとりよ」
「みとりちゃん、お願い！助かりたいって言って！」
「助かりたい」
「ほんと！」
「言っただけよ」
「むー！」
「そろそろ時間がきたみたいね」
「みとりちゃん？」
「私は未来に帰るわ」
「ちょっとまっt」
みとりの夢の中
「嫌な体験だったわ！」
「何やってるんですか！」
「あなたは…だれだったかしら？」
「瑞葉ですよ。お姉ちゃん」
「私はあなたの姉ではないわ」
「ふふ、お姉ちゃんと言わせてください」
「…勝手にしなさい」
「それよりどうでしたか？」
「あれで聖奈の未来は守られたと思うとそっとするわ」
「何言ってるんですか！何も変わりませんよ！」
「え？！」
「私はあなたの夢魂を過去に飛ばしただけです。過去での出来事は未来に反映されますがだからと言って未来そのものは変わりません。パラドックスですよ。聖奈の歴史には過去のみとりと会ったと記録されています」
「あなたが私を過去に送ったからでしょ？」
「いえ。送る前からそのような記録が残されていました。3回も」
「え？！」
「あなたの夢魂を過去に繋げておきました。これからは寝る度に2回、過去の聖菜と会うのですよ」
「こいつ…二度と私の前に顔を出すな！消えろ！」
「女の子さの欠けらも無い…まぁいいです。言われなくても顔は出しませんし消えますよ。それよりそろそろ起きてください」
「ふん！」
数分後
「はぁ…みとり姉さん、みとり姉さんはただ聖奈の気持ちを理解しているつもりなだけですよ」
大切な人を失う苦しみは自分が酷たらしく殺されることよりも辛い、聖奈はそれを知ってしまった。聖奈がもう一度みとりを失ったら心が壊れ廃人としてしまうだろう。彼女はみとりを失った時に脳に大きなショックを与えてしまった。精神年齢は子供の頃から変わらないのだ
2日目に続く
次回から2日目です。ここだけの話、現在は3日目のストーリーまで書いています。要件はTwitterにまで
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