2話
みとりの家
「瑞葉ちゃん、やっちゃって!」
「後悔しても知りませんからね!合体の術!」
「うわぁー!(みとり・聖奈)」
数分後
「これで完了です」
「あれ?聖奈がいない?!あんたなにしたの?!」
(ここだよ)
「え?!聖奈の声が…」
「こっちには聞こえません。成功ですね」
「どういうことか答えなさい!」
「と、とりあえず聖奈と交代したいと願ってください!」
「分かったわ」
聖奈と交代したい…
「あれ?光が…」
「姿が変わりましたね!」
「瑞葉ちゃん!なんかさっきまでのみとりちゃんが写ってた映像があったんだけど、どうなってるの?」
「単純に合成させただけです!さっきお姉ちゃんが交代したいと願いましたよね?」
「うん見てたから知ってるよ」
「お姉ちゃんが交代したいと願ったから行動権が聖奈に移ったんです。お姉ちゃん、見えてるんでしょ!見えてるなら自分に戻りたいって願ってください!」
(どうせ交代したら行動権が私に戻るんでしょ!嫌に決まってるでしょ!)
「ちょっとみとりちゃん!」
(本当の事でしょ!)
「禁止が通用しないからっていい気になって…」
「なんっていってるんですか?」
「嫌だって。酷いお姉ちゃんだね!」
「困りましたね〜…この実体の権利はお姉ちゃんが握っている為お姉ちゃんが交代したいと願わないとずっと行動権がお姉ちゃんに行く事はありません」
「それって…」
(私は満足ね。聖奈、あまり私に構わない方がいいわよ。あなたが私に話しかけるには現実世界で声を発することが条件。傍から見たらただの独り言よ)
「瑞葉ちゃん!悪いんだけどこの状態を解除して!みとりちゃん、一生交代する気なさそうだから!」
「わ、分かりました。でも本当にいいんですか?」
「お願い!」
「そこまで言うなら…解除の術!」
数分後
「みとりちゃん!言いたい事、分かるよね?」
「単純にあんたの実態の支配権が私にあるのが気に食わなかっただけよ」
「もー!」
「逆効果でしたね」
「残念だよ」
「ここは人肌脱ぎますか。えい!」
「また急に…今度は何?」
「さっきはごめんね…私、お姉ちゃんに生きて欲しかっただけなの」
「あっそ!」
「いくらなんでも妹に向かって呆気なさすぎるよ! 」
「お姉ちゃん!お願い!」
「嫌よ!」
「この分からず屋!」
「聖奈…?!」
「ぎゅー!」
くるしい…
「ちょっと離れなさい…」
「みとりちゃんが実体を返さずに済む方法教えるまで離さない!」
このパターンできたか…
「もー!えい!」
「離れないよ!抵抗禁止!」
「く!」
「ここは1つ変化球を入れましょう。聖奈、ひとついいですか?」
「なに?」
「お姉ちゃんに実体を渡した瞬間の感覚、覚えていますか?」
「それは…」
「嘘はつかない方がいいですよ。バレバレですから」
「そう言えば聖奈、霊体化した時は苦しかったって言ってたわね?」
「それは…苦しかったって言っても間違って転んじゃった程度の痛さだったから」
「嘘下手ですね。あとお姉ちゃんから離れたらどうですか?」
「嫌!」
「聖奈、まさか霊体化した時、どれくらい苦しかったの?」
「言わなきゃダメ?」
「…言わなくていいわ。あんたは私が意識を失ってた時間の方が苦しかったって言いそうだし」
「ありがと!」
「私は色々やることあるので帰りますね」
数時間後
「聖奈、いつまでくっついてるの?」
「みとりちゃんが実体を返さずに済む方法を教えてくれるまで!」
「駄々を捏ねないでよ…」
「瑞葉ちゃんも生きて欲しいって言ってたでしょ!本来なら二度と会えるはずのない妹からの願いなんだから叶えてあげてよ!出来ないことでないでしょ!」
「瑞葉が妹なのは理解したわ。私の事、会った時から知ってたし」
「だったら!」
「それとこれとは話は別よ。あんたはお母さんが自分の実体を取り戻す為に私を殺そうとした事に怒ったでしょ」
「私はお母さんとコミニュケーションとれるからいいの!みとりちゃんは私の実体が無ければ植物状態になってしまうんだよ!同じ次元で考えないで!」
流石私の母さんを肯定出来るだけのことはあるわね…
「あんたは母さんが私には実体を移さなかったら母親じゃないって言ったわよね?」
「言ったけど?それがどうしたの?」
「精神年齢はほんと子供のままね」
「否定はしないよ。みとりちゃん、言いたいことがあるの」
「なに?」
「好き!」
「なによ…私もあんたは好きよ」
「そうじゃなくて、恋人的な意味で!」
「え?!」
「みとりちゃん!好きです!付き合ってください!」
「えーーーーーー!!!!!!」
「ダメ〜?」
「ちょっと落ち着かせて…」
まさかこんなこと言われるなんて…
「ねぇ、聖奈」
「なに?」
「どうして異性じゃなくて同性の私を選んだの?」
「大切な人を好きになるのは悪い事?」
「そういうわけじゃないけど…」
「みとりちゃんは私と恋人になれる?」
「…分からないわ」
「だったら猶予をあげよう!」
「聖奈?」
「今日一、私と一緒にデートしてそれでみとりちゃんが恋人になれるか判断して貰う!」
「分かったわ…でも、希望を与えられるという保証はないわよ?」
「分かった!」
まさかこんなことになるなんて…聖奈の期待に答えられるかしら?
「で、いつ離してくれるの?」
「みとりちゃんが実体を返さずに済む方法を教えるまで!」
夢の世界
「お姉ちゃんと聖奈は幸せになれますかね?」
「なれないよ」
「結構スパッといきますね」
「結局寿命の差が弊害になる…大切な人の死は自分の死より辛いからね」
「体は痛まなくても心は痛みますからね〜」
「聖奈、だったっけ?あの子の臓器は売れそうにないや」
「急に物騒なこと言わないでください」