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短編 第74.5話 リエナ、初めてのラーメン

◇◇

 修平とリエナが再会してすぐにラーメンを食べに行った時のエピソードです。

 本編ではテンポが悪くなるので、泣く泣くカットしました(´;ω;`)

◇◇


「ここが俺のお勧めのラーメン屋だ」


 リエナが拠点にしているラブホからそう遠くない繁華街の一角にあるラーメン屋。

 店内に入るとすぐに俺はリエナをテーブル席に案内した。


 ラーメン屋はカウンター席で食べるのがカッコいい派の男子は少なくないと思うんだけど、長らく陰キャだった俺は店員の近くのカウンター席よりも隅っこのテーブル席の方が好みだった。


 それにリエナは初ラーメンだから、ゆっくり食べれたほうがいいだろうしな。


 しかしリエナはメニューを見始めるとすぐに難しい顔をした。


「えっとラーメンといっても色々種類があるんですね。麺の硬さとかスープの濃さとかも色々選べるみたいですし……うーん……」


「なら注文は俺に任せてくれないか? リエナが気に入りそうなセッティングで注文するからさ」


「ぜひお願いします。なにをどうすればいいのか、初心者にはちんぷんかんぷんなので」


 リエナの了解を得た俺は店員を呼んでラーメンを注文する。


「俺はラーメンのゼンマシチョモランマ、こっちの子はアブラナシメンヤサイカラメマシニンニクスクナメで」


「かしこまりました」


「? 今の謎の呪文は一体なんですか? 暗号……? それとも言語理解の加護が上手く働いてないのかな……?」


「今のでラーメンのトッピングを調整したんだよ。ラーメン屋ってのはたいていこうやって自分好みにカスタマイズしてもらえるんだ」


「今の呪文でですか!? すごいです!」


「だから呪文じゃないんだってば。ま、後は来てのお楽しみだな」


「はい、すごく待ち遠しいです!」



 その後少ししてからラーメンが運ばれてきたんだけど――、


「これがラーメンですか! すごいです、見ただけで美味しいのが分かりますよ!」

 初めてラーメンを見たリエナが興奮を隠しもせずに言った。


 さすが食べることが好きなリエナだ、想像通りの反応だな。


「ほらほら、見てるだけじゃなくて実際に食べてみろよ。でないと麺が伸びちまうからな」


「そうですね、それでは早速いただきます……ふぅ、ふぅ……はふっ」

 リエナが器用に箸を使いこなしながらラーメンを一口食べた。


「どうだ?」

「美味しいです……!」


 リエナの顔に、ヒマワリのような大輪の笑顔が花開く。


「そりゃ良かった」


「本当に美味しいです! まったりとしていて濃厚で、でも全然くどくなくて。麺にもお汁がしっかり絡んでますし、まるで口のなかで新たな一つの世界が産まれ落ちたみたいです!」


「お前はどこの料理漫画の評論家さんだよ」


 リエナの大袈裟すぎるリアクションに、俺は思わず笑いながらツッコミを入れる。


「全然大袈裟なんかじゃありませんよ! 魔王カナン討伐を祝う王家主催のセレモニーでも、こんな美味しい食べ物はなかったですもん!」


「まあこれは味覚にズドンとダイレクトに来る系っていうか、いわゆるジャンクフードだからな。王家のお抱えシェフが作るような優しい味わいの高級料理とは、またちょっと方向性が違うよな」


「もう、そういう勇者様だって評論家さんみたいじゃないですか。でもほんと美味しいです……あ、勇者様もどうぞ食べて下さいね」


「それだけ喜んでくれたら、連れてきた俺も嬉しいよ。じゃあ早速俺もいただくとするか」


 ラーメンをすするリエナの笑顔を見て楽しい気持ちになりながら、俺もトッピング全増しで山のようにうず高くなった名物ラーメンを食べ始めたのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ジロー(笑)
[一言] どうしてその店をチョイスしてしまうのか。
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