第二話
朝
部長は毎日毎日、食事に誘ってくる
鬱陶しい
いままで、女性に断られた事なんてなかったから
意地になっているんだろう
部長と廊下ですれ違う
高橋「菜々子ちゃんおはよー!」
菜々子「おはようございます、あと名前で呼ぶのやめてもらいませんか?」
高橋「いやー、俺苗字で呼ぶの嫌いなんだよね〜」
菜々子「そうなんですね、わかりました」
早くこの場から離れたかった
高橋「あ、今日話あるからさ、終わったら部長きてよ」
菜々子「ここで話してください」
高橋「いやぁ、大事な仕事の話だからさぁ」
仕事の話か、と安心する菜々子
菜々子「わかりました」
仕事が終わり部長室に向かう
菜々子「失礼します」
高橋「菜々子ちゃんおつかれー」
菜々子「話ってなんですか?」
高橋「ごめん嘘w菜々子ちゃん最近元気ないからさー、元気づけようと思って」
菜々子「帰っていいですか?」
イライラする菜々子
高橋「ごめんごめんwいやぁね、あの、玲奈ちゃんだっけ?最近旦那さん帰り遅いんだって?」
菜々子「………」
高橋「この前言ってた旦那さんの仕事さ、アプリのプログラマーって言ってたよね」
菜々子「そうですが」
高橋「俺も知り合いさー、アプリのプログラムしてる奴いてさ、聞いたのよね」
菜々子「……」
高橋「そしたら同じ会社に須藤って苗字の人いたらしくって、えーっと、
須藤涼介って人だよね?旦那さん」
菜々子は旦那の名前を聞くとドキッとした
高橋「えーっと、図星?かなw」
菜々子「だからなんですか?」
高橋「いやーっ、おかしいと思ってね、
須藤さんの部署、メンテナンスの部署らしいんだけど、メンテナンス部は残業してないらしいんだ」
菜々子「どういうことですか?」
食いつく菜々子
高橋「毎日定時上がりなんだよ、残業は基本しないんだ」
そう言われ
菜々子は逃げるように部屋を出た
部長の言われたことが頭から離れなかった
旦那は今日は22時に帰ってきた
菜々子はもう食事は自分の分しか作っていない
旦那はすぐシャワーを浴び寝室に行こうとした
菜々子「涼ちゃん、あのね?」
涼介「なに?」
そんなつもりで言ったんじゃないと、わかっていたけど
どこかイライラしている言い方に聞こえた
菜々子「えーっと、いや、何でもないよ」
本当は定時で上がっているって言われ
確かめたかったけど
言えなかった
だんだんと、不安になる
旦那との距離が
私の中で
じわじわとと離れていく気がして
悲しかった
朝
旦那はいつも早い
私が起きる頃にはいつもいなかった
高橋「菜々子ちゃんおはよー」
部長はいつもニコニコしている
菜々子「………」
昨日の部長の言っていた話がまだ引っかかる
モヤモヤする感じ
高橋「菜々子ちゃんさー、今日も部長室きてくれない?」
私は黙って頷く
仕事が終わり部長室へ
高橋「菜々子ちゃんお疲れ様!」
菜々子「今日はなんですか?」
高橋「菜々子ちゃんこれ見てよ」
高橋は引き出しから5枚ほど、写真を机にばら撒いた
その写真には
旦那と
女性が写っていた
写真…
すぐわかった
身長は176センチ
いつも変わらない髪型
顔
私の旦那だ
私が何度も救われた
無邪気な笑顔
それは同じ写真に写っている女性に向けられていた
写真の様子は
旦那とすぐ近くに女性
店に入ろうとしている写真
その店はラブホであった
5枚の写真
入る瞬間の写真、
入った後の写真
私は言葉が出なかった
高橋「これさ、俺のプログラマーの知り合いから渡されたんだけど、この人旦那さんでしょ??」
菜々子「………」
高橋「これってさ……、浮気だよね」
涙が出てきてしまう
菜々子は床に崩れ落ちた
菜々子「うぅ、うぅ、ううぅ」
高橋「見せない訳にはいかなかったんだ、」
高橋「毎日毎日、帰りをまつ嫁さんを置いて!
残業だと嘘をついて!浮気をしているなんて!
俺は許せなかったんだ、、、」
高橋は悔しい顔をする
菜々子は信じられなかった、浮気なんて
想像したくなかった、、
でも、写真に写ってるのは紛れもなく私の涼介だった
何かの間違いだ、
なんて疑う事はしなかった
毎日帰りが遅い旦那
冷たい旦那
そういう事だったのかと
最後まで涼介を信じたいけど
もう無理。
私は、
裏切られた
私は、捨てられたんだ。
高橋「今日はさ、うちにおいでよ」
私はもう、どうでもよくなっていた
めちゃくちゃにしてほしかった
はぁ、神様
今日は
許してください
旦那ばかり良い思いをして
私はもう疲れました
今日だけは
誰のものでもない
1人の女性でいさせてください