第一話
私は冷え切った2人分の食事を眺めてぼーっとしていた
今日も、
旦那の帰りが遅い
ここ最近残業で帰りが遅い
旦那の仕事はスマホアプリのプログラマーだ
もうすぐ配信予定のアプリがあるから
忙しいらしい
会話もろくにしてないから、何のアプリかは知らない
もう21時だよ
私は須藤菜々子26歳
旦那は涼介24歳
年下の旦那さん
幼馴染で、
家が近所で
小さい頃から遊んでた
めちゃくちゃ明るくて、元気で、はしゃいで
そんな正反対な性格の私にとって彼は太陽のような存在だった
小中高一緒で、大学は違ったけど
社会人になって、彼と付き合って
昨年結婚した
嬉しかった、
彼からのプロポーズ
一生忘れられない日
菜々子のスマホから着信音がなる
どんな内容かは察しがつく
菜々子「もしもし?」
涼介「ごめん!菜々子!今日も忙しくて帰れないからさー、終電まで終われそうにないから会社で泊まってくよ」
菜々子「わかったわ、あまり無理しないでね?」
そう言って通話が切れる
菜々子「今日もか……」
仕事が忙しいのは仕方がない
だけど寂しかった
そう思い
1人でご飯を食べる
菜々子「2人分なんて、食べられないよ……」
1人寂しい食事に
菜々子はなんだか
思っていた結婚生活とかけ離れていた生活に
不安を募らせる
菜々子「まあぁ、仕事が忙しいなら仕方ないね、」
そう開き直り、
今日も寝る
菜々子は映像会社の事務をしている
支度をし、出勤
「菜々子ー!今日も顔色悪いよ?」
同僚の玲奈だ
玲奈「もっと元気だしなよー」
そう言って私の背中を叩く
菜々子「もー、わかったからやめてー」
何気ない一日が今日も始まる
玲奈「そういえばさー、聞いたー?」
菜々子「なにー?」
玲奈「異動でさー、新しい部長がくるらしいんだけどねー、その部長がめちゃくちゃイケメンでさw」
玲奈は楽しそうだった、
イケメンってなだけではしゃいでいた
菜々子「へぇー、そうなんだw」
玲奈「えー、めっちゃ興味なさそー
まあ菜々子は旦那さん一途だからねー」
そう言われムッとした
菜々子「玲奈もそう言ってないで早く彼氏作りなよー」
玲奈「うっわw結婚してるからってw
いいよーだ、イケメン部長と付き合ってやるー!」
アホか、
そう思ったことは口に出さず
仕事に戻る
すると噂の部長が挨拶にやってきた
見た目は今時の髪型で、ジャニーズ系?みたいな感じ
身長は175以上はある
シュッとしてて、確かにイケメンだ
高橋「えー、皆さん、今日からこちらの西東京オフィスの部長になります、高橋透です、硬いことはなしでフラットな感じでやっていきましょう!」
喋り方は少しチャラい印象
他の女性たちは……
釘付けw
部長は丁寧に一人一人社員に挨拶をしている
私のところにも
高橋「えーっと、須藤さんね!今日からよろしく!」
菜々子「はい、よろしくお願いします」
ほぼ、棒読みだった
高橋「ん?元気ないなー?wしっかり頼むよーっと」
菜々子な肩を叩く部長
馴れ馴れしい奴
嫌いな人種だ
12時15分
昼食だ
玲奈といつも食べてる
玲奈「あー、やっぱあの部長駄目だわ」
菜々子「え?なんで?」
玲奈「神奈川のオフィスにいた頃にさー、あの部長めちゃくちゃ社員の女の子と遊びまくってたらしい、
噂だけどねー」
菜々子「はは、まぁ、そんな感じはするねw」
玲奈「あーあ、菜々子が羨ましいよ」
そう言われて私は下を向いてしまう
玲奈「ん?どしたの?」
菜々子「え?ああwなんでもないよw」
幸せな結婚生活を送ってるって
思われてるんだろうな
仕事はいつも定時だ
残業はしない
18時、帰宅
しようとした時
「菜々子さーん!部長が呼んでたよー!」
そう言われた
何だろうと思い
部長室へ
高橋「ごめん菜々子ちゃん、これ明日やっといてくれる?」
USBを渡される
菜々子「わかりました、では失礼します」
部屋を出ようとした時
高橋「あー、菜々子ちゃん、
今から食事でも行かない?w」
まじか、こいつ
今日会ったばかりだし
噂通りの奴じゃん
菜々子「ごめんなさい、旦那も待っているので」
冷たくあしらい
さりげなく結婚しているアピールをしこれ以上誘ってくんなの、圧をかける
高橋「あーそりゃあ仕方ないw独身だったら狙ってたのになーw」
高橋「旦那さんは何の仕事を?」
菜々子「スマホアプリのプログラマーです」
高橋「へぇ、凄いじゃん」
菜々子「では失礼します」
強引に会話を終わらせ、部屋を出る
高橋「ふーん、なかなか手強いじゃん」
帰宅
2人分の食事を用意する
21時45分
冷め切った食事を眺めている時
ガチャ
旦那が帰ってきた
菜々子「おかえり!疲れたでしょ?
ご飯できてるから一緒に食べよ?」
ただいま、
とは言わず
涼介「あーごめん、外で牛丼食べてきたからいいや、
シャワー浴びてすぐ寝るよ」
そう言って荷物を置き
すぐシャワーを浴びる
床に落ちている荷物を片付け、
旦那の分の食事を冷蔵庫にしまった
ドライヤーで乾かし、すぐ寝室へ向かう旦那
私はご飯を食べて
歯を磨いて
旦那が寝ているベッドに入った
今日は嫌なことがあったから
涼ちゃんと少しでも会話がしたかった、
でも疲れているから、起こしたくないから
旦那の背中をそっっと、触り
距離を空けて
眠りについた
そんな生活が一週間続いた
二話に続きます