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公衆電話から貴方へ

作者: ブルータスの屁

詩・短編を書いてみました。

気に入っていただけるか分かりませんが

一生懸命に書いてみました(^_^)

1000文字ぐらいで書いてあります。

物語の断片や本の1ページのようなモノだと思いながら

暇なときにでも読んで

楽しんで頂けると幸いです(^_^)

「これ、なのかな?」


その公衆電話は

人に触れられていなかったのか

大量のツタと草に覆われいて

そのツタはドアにもも触れており

今にも開けなくしてしまいそう。


私はツタや草を少し剥がし

ゆっくりとドアを引く。


折り畳み式のドアから『ギキギ……』と音が鳴り

その電話ボックスの過ぎた時間を教えてくれた。


私は虫がいないか確認しながら

慎重に中へ入る


電話ボックスの中のは電話機と

その下に設置されている台と

その台に置かれたホコリを被って汚れた大学ノートがあった。


「何だろう…?」


そのノートが気になった私はその表紙を開く

そこには

誰かが書き残したであろう『電話を使用するルール』が記されていた。


―――――――――――

この電話はもう一度だけ、お話したい人と会話が出来る電話です。


使う際の唯一のルールを書き残しておきます。


「自分が違う時間から掛けていることを絶対にバレてはいけない。」


ルールを破れば、この電話は2度と使用できなくなるので気をつけて。


お話しできたら、次のページに感想を書いてください。


アナタに僅かでも幸せが訪れますように。

―――――――――――


ページをめくると。


「もう一度、あの人の声が聞けて良かったです」や

「設置して頂いた方に感謝いたします」など

多くの人が感謝の言葉が綴られていて

そのページの所々には

涙が落ちたような

水で濡れたような丸いシミも…。


(本当に聞こえているんだ…。)


私はノートを閉じ

持ってきた小銭を電話機に入れて

あの人に電話を掛けた。


プルルル…


少し気持ちが高鳴り

緊張で呼吸が荒くなっていく。


興奮しているのか

それとも怖いのかからなのか。


プルル…。

ブルル…。

ガチャ。


「はい、もしもし…」

「あ、サトシさんですか? ミキです」

「あ、ミキ? 知らない番号だからビックリしたよ。で、どうしたの?」

「あ、いや…。別に何もないのですけど…。あの、本当にサトシさんですか?」

「うん、そうだよ…?」

「あの…。確認していいですか?」


私は彼と私しか知らない事を質問してみた。

私の誕生日や自分の誕生日。

星座や血液型など。

彼は不思議そうにしながらも

それに全て間違わずに答えてくれた。


「本当にサトシさんなんですね…」


私は出そうになる涙を堪える。


「本当にどうしたの?」

「いえ…。何でもありません」

「でも、涙声だよ? 辛いことでもあったの?」


バレてはいけないから必死に泣くのを我慢する。


でも

彼の優しさに思わず

昔を思い出して泣いてしまいそうになる。


だって

私はいつもこの優しさに救われていたから。

どんな苦しい時でも

彼の暖かさを感じるだけで

降り積もっていた苦しみが

砂上を崩すように溶けていくのだから。


でも

今はその優しさを素直には喜べない…。今は喜んではいけないのだ。


「そういえば、サトシさん。今は日付は分かりますか?」

「えっと…。5月1日じゃないの?」


5月1日。

そうか…。

あの日か…。


「あの。もう一度、プロポーズの言葉を聞かせてくれませんか?」

「えっ!?。それは恥ずかしいよ」

「お願いします。どうしても、もう一度聞きたいんです」

「……分かったよ…」


電話の表示されている残り時間が2から1に変わる。


「いいかい?」

「はい」

「来世でも僕と結婚してください」


私は涙声で「はい……」と答える。


「必ず…。必ず、来世でもアナタを見つけますから」

「う、うん…。ありがとう…」


ガチャ。

ツー…。

ツー…。


私は泣いて泣いて

涙が枯れるまで泣いた…。


サトシさんに会いたいと思いながら…。


それから数日後。

再び私はあの電話ボックスへ訪れた。

しかし

電話ボックスは

全体を草木に覆われていて

もう入ることが出来なくなっていた。


それはまるで封印されているようで

もしかしたら

サトシさんが私との会話で

何かを感じ取ったからかもしれない。



私は空を見上げる。

その空は

涙が溶けそうなほど綺麗な青さで

叫んだら彼に届きそうなほど澄んだ空。


もう一度、会いたいなぁ…。


思わず呟いた叶わない願いを

あの空に託したくなった………

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