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未知との遭遇!

――???


「ここは……?」


アサヒは困惑していた。

一瞬眩い光に包まれたかと思ったら、得体のしれない場所にいたのだから。

どれだけぐるぐると辺りを見回しても、わからないことだらけだ。

ただ一つのことを除いては。


「カグヤ、大丈夫か」

「……」

彼女も一緒に、ここにきてしまったということだ。

驚いているのか。それとも怯えているのか。少なくとも余裕がある風ではない。

いつもと違う彼女の表情に、アサヒの緊張はより一層高まる。


「ほら、手、握ってろ」

「……うん」

はぐれることのないように、彼女の手をしっかりと握る。

こうして二人は、ゆっくりと歩き出した。



しばらく歩き回ってみて、ようやく理解した。ここはあの帆船の中だ。

しかし、帆船に見えるのは外側だけ。内部は現代的、いやそれ以上といっていいぐらいに機械的なものだった。

まるでSF映画にでも出てきそうな――そこまで考えて、彼はある仮説に至った。


「宇宙船だ……」

「宇宙、船?」

「ああ。多分噂は本当だった……あのサイトを見た人間を、こうやって集めてるんだ」

「何のために?」

「わかんねぇ。けど……」





「俺がついてる」


彼女の顔をしっかりと見つめ、そう言った。


「……うん、そだね」

その言葉に、カグヤの表情は明るさを取り戻す。


「よーし!こうなったら宇宙人をこの目で見てやる!」

「おう!その意気だ!」

声を潜めながらも、二人は元気よくそう言いあった。



「!」


さらに歩き回っていると、何かの気配を感じた。

二人はとっさに物陰に隠れて、様子をうかがう。すると――


「しっかし、今回やたら収穫多かったな」

「ホントだよ。この惑星の奴ら、どれだけ現実から逃げたいんだか」

「ちょっと同情しちまうなぁ?」

「まったくだ」


通路の奥から、そんな会話をしている二人組の男――宇宙人だろうか――が歩いてきた。

体格は成人男性ぐらい、顔はすっぽりと仮面で覆われている。全身にアーマーを着込んだそれは、彼らの日常からは大きく剥離した存在だった。


「なんか、思ったより人間ぽいね……」

「そこ、重要か?」

「ちょっとは」

息を潜めながら、ひそひそとそんな会話をかわす二人。

幸いなことに聞こえてはいないらしい。

男たちはそのまま、通路を横切って行った――



かに、思えた。



「おいそこ、虫がいるぜ!」

「うげ、潰せ潰せ!」


アクシデントは、突然起こった。小さな虫が数匹、床を這っていたのだ。

男たちは足を振り下ろし、踏みつぶそうとする。


「おいこら、逃げんなっての!」


それだけならよかったのだが。

何の因果か、神の悪戯か。そのうちの一匹が、アサヒたちが隠れている物陰の方へと逃げてゆく。

そして。


「おい!」

「何だ、卵でも見つけたか?」

「いや……」





「人間がいた」


彼らは、見つかってしまった。


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