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気になるウワサ?

その夜――アサヒ宅


ピロン


机の上の携帯から、通知音が鳴る。ベッドに寝転がって漫画を読んでいた彼は、何だ何だ、といった具合にロックを解除し、確認する。


「げ」


その一言に、彼の心のすべてが集約されていた。

送り主は――カグヤ。『面白いウワサ聞いたんだけど』とのことだった。


「……」

彼は無言で即座に携帯をロック、さらにマナーモードに設定、おまけに裏返してそそくさとベッドに戻った。

昔から、彼女がこう持ち掛けてくる時、それは

ある時は『誰かが秘密で飼ってたワニが逃げ出したらしいから見に行こう』だの。

またある時は『珍しい虫が山奥にいるらしいから捕まえに行こう』だの。

――大概ろくなことじゃない。

彼はそれを身に染みてわかっているが故に、見なかったことにした。

それが無駄だと知りつつも――


ブブブッ ブブブッ


――そーら来た。

数分ののち、着信を知らせるバイブレーションが響き渡った。

彼は観念した様子で再びベッドから立ち上がると、深いため息をついてから通話ボタンをタップする。


「もしも――」

「もしもし?今ヒマしてる?てゆーかヒマだよねっ!」

「お、おう……で、何だよ」

食い気味に話を展開していく彼女に口元をひくつかせながらも、彼は用件を聞く。


「いやー実はさ、面白いウワサ聞いちゃって」

「んだよ、今度はライオンでも逃げ出したか?」

「ふふふー、そんなレベルじゃないんだなぁー、これが」

「じゃあ、何なんだよ」

やけにもったいぶる彼女の様子に不安が募るアサヒ。

そして。


「とにかく降りてきてよ、直接話すからっ!」

「はぁ!?まさかおまーー」

ブツッ。その一言とともに、電話が切れた。


彼は驚いた様子ですぐさまカーテンを開け、外を見る。

そこには、満面の笑みでぴょんぴょんとはねながら元気に手を振る彼女の姿があった。


「ったく、しょうがねぇなぁ」

頭を掻き苦笑いを浮かべつつも、出かける支度を始める。

このままでいたら彼女はおそらく――いや、間違いなく一人でも行くだろう。

いくら気が強く腕っぷしもそこそこあるとはいえ、女の子だ。男として放っておくわけにはいかない。

彼は素早く身支度を済ませ、家を出た。

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