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4話 自然の猛威

再び意識を失った俺は、ハッとして目が覚める。



倦怠感を物凄く感じるが、幸いな事に無事であり、火もまだ燃えていたことからそれほど長い時間意識を失っていた訳では無いようだ。



「俺のアホぉ!!…………もっと色々慎重にやってかないと……」



マニュアルで一応確認したが、想像通り魔力が空になった事で意識を失ってしまったらしい。



そして俺自身の魔力が少なかったことも相まって短時間で目覚めることが出来たようだ。



とりあえず石の洗浄は川の水で行い、採ってきた薬草2種類をマニュアルに倣って石ですり潰して混ぜ合わせてみる。



ただのすり潰した草の塊が出来たが、一応は傷薬になるらしい。

だが今は保存する容器もないため、作り置きも出来ない。

一応、無駄になってしまいそうだったが、乾燥させないように葉っぱで包んで置いておく。



他にやる事も思いつかなかったので、食料を調達する事にした。



とは言っても狩りなんて出来ないし、魚を素手で捕まえるなんて不可能だ。釣りも現状では難しい。

なら野草や木の実を集めようと、周辺で取れる物をマニュアルで調べた結果、とある木の実が採れることが分かった。



早速何個か採取する。



この木の実、人差し指の爪ほどの大きさで、生では殻が硬すぎて食べられないのだが、火にかけると中身が膨張し、結構な量になるようだ。



なので、まずは調理場を作る。



なるだけ平で薄く大きな石を鉄板に見立て、それを支えるように石を並べる。



不安しかないのだが完成とし、とりあえず火にかけてみる。

少しするとパンっと結構な破裂音がして不安になったのだが、意外と簡単に木の実を調理出来た。



「見た目は完全に映画館のお供のアレだな……」



それ以外に例えようがないが、大きさはかなり膨張したようで、拳大ほどの物が3つ出来ていた。



アツアツ言いながら手掴みで頬張ってみる。

サックサクでスナック菓子のような食感、味は暫く噛んでいると甘みを感じてくる。米っぽい感じかな。



3つ完食すると結構腹も膨れている。



「木の実1粒でこの食い物が3つ出来るのはマジで有難いな。食料はこれでなんとかなりそう」



木の実も周辺にいっぱいあるようだし、これで衣食住のうちとりあえずではあるが、住と食は確保出来た。



その後は洞窟の中で寝る場所を決め、ゴツゴツした石等を出来るだけ取り除き、落ち葉などを集めて簡素な寝床を作った。



外はすでに暗く、寝床で横になりながら焚き火を眺める。

疲労も感じるがそれ以上に充実感が凄かった。



「ホントに異世界に来たんだなぁ……」



サバイバル生活をするだけなら、1日も経っていないこの段階でこんな感想は出なかっただろうが、魔法やマニュアル、スキルといった不思議な力を使えたのだ。



否が応でも実感してしまう。



俺は魔力が少ないから日中使って、夜寝る前にでも余りの魔力を訓練に回そうと決め、その日は眠りについた。



それから数日。



主食の木の実を集めたら、ほぼ洞窟に引きこもりマニュアルを読んで過ごしていた。



前世でも引きこもりだったが、決して同じではない。

知識を蓄える為に引きこもっているのだ。



前世でも大した知識を持っていなかったし、それを活かす場面でもない。



ましてや魔法なんてものを実際に使えるようになって、無茶をした結果、気絶してしまった。



これからも大した魔法は使えないだろうが、わかる範囲で、しっかり根本を把握しておきたかったのだ。



その甲斐あって、この世界の一般人くらいには魔法も使えるようになった。



そんな日々を送っていたある日。

外は大雨。



丸一日降り続き、翌日になってもまだ降り続いていた。



洞窟の前を流れている川もかなり水位が上がり、氾濫するんじゃないかと不安になってきていた。



前が見えないくらいの雨量の中、森を彷徨うか、洞窟に残るかの2択だったのだが、ふと気づいたことがあった。



この世界そのものはそれなりに長い歴史がある。

当然、この洞窟も川もそれなりに歴史はあるはずなのだ。



そんな歴史の中で川が氾濫したことが過去に1度もないとは考えられない。



そしてこの洞窟には川が近いにも関わらず、水跡が全くないのだ。

つまり川の水は過去1度もこの洞窟を浸水していないということだ。



仮に今回初めて浸水したとしても、洞窟が水没するはずもない。

流されなければ、洞窟にいた方が安全だろうと、その場に残ることにしたのたが、たまに洞窟の入口に水が来るとやはり不安で、その日は眠れない夜を過ごした。



朝になる前に雨は止み、周囲に被害もなさそうで気持ちのいい朝だった。



この日も主食の木の実を採取しに出かけたのだが、あまり同じ場所で採るのはマズいと思い避け、この日は川上のほうに行ってみることにした。


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