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観察記1-2 とある放課後の話②

――大口VS川原さんの戦いの決着は、大口が大人の余裕をかましたことで解決。

それに関しては嬉しいことなのだが、何故かまた新たに問題が浮上してしまった。

しかも、見てるだけで、色々と痛くなってくる問題。


正直、めんどくさい。

自分が関係してなかったら、まだ許せるのだが……残念、私は関係者だ。



めんどくさい事に関わってしまったものだ。

私は震える肩を落とす。

これから痛くなってくるであろう、あばらと胃辺りに手を添え、下へ向いていた顔を上げた。





現在時刻、5時57分。


時計の針は、無慈悲に時を進め――あ、もう58分になってる。……そろそろ、ちんたら出来ない時間帯になって来てしまったようだ。


部活終わりの生徒でうるさかった教室は、残り既に6人。と言っても、全員よく喋る見慣れた奴らばかりだけど。



私、あいちゃん、茶野ピ、亜樹、のイツメン4人に、大口と緒方の2人。


大口と緒方は元々仲が良く、そこに亜樹の件も加わり、昼休みや休み時間、その他色んな空き時間でよく話している。この2人に加えて男子勢でよく一緒に喋る奴は後数人程いるが、その話はまた機会がある時に。



兎にも角にも、何の問題が浮上したのかと言うと、それは勿論、亜樹と緒方のことだ。



2人は、教室のド真ん中で見つめ合っている。

人一人分空いた先で、互いに顔を真っ赤にし、何か話そうと、口を開く、が、出てくるのは息をのみ込む音だけで、それは言葉を成してない。


何を言いたいのか、何をしたいのか、何となく分からなくも無いけれど、ここで手をさし伸ばすほど私達が優しいはずが無く、少し離れた教壇辺りで、2人のことを見守っている。



さっさと帰ってゲームしたいと思う反面、2人の初々しさを見たいと好奇心もあり、手に顎を乗せて、ニヤケ面で見てしまうのもしょうがない。ふかこーりょく、ってやつだ。



2人が緊張しているのが見て取れて、私は思わず唾を飲み込んだ。他の3人も、見つめ合っている亜樹達に野次をかけるほど野暮では無く、胸の前に腕を持ってきて拝み、固唾を飲んで見守っている。



中心に立つ2人は、やはり、何も発さない。

そこだけ時が止まり、2人の世界が出来上がっている。何時、何時次が来るのか。そう何度も心の中で身悶える。焦らしが酷い。早くして欲しい。そう思い、私は思わず口を開き――――。



「あのさ……守星さん」



――勢いよく口を閉じる。ガリっと音がしたが、これくらいなんて事ない。鉄の味がするが、これくらいなんて事ない。大丈夫……大丈夫。


胸に手を当て、精神統一を計りながら、動きが見えた2人の方を向いた。


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