Side エリー
前回言っていた通り今回は別視点です
私は貴族の娘だった
ここら辺ではかなり大きな貴族のアトラルカ家の3女
かなり大きな貴族だったけどお父様は領地運営が苦手なようでどんどん借金が溜まり地位は落ちていった
そこでお父様はある日私たち娘を他の有力な貴族の元に嫁がせようとしてきた
私は3人の娘の中でも特に容姿が整っていたためアトラルカ家よりももっと大きな家に嫁がされることが決まった
私は嫌だったがお父様の為だと思って我慢する気でいた
しかしある日お父様の部屋の前を通りがかる時に聞こえてきた会話からは私を嫁がせるのではなく奴隷として売り払った方が高く値段がつくという会話が聞こえてきた
お父様の為に好きでもない人に嫁ぐ覚悟をしていた私の事をお父様はただの道具としか見ていなかった
でもその事を知ったとしても私はまだ16でなにもすることはできなかった
数日後私は奴隷商の所に連れていかれる事になった
これから始まる地獄の生活を予想し吐いたりもしたがそれで現実が変わるわけでもなかった
私が奴隷商の元に送られる途中突然周りが騒がしくなった
どうやら盗賊が襲ってきたようだった
私はどの道奴隷として売られる
盗賊に捕まったとしても奴隷のような扱いをされたあと奴隷として売られるだけだ
私は全てを諦めた
そして気がついたら私はどこかの地下牢獄と思われる場所にいた
着ていた服はボロボロだったがまだ私の純潔は守られていたようだった
どうせなら意識のないうちに奪われていた方がよかったとも思った
そして私の目が覚めた事に気づいた盗賊の1人が仲間を呼び私を奴隷商に売り飛ばす前にみんなで使いまわそうという話になった
やっぱりそうなる運命なんだなと思っていたら急にただならぬ魔力を感じた
それは私だけではないようで盗賊達全員が動揺していた
そして盗賊の中で1番偉そうな男
下っ端の男達からラリクマと呼ばれていることからここはラリクマ盗賊団のアジトなのだと悟った
なの知られていない盗賊団ならともかくラリクマ盗賊団に捕まってしまうとは私も運がないのだろう
ラリクマ盗賊団は少数だが全員レベルが高く特にリーダーであるラリクマはAAランク冒険者に匹敵すると言われている
何故そんな実力のあるものが盗賊なんかをしているのかは知らないが私は...エリー・アトラルカはここで終わるのだ
これからは奴隷のエリーとしての人生が始まる
そう思っているとラリクマ盗賊団の全員でただならぬ魔力を確かめに行くぞという話になっていた
見張りを1人も付けないことからそれだけここは人が立ち入らぬ場所なのだろう
現にラリクマ盗賊団のアジトは未だに発見されていない
ただ活動範囲から考えてヤマタの森のどこかにあるとだけ言われている
ヤマタの森はBランク以上の冒険者しか立ち寄らないそれなりに危険な森だ
そもそも人がそんなに来ないから助けを期待するのも無理そうだ
いつの間にか盗賊団の人達は姿を消していた
いろいろ考えていたうちにあのただならぬ魔力の調査に向かったのだろう
私はこれから始まる奴隷としての人生を覚悟する時間として費やした
しばらくすると足音が1つした
盗賊団が帰ってきたのだろうか
でももう私の覚悟はできている
これから始まる奴隷人生から逃げることは無い
足音が近づいてくる
足音が私の目の前で止まった
「ねぇ君」
盗賊団の中にこのような若い声を発する者はいなかった
誰だろうと思い顔をあげるとそこには少年が立っていた
いろいろあって彼...クロという名だそうだ
彼は私を助けてくれた
彼は自分の為だと言っているがそのお陰で私が助けられたことには変わりはない
彼に人の住む所まで送り届けてやるからそこからは自由に過ごしなと言われたが私が家に帰ってもまた奴隷として売り飛ばされるだけだしかと言って1人で暮らしていくこともできない
その事も彼に話すと彼は俺が養ってやると言い出した
なんでこの人は優しいのだろう
奴隷として売られる身だった私を助けてくれただけではなく養ってくれると言ってくれている
それに彼はあのラリクマ盗賊団を1人で全滅させたらしいAAランク以上...下手したらSランク級の実力があるのではないだろうか
私が小さい頃よく好きで読んでいた物語に出てくる王子様のような人だと思った
すごい力を持ちながらそれを人の為に使うその物語の中でも主人公であるお姫様は王子様に助けられて恋をしていた
そして今全てを諦めかけていた私の前にその王子様のような人がいる
あぁ...これが運命の人...そうに違いない
そんなことを思っていたら牢獄の外に出ていた
するとそこには妖精魔王とその世話役のエルフを名乗る者がいた
なんで妖精魔王がこんな所にいるのだろうかとか色々な疑問はあるが私の王子様のクロ様とかなり親しげなようだ
特にシルというらしいエルフはかなりエロい体つきをしている
彼は私の王子様なんだから彼女にだけは取られないようにしないとあの体には勝てる気がしないと思った
軽く自己紹介をする時私はずっとエルフの女を睨みつけていたがその視線に気づいたエルフの女は何かに気づいたような反応をした後にっこり笑いかけてきた
なんなのこの女!!クロ様はもう既に私のモノよとでも言いたいのかしら!!
もちろんそんなことはなくただシルはエリーがクロに好意を寄せていることに気づきただ微笑ましくなって笑いかけただけだったのだがエリーがそう捉えることはない
別視点ってなんか書くの楽しい