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ありきたりなユニークスキルと図書館

3人の目が覚めてからはミリティの集めた本が並ぶ図書館にやってきた

というのも言葉は通じるものの自分がいた世界と言語が違っていたら読めないからである

それを確認するためにミリティに頼むと「それなら私の集めた本が沢山あるわ!!」と言って連れてきてくれた

ミリティが本を読む姿なんて想像つかないが私は本が好きなのよと言っているので意外と博識なのかもしれない

まずは世界地図を見させてもらった

妖精鄉はミリティのスキルにより隔離されているため世界地図にはのっていないがゲートはどこにでも作ることが出来るらしい

ただゲートを開くと世界中に妖精鄉へのゲートが現れた事が伝わり物好き達によってゲート探しが始まるためすぐに閉じるのだそうだ

ミリティ曰く「前に1回すごい変態が来たからもう絶対あんなやつごめんだわ そういえばあいつもあんたみたいにエルフや妖精を見て大興奮してたわね」と言っていたのでもしかしたらその人も俺と同じ世界からやってきたのかもしれない


それで世界地図なのだが言語はやっぱり分からない

なんて書いてあるのかまったく分からないが文字の形を見る限りはそこまで苦労せずに覚えられそうだ

読み方が分からないためシルさんに教えてもらいながら世界地図を見る

見た感じ3つの大陸に分かれている

「見てわかる通り世界には3つの大陸があり北の大陸アストラル大陸には4人の魔王が支配をしていて年中寒波に襲われていて極寒の大陸です

人間は少数の原住民が暮らしている程度です

中央の大陸はヴェルヘイム大陸と言って世界最大の大陸で、6人の魔王が支配している大陸です

6人と言っても古の魔王2人は領土も部下も持っていないので実質4人の魔王の領土があるだけです

気候は温暖で1番暮らしやすい大陸だと思います

最後に南の大陸はサウスノア大陸です

1人の魔王...炎魔王ノブナガが大陸全土を支配しています

気候は暑くて雨の多い大陸です

400年前までは様々な民族が対立し合って暮らしていていたのですがノブナガがある日急に現れてからたった10年で大陸全土を統一しました

支配者でありながら戦では最前線で戦うなどの姿から部下達からもかなり慕われています」


「なるほどだいたい把握したよ

とりあえずこの世界の文字を覚えたいから簡単な物語の本とか教本なんかを持ってきてくれないかな」


「分かりました」


そう言ってシルさんは本を探しに行ったところでミリティが話しかけてきた


「ねぇねぇずっと気になってるんだけどあなたのユニークスキルの能力ってどんなのなの?」


「俺もよく分かんないや」


「大抵のスキルは本人が何となく使い方を自覚しているはずなのだけど...まだスキル発動の条件みたいなのが満たされてないのかしら」


「どういうことだ?」


「例えば私の妖精誕生なんかは私が自由に妖精を誕生させられる訳では無いわ

妖精が誕生するには私の涙が必要なの」


「涙?」


「そう私が悲しんだり嬉しかったりして流した涙は植物が成長するようにすくすくと育って妖精になるの

妖精女王となる者が必ず持っているユニークスキルよ」


「なるほどつまり俺のユニークスキルにもなんらかの発動条件があってそれを満たしていないからまだスキルの使い方もわからないと」


「そういうことよ!私もあなたのスキルが知りたいしあなたのスキルを解明しましょう!!」


「面白そうだけどまずはこの世界の文字を覚えてからだな

文字が読めないと色々と不便だろうしミリティも協力してくれ」


「しょ...しょうがないわね!!文字を覚えたらすぐにスキルの解明するわよ!!」

そういうミリティの表情はとても楽しそうだった


___________________________________________


というやり取りをして1週間

複雑な文字はさほどなかったし基本的に日本語のひらがなと同じように文字が割り振られていたためこの世界の文字に元の世界の読み方を当てはめるだけで簡単に覚えることができた


ミリティは俺と一緒に本を読んで話し相手にもなってくれたしシルさんは簡単なテストのようなものを用意してくれて俺の言語習得にとても貢献してくれた

日本でいう漢字のようなものはなかったためそこまで苦労はしなかった

基本的にその話の流れなどで意味を察するのがこの世界では常識なのだそうだ


まぁそれはともかくとして俺はこの世界の文字を覚えることができたためミリティと約束していた俺のユニークスキルについての解明をすることとなった


「まずは『自由人』の方からね!!

戦闘用のスキルには思えない名前だけど戦闘によってスキルが使えるようになることも多いわ!!

試しに戦闘をしてみましょう!シル!適当に森の中に住んでる獣を捕まえてきて!」


「分かりました」


そう言ってシルさんが森の中に消えていく


「というかいきなり戦闘とかして大丈夫か?」


「大丈夫よ!危なくなったら助けてあげるしあんしんして!」


「それならいいが」


「ミリティ様捕まえてきました」

そう言ってシルさんが捕まえてきたのは狼のような魔物


「そいつ強そうだけどほんとに大丈夫なの?」


「大丈夫よ!!こいつの強さは人間の基準でもEランクよ!!」


「Eランクがどのくらいかは分からないがやるだけやってみるよ」


「ガウゥゥ...」


狼が威嚇してくる


よくよく考えたら俺は何も持っていない

剣の1本でもあればもう少し前向きな気持ちでやれたかもしれない

丸腰の俺に対して狼の方は鋭い爪に牙

どう考えても攻撃力に差がありすぎる

せめて俺にも牙や爪があればな...

『スキル「自由人」が発動します』

魔力探知を習得した時のあの声が聞こえてきた


え?まだ何もしてないけどスキル発動条件を満たしたのか?

そう思っていたら自分の手が...正確には爪が狼と同じように尖ったものに変化した

そして口の中も狼のような牙に変わっている


「ちょっと!!クロ!?何をしたの?!」

そうミリティが叫ぶが俺もよくわかってない


何故こうなったのかを思考しもしかして『自由人』スキルは自分の体を自由に変えられるスキルなのでは?

そう思いミリティに生えている羽をイメージする

昔から空を飛ぶということは人間の希望だ

誰しも1度は自分の羽を羽ばたかせ大空を飛んでみたいと思ったことがあるだろう

ミリティのように羽で空を飛んでみたい

そう思うと自分の背中からミリティについている羽が生えてきた

どうやら思っていた通り体を自由に変化させるのが『自由人』のスキルなのかもしれない

そう思っていると狼の魔物がこちらに飛びかかってきた

「おっと危ない」


羽が生えたおかげか体がかなり軽い

俺は羽を羽ばたかせ宙に浮かぶ


おぉ!!飛べたぞ!!なんかすごい楽しいぞ

とりあえずさっさと狼を倒してしまおうか

俺は一気に滑空しながら狼に向かっていきすれ違いざまに変化した爪で思いっきり体を引っ掻く

振り返ると狼の体から血が出ている


おぉ!なんか初めてにしてはかなり上手くいったぞ!

空を飛ぶのも結構簡単だし楽しいぞ!


狼はキャンキャン鳴きながら森の奥へ逃げて行った

なんか俺のスキル解明の生贄にしたような気分になり申し訳ない気持ちになった


「あの狼の魔物になんか悪いし傷くらいは回復させてあげたいな」


「それより!あなたスキルを発動できたのよね!どういうスキルなの!?」


「あの狼については私が回復させておきますので気にしないでください」


「シルさんありがとう!

多分だけど『自由人』スキルは自分の体を自由に変化させる事ができるスキルだと思う

自分は何も武器を持っていなくてあの狼のような爪や牙があればなぁって思ったら爪と牙が変化した」


「なにそれ!!めっちゃ強そうじゃない!!

ドラゴンになりたいって思ったらドラゴンになれるの?!」


「どうだろうやってみるよ」


クロはドラゴンをイメージして自分がドラゴンになる姿を想像してみる

しかし何も起こらなかった


「うーんダメみたいだ

もしかしたら実際に見たことがあるものしか体の部位を変えれないのかもしれない」


「でもそれってかなり強力なスキルよね...

相手の1番の武器を全部見ただけでコピーできるようなものじゃない...」


「確かにそうだな

あれこれってチートなんじゃないか?」


うぉぉぉ!?異世界にやってきてチートスキルゲットするとかまじでどこのラノベだよ!?俺ラノベの主人公になっちゃったぞ!!?

いやでも相手のスキルまで奪えるわけでもないし相手の武器をこっちも扱えるだけの技術がないといくらコピーしても不利かもしれない

これがこのスキルの弱点なのかもしれない


「もう1つの『怠惰者(なまけもの)』はなにか感じた?」


「いや、特に何も感じないな

まぁ怠惰者って名前がついてるくらいだし何もしなければなにか分かるのかもな」


「なにそれ面白くないスキルね」


「まぁ戦闘以外となるとあんまり検討もつかないし放置でいいんじゃないか?」


「うーんまぁクロがそれでいいならそれでもいいけどね」


「色々ありがとな!」


「なによ急に!別にお礼を言われるほどのことはしてないわよ」


「いや、1週間以上俺に住む場所を提供してくれてるしスキル解明にも付き合ってもらったしな」


「まぁ私たちもう友達でしょ?

友達よね?」


「なんで自信なさそうなんだよ

当たり前だろ?めちゃくちゃいい友達を持ったよ俺は」


「やった!妖精魔王と友達だってみんなに自慢してもいいからね!!」


「最弱魔王と友達でも誰にも自慢できないだろ笑」


「なによ!最弱でも私と関わりのある人間なんて誰一人いないのよ!!光栄じゃない!」


「確かにそうかもしれないがそれじゃ妖精魔王と友達と言っても嘘を言ってるだけだと思われるんじゃないか?」


「そんなこと言うやつがいたら私が直接あなたのところに言って友達アピールをしてあげるわ」


「暇なのか?」


「ひ!暇なわけないじゃない!!大切な友達のためなんだから普通でしょ!!」


「はいはいそうだな」


ミリティは魔王らしいが結構...いやめちゃくちゃいいやつなんだなと思った

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