ありきたりなオタクと異世界
俺の名前は春日部 真
現代の日本に住む普通の高校2年生
いや普通の人から見たら少し違うかもしれない
まぁ要するに俺はオタクというやつだ
小学生高学年の頃友達に影響され西方projectにどハマりしたりしたし
ゲーセンで音ゲーをやり込んで通り過ぎる人が足を止めてプレイを見るくらいの腕前にまではなったり
家ではFPSゲームをやり込んで画面の中で銃を撃ちまくっている
最近は何を思ったのか麻雀にハマりだしてネット麻雀をしていたりする
更にはラノベも大好きで異世界系や現実恋愛系のはとても大好きだ
あとはまだ18になってはいないがエッチなゲームもちょっぴり持っている
まぁ要するに多趣味
どれも人並み以上には出来るくらいにはやりこんだつもりだ
これだけ色んなオタクな要素を詰め込んだ俺みたいなやつのことだ学校では陰キャなんだろ?と思うかもしれないが幸い俺はコミュニケーション能力はそれなりにあるし運動も勉強も平均以上
部活もちゃんと競技は変わったが中学からずっと運動部にも所属している
友達もそれなりにいて発言力も多少はある
でも普段は自分が喋りたい時にしか会話に参加せずそれ以外は自分のしたいことをしているような自由な人間である
周りの皆もあいつはまぁ自由人だからなみたいな感じで周知されている
とまぁそんな感じで自由な生活を送っていたある日の事
今日は休日土曜日いつものようにゲーセンで音ゲーをして新曲をプレイした後いわゆるボス曲と言われる難しい曲を連奏し満足のいくスコアが出せた俺は家に帰ろうとした
俺がよく行くゲーセンはゲーセンと言っても大型ショッピングモールの中にあるゲームセンターで他にも多くの利用客がいる
今日は外が雨なため親に車で乗せてきてもらったので待ち合わせ場所の屋上駐車場に向かうため屋上に続くエレベーターに乗った
適当にスマホでトリッターで今日の音ゲーの成果を呟きつつ屋上に向かうエレベーターの中の時間を過ごす
エレベーターが停止してスマホから目線を前に戻し扉が開くのを待つが扉がなかなか扉が開かない
あれ?扉が開かないぞ
とか思っていたら今度はエレベーターの照明が落ちて真っ暗になった
俺は焦りつつもスマホの懐中電灯機能を使い緊急用ボタンを探して押してみるが完全に外と遮断されてしまっているのか何も起こらない
とりあえずトリッターで「エレベーターの中に監禁されたなう」と呟こうとしてみるが電波が無くなっていて呟けない
さすがに焦って電話をかけようとしてみるが繋がらない
これもかなり焦ったがよくよく考えて見ればここは大型ショッピングモールのエレベーターだ
どんなに発見が遅れたとしても今日中にこのエレベーターの異常には気づいてもらえるだろう
モバイルバッテリーもあるがこの状況がいつまで続くか分からないため適当に座りぼーっとして時間が過ぎるのを待つ
どれほどぼーっとしていただろうか...
ゆっくりと体が浮遊感に飲まれる
エレベーターが下に降り始めたのだ
エレベーター内はまだ暗いままなことに違和感を感じながらもやっと助かるのかと思い安堵する
しかしエレベーターはいつまでたっても下に着く気配がない
ただただ降りていくのを感じさせるエレベーター特有の浮遊感がただでさえ真っ暗で密室の中に閉じ込められていると自覚している心に不安を煽る
スマホで見て確認しただけの時間で10分以上下に降り続けやっと静止する
扉が開くとそこはゲームとかに出てきそうな樹海のような場所だった
恐る恐るといった感じで外に出てみる
エレベーターはいつの間にか内装も変わっていてもはやエレベーターだった箱のようなものになっている
扉の先は物凄く不気味な場所でジメジメして暗い樹海
エレベーターだったものはもう動きそうもないのでとりあえず樹海を歩き回ってみる
しばらく歩くと目の前に黒い羽の生えた小人がやってきて声をかけてきた
「あなた誰?この世界の人間のようなものは感じないけど」
「え?妖精?本物??」
そう目の前にいたのは妖精
羽は黒いがゲームとかラノベで幾度となく見たTHE妖精といった見た目をした少女
俺は異世界系ラノベが大好きだったため妖精の登場に興奮してさっきまでの不安などが一気に吹き飛んでしまった
「え?えぇ私は妖精よ?まぁ妖精と言っても私は魔王なんだけどね?」
え?魔王??
なんかよく分からないけど転生?とは違うかな
異世界っぽいところに迷い込んだないきなり魔王に会っちゃった
なんということだ『異世界に迷い込んだら魔王に会っちゃった』ってタイトルでラノベが書けそうだ
さぁそのあとの展開はどうなるんだ?WAKWAK
「あなたなんで私が魔王だって言ったのにそんな嬉しそうな顔してんのよ!!
普通そこは怖がると思うんだけど!!」
「あ、そうなんだ?ヒエーマオウダーヤベェーコワーイ
こんな感じでいい?」
「あなた舐めてるの?」
「だってあんまり強そうには見えないし
ところで妖精魔王さん名前は?」
「あなたって結構怖いもの知らずなの?
まぁいあわ私はミリティ
世界12魔王の1人の妖精魔王ミリティ」
「12人も魔王がいるのか?それって凄いのか?12人もいたら魔王の凄さ薄れるくね?」
「は?!確かに...今までは魔王が12人いるんだから仕方ないと無意識に思っていたけどよくよく考えてみればそうね...多すぎると魔王の凄さが伝わりにくいかもしれないわね」
「じゃあ他の魔王ぶっ潰しにでも行くの?」
「そうね!!それじゃあレッツゴー!!って言いたいところだけど私は魔王の中でも最弱だから返り討ちにされるわ」
「なんだ最弱なのかまぁ見た目そんな強そうに見えないしな」
「なによ!!私のユニークスキルじゃほかの魔王を倒すのは難しいのだから仕方ないじゃない!!」
「ユニークスキル!?なんだそれ?この世界にはスキルがあるのか?」
「あなたスキルも知らないの?
ほかの人間のようなものも感じないしもしかしてあなた転生者かなにか?」
「転生とは少し違うかもしれない
なんか気づいたらここに迷い込んできたというかそんな感じ」
「あなたかなり適当ねそれ普通の人間ならかなり焦ってるところじゃないの?」
「まぁそうだろうけど初めて妖精を見れて大興奮したらなんかいろいろどうでもよくなった
元の世界?ここが異世界なのかどうかもまだわかんないけど元の世界に戻れる方法もまったく手がかりもないしこんな異世界定番の妖精が目の前にいたらとりあえず今楽しむかーみたいになったんだよね」
「あんたかなり自由人ね」
「よく言われるよ笑」
「それでなんだったかしらスキルも知らないのよねあなた
あなたのステータスを見たいのだけどいいかしら?」
「ステータスを見ることができるのか?」
「えぇステータスは頭の中でイメージしたら出てくるわよ
そこに私からのステータス開示要請を許可してくれないかしら」
「ふむ...頭の中でステータスをイメージ...
おぉ!!なんか頭の中にでてきた!!
これがステータスか...
お、俺もユニークスキルがあるじゃんしかも2つも!」
「え?ちょっと待ちなさい!!?あなたユニークスキル持ってるの?
普通のスキルと違ってユニークスキルは発現しづらいスキルのはずよ
人間なら1000人に1人がユニークスキルを持つかどうかと言われているくらいなのよ?それを2つも持ってるの?」
「えーあーうんなんか2つユニークスキルあるぞ『自由人』ってのと『怠惰者』ってスキルだな
というか『怠惰者』ってなんだよ!!確かに自分の興味のあること以外に関しては極力サボってきたけどこんなスキルになるほどだったのか?」
「1人で楽しそうね
とりあえず私にも開示してくれないかしら?」
「あ、そうだな忘れてたわ
あ、ほんとだ開示の許可を求められてるな
拒否しとこ」
「なんで拒否するのよ!!もう1回開示要請するから今度は許可しなさいよ!!絶対拒否しないでよ!!」
「それはあれか?押すなよ押すなよの下りか?」
「はぁ?なによそれ
それより早く開示しなさい!!」
「わかったよはい許可しますっと」
「へぇ〜これがあなたのステータスなのね」
「なんかステータスって言われたから力とか防御とか俊敏とかいろいろあんのかと思ってたけど意外と情報量少ないんだな」
ステータス
名無し
種族 人間
称号 迷い人
ユニークスキル
自由人
怠惰者
スキル
なし
加護
なし
わかりやすくまとめるとこんな感じだ
「あなた魔力探知のスキルを覚えてないのね
基本中の基本だから覚えておきなさい」
「魔力探知?面白そうじゃんどうやるの?」
「魔力を感じるのよ今は私の魔力を隠してるから感じづらいかもしれないけど少し解放するからそれを感じてみなさい
そうすれば魔力探知のスキルが使えるようになるわ
じゃあ魔力を解放するわよ」
次の瞬間ミリティから感じる魔力らしいものが膨れ上がった
俺はそれを感じることに意識を集中する
『スキル 魔力探知を獲得しました』
どこからともなく声が聞こえた
「今の声は?」
「え、はや?もう獲得したの?!
あなた適応力高すぎない?
まぁいいわ...今聞こえた声は神託と呼ばれているわ
人間の間ではスキルは神から授けられるものとして語られてるわ
あなたが聞いた神託のようにどこからともなく声が聞こえてくることからこれは神の力を分け与えられたものなのだと思っているようね」
「ふーんで、魔力探知できるとどうなんだ?」
「相手の魔力を測ることができるわ
自分より弱いか強いかくらいは一目で見分けがつくわよまぁ私みたいに魔力を隠してる相手には難しいかもしれないけどね」
「なるほどちなみに俺の魔力ってどれくらいあるんだ?」
「あなたの魔力は...人間にしてはかなり多いほうね
おそらくユニークスキルを2つも持ってるからかしら」
「ユニークスキルを2つ持っているのは珍しいのか?」
「魔王でもユニークスキルは3つ持ってるくらいよ
まぁ皆開示していないユニークスキルとかもあるかもしれないからほんとはもっと多いかもしれないけど」
「ミリティはいくつ持ってるんだ?」
「わ、私はふ...み、3つよ!?」
「2つだな」
「なんでよ!!!」
「お前自分で魔王最弱とか言ってたしそういうことなのかなって」
それでも魔王なんだからかなり強力なスキルなのだろう
「ちなみにどんなスキルなんだ?」
「私のユニークスキルは『妖精誕生』と『妖精鄉』というスキルよ
こう見えて私妖精女王なのよ!!
全ての妖精の母でこの妖精鄉の全ての権限を持つの」
「え、ここってその妖精鄉ってとこなのか?」
「そうよ!!凄いでしょ!!ここは私のスキルで作られた森なのよ!!」
「いや、悪趣味だなぁと思っただけだ」
「なんでよ!!」
「だってこんな暗くてジメジメしたところが妖精鄉とか嫌じゃねぇか?妖精が住んでるところって言ったらもっと明るい森を想像してたわ」
「悪趣味ってなによ!!暗いとほら闇って感じでかっこいいじゃない?!
ジメジメしてるのは暗くしようとしたら太陽の光が当たらなくなって地面がなかなか乾燥しなくて...仕方なくよ!!」
自称魔王の妖精女王とやらは中二病らしい覚えておこう
「それはそうとしてこれから俺はどうすればいいと思う?」
「そんなこと私に聞かれてもね
行く宛がないなら私のとこでしばらく暮らす?」
「いいのか?それって」
「私は女王だし魔王だし!!皆私のわがまま聞いてくれるから大丈夫よ!!」
「お前の周りがいつも振り回されてるのがかわいそうだな」
「なによ!!住む場所提供してあげるんだから感謝しなさいよ!」
「はいはいありがとうありがとう」
「最初から素直にそうやってお礼を言ってればよかったのよ!
じゃあこっちの方だからついてきて」
俺はミリティのあとを追い暗い樹海の中を歩いていく