4話 勝負と奇策 (上編)
「それじゃ、私のターンからね。相変わらずじゃんけん弱いなともちゃん」
「う、うるせ!」
先攻は美桜、後攻は俺で決まったこの試合が今始まった。
「スタート!……おっと、先攻はドローフェイズは行えないからここはスキップで――セレクト、手札から《守護の翅》を資源へ置いてっと」
美桜はそういうと手札を眺める。昨日十戦も行えばだいたい分かっているのだが、美桜のデッキは展開が早く、初期手札四枚が良ければこのターンからでも美桜は動く――
「このままエンドだね」
――ことはなかった。美桜がエンドフェイズを行った事で俺のターンに回る。
「スタート、ドロー、セレクト、手札から《恵みの果実》を資源へ――この手札じゃまだ何も出来ないか、エンド」
「それじゃ私のターンだね、スタート&ドロー」
お互い資源が三枚貯まるまで動かず、先にユニットを出したのは意外にも俺の方だった。
「資源を三つ使い、《華獣エル・ホーン》を左中央前衛に召喚。出た時効果で山札の上から一枚資源へ置き、エンド」
これで一歩先に美桜より動けるな、と作戦を立てていく。美桜はメインフェイズで資源を四つ使い、《彩花の天使フレエル》を出し、出た時効果で美桜の領地が山札の上から一つ追加されてた。復習程度に思い出すと領地は他のカードゲームではライフやシールドといった役割を持ち、ウィロードでは特に記述がない効果以外で領地がなくなる事を『攻略された』と言い、先に全部攻略されてしまった方が負けという勝敗の付け方がある。そのため、俺はおかげで攻略しなくてはいけない領地が一つ増えてしまった。
「フレエルは今出たばっかりだから、召喚酔い――けど、次のターンから警戒しないとな」
「そうだね、フレエルの効果で私の手札を公開してそれが全て聖堂エリアのカードなら攻撃の中止。仮に攻撃できても後衛を破壊しても攻略出来ないし、そもそもパワー1500のエル・ホーンだとパワーが倍あるフレエルに勝てないからね、私はこれでエンドだよ」
このカードゲームは他のカードゲームとは違って、領地への直接攻撃が禁止されている。そのため、ユニットにしか攻撃できない。そして、防御されなかったユニットはそのバトルに勝つと相手の領地を一枚攻略できる(当然、効果によって追加で攻略できるユニットも存在する)。
美桜のユニットには今、召喚酔いがあるため猶予はある。しかし、俺が防御できるユニットでも立てなければあっという間に領地を攻略してしまう。美桜のデッキはそういうデッキだ……俺に安堵をつかせる隙は与えようとはしない。
「資源を三つ使い、《魂霊転生》!効果でエル・ホーンを破壊して山札から二枚引き、続いて二つ使い、《魂還る地》を使用して破壊したエル・ホーンを資源へ置く」
「その手で攻略回避するとは思わなかったな、それに何気に資源を増やしてるし」
「さらに一つ使って、《獣の導き》で山札の上から二枚見て、ユニット一枚を相手に見せてから手札に加え、残りは山札の下に置く。この効果で《葉獣アル・パード》を手札に加えて、エンド」
「ともちゃんの昨日までの連敗が嘘みたい、でも私も私で手を抜くつもりは無いからね」
スタート、ドロー、セレクト、メイン――美桜は流れるようにユニットを立て続けに召喚してくる。資源を四つ使い、《砲撃兵機ボグナー》を後衛に出した。
ボグナーが後衛に戦場に出たことにより効果が発揮され、美桜の手札から《小兵機アルボ》を後衛に並べるように出した。
「アルボの効果で――そう言えばともちゃんの場に何もいなかったんだった」
ここまでの盤面で俺はほんの少し有利の立場となった。
カード案を絶賛募集しております
理由としては私一人のカード案ではカードバランスに偏りが出てしまうため、是非とも読者さんのアイディアを参考に物語を書き綴って行きたいと思うのでぜひ宜しければお願いします
(カードの効果記述は既在のカードに沿ってもらって構いません)