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1話 基礎とルール

「そう言えばともちゃん、カード持ってなかったね、ともちゃんと出来ることばっかりに気を取られてたね」


「カードゲームしようって誘った本人が忘れていてどうするのさ……」


「だからごめんってば……そうだ、私が持ってる使ってないカード全部あげる!それでデッキを作って対戦しよ」


「初心者を自ら切り離していくつもりかよ!!」


 俺がツッコミを入れる。美桜はこの通り入学式が終わってからずっとこの高揚っぷりである。

 しかし、美桜がこんなにも生き生きとした姿を見るのは十何年と一緒にいるのに何気に初めてだ。普段は大人しいから意外だ、そう思うと同時に何故だか微笑ましい気持ちにもなった。


「ともちゃんなら離れていかないよ、私と同じ負けず嫌いだもん」


「それは、そうだけど……それよりもデッキってなんだよ」


「そうだよね、ともちゃんトランプ以外のカードってあまり触れないもんね。うーん、なんて言えばいいんだろう……トランプで遊ぶには五十四枚が必要になるでしょ?」


「そうだな、五十四枚なければババ抜きも神経衰弱も出来ないな」


「遊ぶのに必要な枚数って言えばいいのかな、だからトランプでいうと五十四枚で一つのデッキって事」


 なるほどな、と頷いたところで疑問が生まれた。


「じゃあウィロード……だっけ?これは何枚で一つのデッキになるんだ?トランプと同じって訳じゃないだろ?」


 と質問すると四十枚で一つのデッキと応答が淡々と返ってきた。ウィロードはそれで遊べるが他のカードゲームだと三十枚や最低四十枚あれば遊べるってものもあるらしい。カードゲームによって様々ってことか……。


「でも、同じカードは特例がない限り、三枚までしか入れちゃいけないってルールがあるから気をつけてね。これもカードゲームによって違うけど」


 美桜の言葉の通りにデッキを組み立てていった。


「とりあえず、デッキは作った……次は遊び方とかルールとかを教えてくれ」


「わかった、それじゃターンの流れからだね」


「ターンの流れ?」


 聞くところによるとカードゲームというのは自分が主体となって動ける時間をターンと呼ぶらしい。

 ターンにも流れつまりやるべき順序が存在して、まずゲーム開始時は領地と呼ばれる区域に五枚を置き、手札に四枚を加えてゲームが開始される。

 自分のターンの始まりを宣言するスタートフェイズ。

 自分のデッキ――ゲーム中では山札からカードを一枚引くドローフェイズ。

 手札から資源を一つ貯める、もう一枚カードを引く、手札を一枚山札に返すことで山札の上から一枚を領地に置く、といった三つの行動から一つ選び実行するセレクトフェイズ。

 ここまで説明を受けたものは必ず行わなくてはいけない段取りだという。もう、ここの時点で俺の頭はパンクしそうだった。


「資源を使ってカードを使用するメインフェイズ。そして、ユニットカードで攻撃するアタックフェイズで――メインとアタックは何も行動を起こさなくても大丈夫だよ。それと効果で後衛でも攻撃出来るユニット以外は基本後衛にいるユニットは攻撃出来ないから注意してね」


 あとは相手が反撃できる時にあるカウンターフェイズを行って、ターンの終了を宣言するエンドフェイズするというものだった。

 その他だとユニットカードとスペルカードの扱いもどうやら違うらしい。

 ユニットカードとはスポーツでいう選手を表し、スペルカードはタイムや交代といった当然ルールに沿ってだが、その場ですぐ行えるものと教えてくれたおかげでこれだけはすんなり覚えれた。


「ユニットは駒カードで前衛に五体、後衛に五体置けて、前衛が基本的に攻撃が出来て、後衛は出来ない。そして、スペルは使い切りカードで使ったら即座に墓地に置くのな」


「そうだよ、それらを指揮して勝ちに導いてあげるのがともちゃんの役割。言わば、ともちゃんはそのデッキ――そのチームの監督って事だね」


「ところでこれは勝敗って何で決めるんだ?何となく分かってきたけど」


 なんだと思う?と案外そのまま質問で返されてしまった、自分で考えろってことか!?


「相手の領地って奴を先に減らした方の勝ち――……であってるか?」


「正解!他のカードゲームとは違って領地に直接攻撃出来ない。領地を減らすには特例がない限り前衛ユニット同士のバトルで非ターンプレイヤーのユニットを破壊した時のみ攻略――相手の領地一枚を減らすことが出来るの」


 ただ、ゲーム開始時のままでいけばあまりにも早く終わってしまうので領地を増やす方法が存在し『手札上限七枚に達した状態で山札からカードを引く(そうすると自然的に領地に置くことになっているとの事)』、『セレクトフェイズで領地を増やす』、『カードの効果で領地を増やす』の三通りを上手く使う必要があるとまで教えてくれた。


「それじゃ、早速やってみようよ」


 そうして俺の初陣が始まった。

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