第7話 どぼじで、どぼじで。
秘密結社ーー、OSMTのフルネームは。Optimus、Secret、Minority、Times。
天才科学者、DAYONを筆頭主として、数少ないメンバーで構成されている。
ネオトキオという、この異世界では、彼らによる貢献によって支えられたといっても過言ではなかった。
とくに、花粉症のクスリなどは代表的な功績だった。
やがて、未知のウイルスにたいしても飲み薬を開発した。
そして――、DAYONは飽くなき探求心から生物の巨大化に辿り着いてしまった。
「みんな、大きくなれば良いンだよ~ん」
たくさん、作りすぎた。
たくさん、ばら蒔いていた。
そのせいで、嬉しいこともあった。
そのせいで、悲しいこともあった。
そのせいで、炎上することもあった。
ただ――‥‥
「いや~ん、まいっちんぐ!」
規模が違っていた。
クスリの効き目は、美少女を超巨大化させていた。
ネオトキオの象徴を軽く潰せるぐらいに。
スカイツリーがまるで、爪楊枝みたいになっている。
「やり過ぎたンだよ~ん」
それは後世にまで語り継がれる。
OSMTの黒歴史だった。
ただ、あとになれば、どうでも良かった。
「「こんなにデカいンだったら」」
目の前にいる怪獣なんて、楽勝だろうと。
先輩刑事ふたりがトオルに目配せしている。
さっさとやっちまえ、命令しろと。
「……それで良いのかよ……」
「いったい、なんだったんだ、7days」
いつも以上に、トオルは頭を抱えていた。
「あ、そういえば‥‥」
トオルは過去を思い出していく。
それは、ベニーという。
ここ異世界ではじめて出会った最愛の彼女との思い出だった。
現実逃避かもしれなかっただろう。
魚人の美少女、真凜ちゃんと出逢うまえに。
ドラゴンの美女、ベニーに恋してしまった。
やがて、彼女が、あの世に逝くとは知らずに。
優柔不断だったのが、いけなかった。
自分は、やっぱり‥‥イケメンを利用している。
ただ、モテているのを重宝していた。
「お前は、いつも、そうだよな~」
先輩が、口酸っぱく言っていた。
見た目と、振る舞いから。
「お前は、いつも、そうだよな~」
耳にタコができるほど、何度も聞かされていた。
その台詞に慣れるまで、そんなに時間はかからなかった。
トオルは自覚している。
恋愛体質だということは。
何処にいっても。それが異世界であっても。
ただ、今はそんなにのんびりしている場合ではない。
のっぴきならない状況である。
世界を滅ぼすほどの放射能を吐き出すような怪獣のうえで。
二人目の彼女の、動向がまるで分からなかったのだ。
「真凜ちゃん、ちょっと待って!!」
「え? 何か言いました??」
超巨大化した彼女。
真凜は、軽く踏み潰してしまった。
国会議事堂ごと、すべてを、まるごとプチっと。
「たいしたモンだな~」
そりゃあ、ワタシの彼女ですからと。
トオルは、自信満々には、言えなかった。
ただ、どぼじで、どぼじでと。
涙がぷらんぷらんと、ぶつかりあっていた。




