ファイル6 いざ出発と思ったら
色々と忙しくてかなり間が空いてしまいました。ようやく第6話投稿です。
翌日である今日、俺達、第2文学部の面々は可憐を連れ戻すために、可憐が招かれた生命進化推進興業所に向かうため、まずは空港に行くために近くの駅で待ち合わせる事となったのだが、
「ねぇねぇ、光君似合う~?」
と真心が普段は着ない様な結構お洒落な長いスカートと半そでのブラウスを着て白い大き目の帽子を被って、俺にどうかと聞いてきたのだが、俺は非常に言いたかった。お前似合うのは認めるが、絶対旅行と勘違いしているだろうとツッコミたかった。
いきなりの真心の斜め上の心持に、些かテンションが下がった状態で、真心に適当に相槌を打って駅へと向かった。
「時間20分前に来るなんてなかなかいい心掛けね。天道」
早めに出たつもりなのに駅前に来るとすでに部長と愛ちゃんが待っていた。これにはちょっと驚いたが、2人の服装の方が俺としては驚いた。部長は生地が薄めの黒の少しフリフリがついたドレスのようなモノを着ているし、愛ちゃんはサクラ色の薄地の着物に裾がちょっと短い袴を着ているしで、どう見ても普段のイメージからかみ合わない服装である。そんな俺の考えなど部長が気にするはずも無く、真心の方を見て聞き捨てならない事を言った。
「あら真心、お前もちゃんと昨日3人で買いに行ったその服で来たのね。」
何ですと?昨日買いに行った?どういうことだ?そう思った俺は真心に問いただすと、昨日俺が部室を出てから3人で今日来て行く服を見に行こうと部長から提案されたらしい。ちなみにその服の代金も部費から出したらしい。いくらなんでも無茶苦茶じゃないですか部長。いやそれ以前に部長の中では旅行と認識されていますね。そうですか。
俺は正直、可憐を連れ戻すためにわざわざ遠方の生命進化推進興業所に行こうというのに、旅行気分で付いて来る部長達に、それなりに不快な気持ちになった。
「安心しなさいな天道、お前の分もちゃんと買ってあるわよ。」
思っていた事が顔にでも出ていたのかあまりいい表情をしていなかったのだろう。それを部長は妙な方向で解釈した様だった。
全然違うと突っ込みたかったが言っても意味が無いと思ったのか、部長が肩に下げていたバックから光に見繕ったと思われる服を出してきた時、「ど、どうも」と言って素直に受け取った。
「じゃ、着替えてきて」
「はっ?」
受け取ってすぐの部長の突然の言葉に俺は思わず聞き返した。しかし部長は気にする風もなく言葉を続けた。
「せっかくお前のために購入しても、肝心のお前が着ないんじゃ意味ないじゃない。幸い時間に余裕はあるし、自宅に帰って着替えてきなさいな。」
「え?いやしかし」
「しかしもかかしもないわ。着替えてきなさい天道。それとも私達が選んで金まで払ったのに着たくないなんていうのかしら?」
有無を言わせない部長の雰囲気に俺は「い、いえ」と頷くしかなかった。こうして俺は思わぬトラブルに家に変える羽目になった。行く前からこれではろくな事になりそうにないなと思ったが、行った先はまさにその通りだった。いやそんな生易しいものではなかった。
結局急いで家に帰ってきた俺は汗だくになったので、着替える前に水を被ってから着替えたのだが、白いYシャツに、生地の薄いズボンだった。着替えてみると結構落ち着いて普段よりも大人っぽくみえる。
そう思ったらこれはこれで悪くないと思ったのは部長達には内緒である。そして俺はまたみんなが待っている駅前に戻った。部長達は近くの喫茶店で優雅にお茶を飲んでいた。そこに俺の姿を見ると、
「わぁ、光君も結構似合ってるね。」
「先輩もうまく会ったみたいですね。」
「まぁ、イメージ通りね。悪くないわ」
と言ってくれた。正直結構嬉しかったのは内緒である。まぁ何はともあれ今度こそ俺達は生命進化推進興業所に向かうため、まずは空港に行くために改札口を通って電車に乗ったのだった。それから約50分、乗換えなどもして俺達は空港に辿り着いた。そのまま問題なく飛行機にも乗れ、いよいよ離陸したのだった。
待ってろよ可憐。必ず連れ戻すからな。そんな決意で俺はいたが、それでも若干旅行気分もあったかもしれない。行った先でもひょっとしたら生命進化推進興業所の相手ともめるかもしれないというのもあることはあったが、物凄いトンでもない事になるとは思っていなかった。
・・・でも生命進化推進興業所で待っていたのは想像もしていないとんでもない事態だった。そして可憐を連れ戻すと言う事はとてつもなく過酷で困難な状況で行うことになると予想もしていなかった。
空の景色はそんな事を思わせる事など微塵も感じさせない青く綺麗な景色だった。
話を進めようと思ったら、ちょっと頭によぎった事を書いたら、1話終わってしまった。
これではホラーじゃないじゃん。駄目じゃん我。
でもようやく次で物語が本格的になるかな。