ファイル5 可憐を追って俺達も。
今回はちょっと話の流れが強引な気もしますが、まぁこんなもんだと思いながら読んでくれれば嬉しいです。
俺はしばらくこれからどうするべきかを考えていたら、「先輩」と愛ちゃんが声を掛けてきた。
「まずはその生命進化推進興業所に、電話を掛けてみたらどうですか?それで可憐ちゃんを帰して貰える様交渉とかしてみたら。」
愛ちゃんのアイディアは俺としてもいい提案だったと思うので、さっそく電話を掛けてみようと持ったが電話番号が分らない。さてどうしようかと思い、何気なく部室の中を見回したら設置されているうちの部には不相応な最新版と思われるパソコンが目に入り、それで閃いた。
生命進化推進興業所をネットで検索したら電話番号や他にも情報が入るのではと思い、さっそく起動させてネットで検索してみると、生命進化推進興業所のHPが出てきた。
それをクリックして開いてみると生命進化推進興業所の外観と思われる画像と共にいくつかの目次も出てきた。それらを開いてみたが、生命進化推進興業所の歴史とかしている研究の当たり障りの説明とかであまり面白いと思われないHPだった。しかし部長の言っていたように生物の進化を研究し、それで人類の更なる進化の手助けとなるように推進しているというのは確認はできた。
そして肝心の電話番号も記載されていたので、さっそくかけてみたのだが、
「何故出ない。」
すでに電話を掛けて10回はコールを鳴らしているのに出る気配が無い。それから20、30と待っても出なかったので止む無く、俺は電話を切った。
「電話出なかったの?」
真心が訊ねてきたので、俺はがっくりした感じで頷くと
「それって可笑しいわね。普通なら出るはずなのに・・・。何かあったのかしら?」
部長が考えるような仕草で言ったが、正直俺はどうでもよかった。それと同時に何だかこんなにも厄介な事をしてくれたこの生命進化推進興業所に対して少しづつ怒りが湧き始め、可憐の心配も重なって1つの決心になった。その様子を察してか真心が声を掛けた。
「光君?どうかしたの?」
「・・・こうなったら決めた。」
「はい?」
「可憐を連れ戻しにこの生命進化推進興業所に行って来る!」
俺の発言に真心も部長も愛ちゃんも驚いた表情になったが、部長はすぐにいささか呆れた表情になった。
「正気かしら天道?隣町に行くのではないのよ。」
「理解ってますよ部長!でもこのまま手を拱いていても仕方ないじゃないですか。なら場所が分っているのだから直接連れ戻しに行くのも方法の1つじゃないですか!」
「・・・まぁ方法の1つであるのは確かだけれども。お前行くだけの資金持っているの?」
「ちゃんと持っていますよ。それに可憐を連れ戻す時に、生命進化推進興業所に迷惑料として交通費請求してやる!」
俺の言葉に部長は更に呆れた様だった。真心は「往復のお金なんて私、持ってない」なんて呟いていた。というか真心、お前付いて来る気だったのか。愛ちゃんは何とも言えない表情をしていた。
「部長~、光君を行かせていいんですかぁ~?」
「部長、先輩の意志を尊重するのですか?」
「・・・いいも何も私がどうこう言う権利なんかないわ。でもかなり不安のも確かなのも事実だけれども・・・。」
部長は些か不安気な様子で言ったが、真心と愛ちゃんよ、お前らまで俺をそんな風に見ていたのか。ちょっと心外な気持ちだった。そこにしばし何か考えていた様子の部長が「そうね」と言った。その次の言葉は俺を驚かせるものだった。
「こうなったら私達も一緒に可憐を連れ戻しに行きましょうか。天道1人を行かせるのは些か不安なのは確かだし。行ったところで向こうがごねた場合、交渉なんてできなさそうだしね。」
「はぁ?!、しかし部長は出せようだとしても真心や愛ちゃんの分はどうするつもりなんですか?!」
「ふふ、まぁそれは問題は無いわ。うちの部に支払われている部費を結構貯め込んでいるから。それを使うわ。喜びなさい天道。お前の分も出してあげる。まぁ学校側が何か行ってきたら部の課外活動で使ったて言えばいいしね。まぁだからこそ真心や愛も連れて行くのだけれども。」
その言葉に真心は嬉しそうな表情をしており、愛ちゃんは無表情ながらを傾げながらも手をぱちぱちと拍手ていた。その様子から部長の案に反対ではなさそうだった。いやそれ以前にうちの部にも部費って払われていたのか。全然知らなかった。相変わらず謎の多い部長である。
その後は膳は急げと言わんばかりに、明日の昼の八丈島行きの航空便の席が空いていたので、それを予約し俺達の航空代金も支払った。これで明日は生命進化推進興業所に行くのは確定となった。
まぁ別にいいんだけれどもさ。行くつもりだったから・・・。でも何か釈然としないものがあるのは何故だろう。
俺は明日行くための準備を、と言ってもさほど持っていく物などないが用意するために部室を出て家路の帰路を歩きながらそんな事を思った。
こうして俺達は可憐を連れ戻すために、生命進化推進興業所に行く事になったのだが、この時俺達は知らなかった。すでに生命進化推進興業所はただの研究所でなく、圧倒的な戦慄と恐怖が支配する空間に成っている事を・・・。
そして俺達がそれを知る事になるのはもう目前まで迫っていた。
これでプロローグは終了と言う感じかな。次から物語の本当のスタートと言った感じになります。