ファイル3 第2文学部
今回も内容的には全然進んでいません。ちょっと説明っぽくなったかな。
遅刻して先生からお小言をもらった後、教室で担任から毎年定番の言葉を聞いて解散となった。うちのクラスの担任はだらだらというタイプではないからそこ40分ぐらいで終わった。何しに学校来たんだろうと思わないでもなかったが、それはどうでも良いと斬り捨てて、本命である真心の持っている手紙のコピーを貰おうと、真心の席に行くと、「あれ?光君何か用?」なんてふざけた事を言ってきた。
真心は俺の心内を察したのか「嘘だよー」と言って手紙を渡した。ちょっと言いたい事はあったけれども、手紙は手に入れたので良しとしよう。
しかし教室では他のクラスメートなどもいて読みづらい。俺は部室に行く事にした。
部室は俺達、3年の教室がある4階の奥の方にある部屋が使われているのだが、俺達の部は他の部と比べても使われている部屋がよい。かといって別に俺達が、部でそれなりの評価を受けるような事等をしたわけでもない。
その理由はと何気に考えている間に部室の扉の前に来たので、扉を開けて何故か付いてきた真心と一緒に部屋に入ると、
「あら、お前達も来たのね。しかしお前達がこの”第2文学部”をそんなに大事にしているなんて思わなかったわ。」
と皮肉気にうちの部長様が尊大に声を掛けてきた。そもそも”第2文学部”と名付けられている様に、この部とは別にちゃんとした文学部が、別に存在しておりそこはちゃんと活動しているのだが、この部はほとんど文学活動なんかしていない。しているとしたらたまにオンライン小説や文化祭の出し物の時に小説を書くなどである。そんなわけでメンバーも俺、真心、可憐に2年の時に知り合った下級生の娘そして部長の5人というわけである。
しかしこの部長こそがこの”第2文学部”を現在でも存続させ、なおかつほとんど何の功績も出していないこの部に、分不相応な部室を使うことが出来る理由だった。そして学園の噂通りよく分らん人だ。
そもそもこの部長、桜乃靜は去年までこの学校の生徒会長もしており学校内ではそっち方面で有名だった。寧ろ第2文学部の部長も兼任しているなど校内でもほとんど知らないだろう。
もっともこの部長、桜乃靜は外見もモデルみたいに綺麗だしスタイルも良い、身長も女性ではそれなりに高い上、長い黒髪とクールそうな印象の長身美麗の持ち主で、実家もこの当たりの地主でそれなりの規模の財閥の3女というお嬢様というわけなので、慕う人が出そうなものだが生憎とこの部長には当てはまらない。
何せ生徒会長時代着いたあだ名が”学園の影の支配者”で結構好き勝手していたらしい。それに時々、よく分らん行動を取る事も多く”学園の物体X”とも呼ばれていた。
しかしそんな部長も今年の3月に学校を卒業して地元の大学に合格して通っている筈のに、何故だか学校の制服を着て部室にいる事がそれなりにある。しかも何故か部長は今だこの人で登録されているし・・・。
「・・・部長も来ていたんですね。」
「あら、私はこの第2文学部の部長で、この学園の影の支配者なのよ。いるのは当然でしょう。」
とよく分らん理屈を返してきた。真心がその返答に「そーなのですかー部長」と返していたが、それを横で見ながら手紙を見ようかと思ったらもう1人、最後の部員である下級生で2年生の浅野愛が部室に入ってきた。
小柄な体格で長い髪をツインテールにしているという見慣れた姿が部室に入り、俺達の姿を見、次に部長の姿を確認し、それから誰かを探す様に周りを見渡すと少し首を傾げ、
「先輩、部長お久しぶりです。」
と片手を小さく上げて無表情で声を掛けてきた。相変わらず感情を表に出さない奴だ。こんな奴だから結構可愛いのに友人がほとんどいないらしい。数少ない友人の1人が同級生で、部が一緒の可憐というわけである。それ以前ってこの娘、友達なんていたのか?そもそもこの娘がこの部に入ったのって俺が2年の時、生徒会に部長のせいで在籍する羽目になっていた時に知り合ったんだよな。それでその後、第2文学部の部員として文化祭向けの作品を当時は結構真面目に考えて書いた作品をこの愛ちゃんが読んで気に入ってくれて部に入ったという経歴がある。
「ええ、浅野も来たという訳ね。これで可憐がいたら全員集合ね。天道と真心にも言ったけれどもお前達がこの”第2文学部”を結構大事にしているとは思わなかったわ。」
そう言って部長は肩を竦めた。まぁ噂ではこの部も部長が好き勝手できる部屋を持ちたいという事で、その名目としてこの部を立ち上げたという話だからなぁ~。実際部活動なんていい加減だし。
「先輩、可憐はまだ帰ってきていないのですか?」
「そうね、それは私も気になるわね。」
愛ちゃんの言葉に部長も同意するとはちょっと以外に思った俺だったがそれは言葉に出さないで置く。
「ええ、まだ帰って来てないです。だから心配になってきたので可憐が行ったと思われる内容が書かれたこの手紙を今から読んでみようと思っていたんですが。」
「・・・それってお前は今まで可憐が何の用件で何処に行ったか分らないって言っている様に聞こえるのだけれども。」
「・・・ええまぁ、そうです。」
俺のその言葉に部長は呆れた様な表情になった後、馬鹿を見るような目で俺を見た。まぁ反論できないのは確かだけど、いい気分ではなかった。
「はぁ、まぁいいわ。じゃさっさと読みなさいな。別に私としては部長としていっておく事なんかないし。ああでも、2学期になったら文化祭があるので、また誰でもいいから適当に出し物を作って出しておいてね。」
それって部長、今回も俺達に放り投げる気満々ですな。
部長は言うともはや興味なしと言わんばかりに、他の部室には絶対置いていない携帯ゲーム機を手にとって、同じく部室に不釣合いの高級そうなソファーに深く座り込み、ゲームをし始めた。
部長の態度は今更なので何も言わずに俺は手紙を広げ始めた。
後になって思えばこの手紙を部室で読まず、別の場所で読んでいれば部長や愛ちゃんをあの戦慄と恐怖が支配する場所に巻き込む事は無かったかもしれない。・・・いやどうだろうか、どちらにしる部長達にも相談する羽目になってしまうので結局巻き込んでしまったのかもしれない。
そう考えたら運命の神の悪い悪戯に俺達はすでに引っ掛っていたのかもしれない。
今回の話から登場する2人もメインヒロインの1人です。光と真心に静と愛がこれから圧倒的な戦慄と恐怖の渦巻く場所に向かって行くと言う訳です。