ファイル2 今はまだ朝の日常。
というわけで第2話です。内容的にはまだプロローグの続きの1幕といった感じの内容です。ほとんど進んでいないな。
可憐が謎の用事で出て行ってすでに6日が過ぎた。明日で1週間になる。その間何の音沙汰もなし。一体どうなっていやがる。
というか何で6日も掛かっているんだ。3~4日で帰ってくるのではなかったのか。可憐の携帯に電話をしても電源を切っているらしく繋がらない、当然メールも駄目。そもそも可憐が何処に行ったのかも分らないではどうしようもない。
くそっ、何処に行くかぐらい訊いておけばよかった。こう何の音沙汰もなしではどうしても心配になってくる。
俺はそんな不安を抱えながら、朝からあれこれ考えていると家のチャイムがピンポーンとなった。そういえば今日は登校日だった。ああ、可憐、お前とうとう登校日に間に合わなかったな。まぁだからどうしたというわけでもないんだけれども・・・。
正直、クソ暑い日にうざったい制服に着替えて登校するのはうんざりするのは毎年の事だけれども、行かなければならないし、家のチャイムもすでに6,7回押されているので仕方なく制服に着替えて家の玄関のドアを開けると、よく見知った顔がそこにあった。
新谷真心、俺と可憐の幼馴染みの少女で、俺とは10数年の付き合いになる。ショートカットとたれ目が印象の、のほほんとした雰囲気がこいつの性格を現している。しかし外見はいい。少なくとも2,3人から告白された事はあるらしい。俺がそんな事を考えていると、ちょっと困惑した表情の真心が口を開いた。
「あ~、光君やっと出てきた。8回もチャイム押したのに出てくる気配内からどうしちゃったのかと思っちゃったよ。」
相変わらず雰囲気だけでなく、声もボーっとしか感じの声である。というか真心よ。お前そんなにチャイム鳴らすなよ。
そんな事を思っていると俺しか出て来ない事に、真心は困惑した表情から不安げな表情になって尋ねてきた。
「・・・ねぇ、光君、可憐ちゃん、まだ帰ってきていないの?」
「・・・ああ、まだ帰ってきていない。」
「・・・心配じゃないの?連絡とかしていないの?」
心配じゃないのだと、こいつは何行ってやがる。俺は真心に、可憐に何度も携帯に電話したが繋がらない事を吐き捨てる様に言うと、「じゃ、可憐ちゃんが行った場所に連絡してみたら?」と言ってきたがどこに行ったのか分らないので連絡しようが無いと伝えた。そうすると真心は驚いた表情になった。
「えっ?!光君、可憐ちゃんが何処に行ったのか知らないの?!私、可憐ちゃんから相談受けていたから光君もてっきり知っていると思っていたよ。」
ああっ!?それはどういう事か思いながら真心を問い詰めると、可憐は3週間前に来た手紙の事で、その指定した場所に行くかどうか、真心には相談したらしい。その事実に真心には相談して俺には相談してこなかったという事に少し凹んだ。真心は心配掛けさせたくなかったんだよぉ~というが兄として頼りないのかとまで思ってしまった。
とにかく俺の心情は別としてその時、真心は可憐に送られてきた手紙の内容を見せてもらい、何か合った時のためにコピーもしたそうで、それを持っているそうだ。それにしても、
「お前、よくその時、手紙をコピーしようなんて機転が利いたな。」
「ううん、可憐ちゃんに言われて」
・・・そうだよなぁ~、真心がそんな機転が利く頭なんか持っていないよな~。それなのに学校の成績は上位の部類に入るなんてどういう事だ。まぁ俺も可憐も何だかんだいって中の上ではあるけどさ。
まぁそんな事よりも場所を知っているのならば教えてくれというと、何でも伊豆諸島の孤島に建っている研究所に、可憐は行ったそうである。そこの名前を尋ねるが、うろ覚えなのか名前が出てこない。埒が明かないので、その手紙を見せてくれと頼むと真心は「いいよ~」と言って自宅にとりに行ってくれた。
しかし手紙らしきモノを持って家から出てきた時、真心は何故か大慌ての表情になっていた。何事かと思ったら、
「光君、大変!学校遅刻しちゃうよ!早く行かなきゃ!」
と言って手紙を持ったまま学校に向かって走り出した。おい真心、学校も分るけれどもせめて手紙を俺に渡してから行けよ。結局俺も真心を追う形で走る羽目になった。まぁ、手紙は学校に着いてからでもいいだろう。
しかし後々で考えると、間違いなくこの手紙は俺いや俺たちにとってとんでもない戦慄と恐怖の世界への招待状だったのだ。この時の俺はその事に気付くはずもなかった。
ちなみに学校は懸命に走ったにも関らず、若干遅刻となり真心共々、先生からお小言をもらってしまった。それと走って分ったがお互い暑さのせいか、少しだらけた生活をしたためか体力が落ちているみたいで今日明日にでも真心が、スタミナがつく料理を作ってくれると申し出た。
ちょっと嬉しく思ったのは内緒だ。
日常の何気ない会話がほとんどの話でした。ちなみに誰が見ても分ると思いますが、新谷真心は、可憐同様メインヒロインの1人です。
美少女ゲームで言うところの個別ルートがあるヒロインですね。