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ファイル18 そして1階へ

4年ぶりに、興が乗ったので、書いて投稿しました。

また、不定期ですが、書いていこうと思います。

 「天道、悪いんだけどお前が最初に階段を上がって一階に行ってくれないかしら。」


 ミックスジュースを飲み終えた部長は、罪悪感がありありと出た表情で、すまなさそうに俺にそう言ってきた。


 まぁ、確かに、こんなゾンビがあちこちに徘徊しているような異常事態のトンでも空間で、男が俺一人だからと言ってそう言う提案をすれば、普通の感性の持ち主ならば罪悪感を感じるよな・・・。


 むしろ、感じなかったら部長の神経を疑うし、「ザッケンナコラー!スッゾコラー!」と叫んでいる事、間違いなしである。


 部長だけでなく、真心や愛ちゃん、北川さんと小川さんに至ってはすまなさそうな表情をしているが、縋る様な目で見つめてくる。

 まぁ、そんな目で見られたら、俺も思うところがない訳では無いが、仕方がないかと言う気持ちが沸き上がってきた上に、部長たちだけでなく北川さんと小川さんにもかっこ良いところを見せて、あわよくば好意を持たれたいと言う気持ちも出てきたので、「分かりました。じゃ、ちょっと上がってみますわ。」と階段の左側に身を寄せながら、左手に鏡を持ち、右手に鉄パイプを持ちながら、階段の先である踊り場目指して、ゆっくりと進んだ。


 度々、鏡に映る光景に注意しながら踊り場まで上がり、そのまま急いで踊り場の端まで寄って、一階へと続く踊り場からの曲がり階段を鏡に映すと、そこにも幸いゾンビの姿はなかった。


 どうやら、地下一階から一階へと続く、踊り場を含めて階段にはゾンビはいない様である。


 「部長、この階段にはゾンビはいません。」

 「そう、まずは吉報ね。じゃあ天道、一階へと上がって上がどうなっているかちょっと調べてくれないかしら。」

 「了解です。」


 そして、俺は階段を上り、一階に上がると少し先で通路が左右に分かれている。


 取り合えず俺は左壁に沿って通路が左右に分かれているところまで行き、手に持った鏡に右側の通路の先を移すと、ここもゾンビの姿は見えない。が、鏡に映っている景色には右側通路はすぐにまた左右に分かれている様である。


 全くもってやれやれだぜと思いながら、今度はしゃがんで鏡を通路に出して左側通路の方を映る様にした。


 奥に繋がる通りと途中で右へと曲がる道がある。広い研究所だけあってあちこちに通りがある様である。

 入る前から分かってはいたが、やはり、この研究所を探索して可憐を探し出すのは簡単にはいかない様である。


 そしてもう1つの問題があり、左側の通りの先にあるそのまま直進するのか右側通路と曲がるのかを決める中間地点に位置する所に職員のなれの果てと見れるゾンビが一体が立っており、右側通路へと進んだり、また戻ってきたりしている。


 どういう理由で、この研究所の職員がゾンビとなったのかさっぱり分からないが、現実問題として、このゾンビ達をどうにかして倒さないと、こっちが殺される。


 幸いゾンビは俺に気付いていないので、まずは部長達の元に戻ろうと思い、俺は足音を立てない様に後ろに下がり、それから階段を下りて、地下一階に待機していた部長達の元に戻った。


 「どうだったかしら天道?」


 尋ねてきた部長に対し、階段を上った先の事を伝えると、皆、無言となり、暫く沈黙が俺達に下りたが、それを破ったのはやっぱり天然の真心だった。


 「やっぱり上の階にもゾンビがいたんだ。」

 「いえ、真心先輩、この生命進化推進興業所に入る時もゾンビと遭遇し、この地下一階でもあちこちにゾンビがいたのだから、この研究所全体にゾンビがいると思うのですが・・・。」

 「愛の言うとおりね・・・。」


 真心のとぼけた発言に、表情こそ変えていないが声に呆れの色が混じっている愛ちゃんの言葉に、部長も同じ様に呆れた表情で同意した。


 「確かにそうだね~。」


 真心は誤魔化すように片手で頭を掻きながら、「えへへ」と笑った。相変わらず惚けた奴である。

 ・・・でも、こういうトンでもな極限状態では、真心のこういうところは、こっちまで脱力して張り詰めた空気もいくらかマシになるから、助かってると言えば助かってるんだよな・・・。


 実際、愛ちゃんや部長だけでなく、北川さんと小川さんもいささか困惑しながらも、先程より張り詰めていた雰囲気が柔らかくなった様だった。




 「さて、和んだところで、一階にもゾンビがいるのは分かったから、先に進むためにもゾンビを倒さないといけないし、何時まで地下一階ここにいて天道ばかりに探索を押し付ける訳にもいかないので、私達も一緒に1階に上がらないといけないわね。」

 「やっぱり、ゾンビはこれまで通りの方法でやっけるんですか部長?」

 「それはそうよ。こっちは銃が3丁あるとはいえ、弾丸はそんなに無いもの。銃を使わずに倒せるのならば、それに越したことはないわ。」


 真心の質問に部長は肯定すると、その理由を説明した。


 それからバッテリーや水の入ったペットボトルなどを持ちながらゆっくりと1階へと続く階段を上る事にした。

 



 「ふむ、天道の言う通り、ゾンビが1体だけいるわね。」


 1階に上がり、通路が左右に分かれているところで、部長と愛ちゃんが俺がしたように通路の先に鏡を出して左通路の光景を映し、その光景に映っているゾンビを見て、部長が言った。


 「取り合えず部長、まずはあのゾンビを始末しましょう。」

 「そうね。まずはそれね。と言う訳で天道、悪いんだけどゾンビが右通路から出てきたら道具箱をゾンビにぶつけて、転倒させて頂戴。」

 「うす、丁度出てきたので、早速やりますね。」


 俺は愛ちゃんの提案に部長が肯定して、俺に頼んできたので、俺も同意したところ、タイミングよくゾンビが右通路から出てきたので、真心から道具箱と「光君、気を付けて」と言う励ましの言葉を受け取り、幼馴染の真心とは言え、見た目は可愛い美少女なので、俺のやる気は俄然、上がった。


 単純だな、俺って・・・。


 やる気の上がった単純な俺は、通路に出て、まだこちらに気付いていないゾンビへと足早に近づいて、そのままの勢いで道具箱をゾンビの頭部目掛けて投げつけた。


 道具箱が直撃したゾンビはそのまま倒れ、俺は急いで部長達の元に戻り、次は水の入ったペットボトルを受け取り、倒れたゾンビの近くまで寄り、ペットボトルの水をある程度、ゾンビに掛け、後はその場から離れながら、廊下に水をたらして、また部長達の元に戻った。


 「先輩、どうぞ。」


 仕上げに愛ちゃんから受け取ったバッテリーにつなげているコード線を水の上に落とすと、次の瞬間、起き上がろうとしていたゾンビが感電した。


 しばらく、ゾンビを感電させた後、コード線を水から放すと、ゾンビは起き上がろうとしたが、動きが鈍くなっている。

 これまで同様、電撃が効いているのは間違いなかった。


 「天道、止めよろしく。」

 

 部長の頼みに、俺は「うす」と答えてゾンビに向かおうとしたところで、小川さんが「天道さん、お気をつけて」と両手を胸元で組みながら、案ずる様に俺を見ながら声を掛けてくれたのだが、部長や愛ちゃん、そして真心と言ういつも身近にいる女の子達とまた違うタイプの娘に声援を送ってもらい、俺は俄然、やる気になった。


 マジで単純だな俺!!


 しかし、殺る気が満々になった俺は勢いそのままに両手で鉄パイプを持ちながら、起き上がろうとしていたゾンビに向かって駆け出し、そのまま全力でゾンビの頭に鉄パイプを振り下ろし、そのまま頭部を粉砕した。


 やっぱり美少女から応援されるとやる気が出まくるって本当だぜ。

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