ファイル12 さぁ、ゾンビをやっけよう!!
約一年ぶりの投稿です。何て長い間だったんだ・・・。
隣のガレージにいるゾンビ達を倒すための作戦を立てた俺達は、後はもう実行あるのみだった。
作戦実行の前に、ドアの向こう、または近くにゾンビが来ていないかを、先ほどと同じ様に、ドアを少しだけ開けて、愛ちゃんの手鏡を出して、周りを確認するとゾンビの姿は確認できなかった。どうやらまだゾンビ達は、ガレージの中心部で共食いをしているみたいだった。
「ゾンビ達はまだ共食いしているみたいで、問題なく作戦決行できそうです部長。」
「そう、ならば今のうちに実行するだけね。こういうのは迷ったら決心が鈍るから、勢いに乗ってこのまま開始するわよ。という訳で愛、お願い!!」
「はいっ!!部長」
返事をすると愛ちゃんは打ち合わせ通りに、ホースを持って水道のところまで駆け出し、たどり着くとそのままホースを蛇口に差し込んだ。
状況が状況なので、焦りもあったのか、差し込むのにいささか手間取っていたが、何とか指し込むことが出来、そのままホースの先をゾンビ達に向けて、蛇口を思いっきり捻った。
すぐにホースの先から勢いよく、水が出始め、愛ちゃんはゾンビ達に目掛けて勢い良く水を掛けた。
共食いに夢中になっていたゾンビ達も、水を掛けられたら、愛ちゃんの存在に気づいたらしく、共食いを止めて、ゆっくりと起き上がった。
そこで愛ちゃんが、「先輩」と叫ぶと、俺は荷物を載せた荷車を勢い良く押し出しガレージに出て、正面においてある車の車体に沿って、荷車を勢い良く押し出し、障害物が何もない場所に来ると、荷車の勢いを殺さぬまま、ゾンビ達の方へと向けた。
その時、荷車の重量と遠心力の所為で、向きを変えるのに苦戦したが、すぐに真心を駆け寄って力をかしてくれたので、何とか向きをゾンビ達の方へと向けられた。
後は真心と二人で勢い良く押し出して、途中で手放してゾンビ達にぶつけてやった。すると実にあっけなくゾンビ達は4体とも倒れた。
「あれ?意外と脆いんだねゾンビ」
真心が倒れたゾンビ達を見てそんな事をつぶやいたが、俺はそれに返す余裕はなく、バケツはどうしたと訊ねると、俺が荷車の向きを変えるを苦戦しているのを見て、その場にバケツを置いて駆け寄ってきたらしい。
物置部屋の方を見ると、鉄パイプ数本を片手で抱きかかえて、開いているもう片方の手でバケツを持っている部長が、少しふら付いた足取りでこっちに来ていた。
いかにも重いと言った感じで、いまにも鉄パイプも水の入ったバケツも落としそうである。
「部長!バケツは俺が持ちます。」
そう言って部長の下に駆け寄ると、何か言う元気もないのか震える手でバケツを持った左手をこっちに出した。
落とされたら堪らないので、俺はさっさと受け取り、真心の近くに戻り、そのままゾンビ達の方に水をぶちまけた。
いい感じに倒れているゾンビ達の周りに出来ている水溜りに交わるように、俺達の近くまで水浸しになった。
「ぜーぜー、愛、もういいわ!ぜーぜー」
部長は息を切らしながらも俺達の元に来て、愛ちゃんに水を止めるように指示を出した。そして愛ちゃんが水を止めるのを確認すると、
「では計画通りにいこうかしらね。」
といつの間にか真心が持ってきた二つバッテリーを地面において、つながっていたプラスとマイナスの線を交差させて、電流が出ているのを確認してそのままぶちまけたバケツの水に放った。
次の瞬間、バチバチと音がしてながら、ゾンビ達が感電し始めた。
「何だか凄い光景だね光君」、
同感だったので、真心の言葉に俺は素直に賛同した。
「まぁこんなものかしら」
5分ぐらい経ってから、部長はそう言って線を水面から離した。
「作戦通り、天道、真心、愛、ゾンビがまだ動くかどうか確認し、動くようならば止めを刺して!!」
部長の指示に俺達は返事をしてから鉄パイプを握り締めて倒れているゾンビ達に近づいた。
すると近くで確認すると、ゾンビ達は小さい声で呻きながらまだ動いているではないか。
「ひ、光君!、まだ動いてるよゾンビ?!」
しかも一体を起き上がろうとまでしていた。そのゾンビの生命力に俺は内心、びっくりしながらもこのままではまずいと思い、鉄パイプを両手で握り締めて駆け出した。
そして「うっだらぁぁぁぁ」と気合を入れる意味も込めて叫び、起き上がろうとしていたゾンビの頭部に鉄パイプを勢いよく振り下ろした。
するとゾンビの頭部がぐっしゃっとつぶれて、頭部のなくなった身体がそのままうつ伏せに倒れた。
正直、気持ちの悪い光景だったが、勢いそのままに、残ったゾンビ達の頭部も砕いた。
「うわぁ~、光君無双だね・・・。」
「先輩、凄いです。」
砕き終えた俺を見て、そんな事を言う真心と愛ちゃん。
「意外と男らしいところ見せるじゃない天道」
ふふっと少し微笑みながら部長までそんな事を言ってくる。正直、部長にまでお褒めの言葉をもらえるとは思わなかった。
「まぁ、これで何にしてもまずは1つの脅威を突破したかしらね・・・」
部長の言葉に俺達は一気に脱力して、その場に座り込んだ。そして取り敢えずは危機を打破した事に安堵していると、何か思い付いた様に愛ちゃんが口を開いた。
「今、ふと思ったんですが、今回の作戦、もし私が蛇口を捻った時、水が出なかった時はどうしていたんですか?」
その愛ちゃんの言葉に俺達全員が「「「あっ?!」」」となった。そう言われてみればその事に考えが至らなかったからである。
真心は当たり前として、部長の方も俺と同じだったのか、バツが悪そうに俯いている。
俺達、全員が何ともいえない状態になっていた。
そう考えたら今回は運が良かったのだろう。これからはもっと気をつけねばならないと改めて思い知らされた。
でもこれからの探索でも、やっぱり結果的に運がよかったと言う展開になることを俺はこの時、わからなかった。そう考えたらやはりそううまくはいかないと言う事なのだろう・・・。
次からはもっと気楽に書こうかなとも思ったりもした我・・・、今度は一年も間があくなんてないようにしなければ・・・。