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闇夜の護衛  作者: 彩霞
第六章 

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第95話 追手が増えた理由

「一応、そう思う理由を聞いてもいいい?」


 アレクシスが問うと、彼女はわずかに眉をひそめ視線だけ彼に向ける。


「方向が読めないんだよ。さっき気配を投げてよこした奴は、間違いなく数百メートル後ろにいる。あの大通りにいるんだ。だが、もう一つの変な気配はよく分からない。不規則に強くなったり弱くなったりしている上に、ぼんやりとしていて掴みきれないんだ。ただ、宿屋を出てしばらくしたあとから、さっきまで一緒に移動してきているってことは、後ろにいるか、それとも前を歩いているか、こういう一本奥まった道を歩きながら私たちのことを見張っているかのどれかだろうとは思う」


「そうか……。それにしても、どうして急に追手が増えたんだろう?」


「あくまでも想像だけど、思っていたよりも取り戻すことが難しかったんで増員したんじゃないのか。それくらいユーインたちのことを早く何とかしたいんだろうよ」


「何とかしたい、か……」


 ソフィアのため息交じりの説明に、アレクシスはあごに手を当て考える仕草をした。


(ソフィアに牽制けんせいされた四人一組の追手のことを考えれば、増員を要請したのも納得がいく。でも、何だろう……違和感があるような……)


 スビリウスが、ユーインたちの回収をするのに、最初は四人一組の追手だけで事足りると思ったのは確かだろう。闇取引オウルス・クロウを出入りする貴族や商人たちが護衛を付けているとしても、スビリウスに所属している手練てだれの者たちが数人がかりで対峙すれば決着がつくと思ったに違いない。


 しかし、そうはならなかった。

 ソフィアは一人で、四人の追手を牽制したのである。もしかすると、借馬屋での戦いも見られていたというのもあって、増員したというのもあるのかもしれない。


 だが、アレクシスはどうも納得できなかった。一気に要員を増やしたのは、本当に夜明け前の二つの出来事だけのことだったのだろうかと不思議に思ったのである。


(何かが引っかかる。何かが……)


 そのときアレクシスは、昨夜リブームが終わったあとにソフィアと話していた言葉を思い出す。


 ——子どもらを残党狩りをするための、えさにしている可能性があるということだ。


 アレクシスはわずかに目を大きくした。


(そうだ。スビリウスがオブシディアンの残党を探すためにユーインたちをえさにしているのだとしたら、俺たちが「ユーインたちをどこに連れていくのか」を見届けてからでも遅くないはず。スビリウスからみれば、そこがオブシディアンの隠れ家になっている可能性があるからだ。そう考えているなら彼らは入れ代わりたち代わりで、俺たちを追い掛けたほうが無駄に人員を割かなくてもいいし、確実性も上がる。さらに「オブシディアンの隠れ家を見つける」という成果すらも手にできるかもしれない。だが、そうせずに追いかける人数を増やした。だから変だと思ったんだ)


 アレクシスはさらに考え続ける。


(一見、ソフィアの実力のことを考えて、俺たちを見失わないようにしているようにも思えるが、そうだとしても対応が速すぎる気がする。もっと状況を見てもいいんじゃないか)

 

 スビリウスに所属している者たちが各地にいることは、先代のグロリア侯爵から聞いてアレクシスも知っている。


 だが、オブシディアンが彼らに付けた傷も大きかったはず。

 闇取引オウルス・クロウの運営をするために、各地から商品や景品を集めてこなければならないし、失った人員の補充も考えなくてはならないだろう。


 いくらユーインとアルフィを取り戻すことと、オブシディアンの隠れ家を探すことが重要な任務であるとしても、そこまで人を集められると思えなかったのだ。


(となると……、考えられるのは「ソフィア」のことだ。借馬屋の辺りでスビリウス側がソフィアが十年前の「シンファ」であることに気づいたということもあるんじゃないか……? リブームがほとんど負けなしの「シンファ」。そして優れた護衛術。もちろん父が指揮をしていた間は、絶対に彼女の身元が分からないように細心の注意をしていたが、そこまで強い女護衛士のことをスビリウスが気にしていなかったわけがない……)


「ジェームスさん?」


 急に呼ばれ、アレクシスは声が聞こえたほうに顔を向ける。


 彼に声を掛けたのはアルフィだった。心配そうな顔で、こちらを見上げている。

 アレクシスはすぐに笑顔を作って「どうしたの?」と尋ねると、アルフィは後ろをちらりと振り向いて言った。


「レイグスさんが、もう行くって……」


 アルフィが見た方向に目を向けると、すでに馬に乗ったソフィアが彼を見下ろしていた。


「あ……」


「休憩は終わり。さっさと行くぞ。少し早く宿屋を見つけたいからな」


 ソフィアはそう言って馬に指示を出し、先に進んでしまう。

 アレクシスは急ぎながらも、きちんとアルフィをくらに乗せると、「ちょっと待って」と言って追いかけた。

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