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闇夜の護衛  作者: 彩霞
第五章

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第90話 予想

「それはまずいのでは……?」


 エレインの問いに、イグマンは肩をすくめた。


「まあ、相手が拳銃を調べて、『誰が購入したのか』ということを特定できる能力があれば、まずいだろうな。もちろん、スビリウスから支給された拳銃は足が付かないように注意が払われてはいるから、そう簡単なことじゃないが」


「もしや、電話でそれを……?」


 恐る恐る尋ねるエレインに、イグマンは小さくため息をつく。内心では、「上手く話を逸らすことができた」と思いながら。


「電話では話していないよ。ただ、あの兄弟を回収し終わったらエレインの拳銃を新調しなくちゃならないわけで、そのときは本部に理由を言わなければいけなくなる」


「拳銃の新調には、常に上層部に報告しないといけないことになっていますからね。拳銃を無くして別の問題に発展したら大変ですから」


 アベルが説明を付け足すと、イグマンはうなずいた。


「その通り。どちらにせよ話さないといけなくなるんで、上手くはぐらかすにはどうしたらいいか外で考えていたんだ」


「そうだったのですね。気苦労お掛けしまして、申し訳ありません……」


 エレインは項垂うなだれて謝った。


「過ぎたことは仕方ない。それよりエレイン、予備の拳銃は持っているな?」


「はい」


しばらくはそれを使ってくれ。あとは、元気を出せ」


 エレインはイグマンの言葉に、一瞬不意を突かれたようにきょとんとしたが、すぐに表情を緩めた。


「……はい」


 イグマンは彼の笑顔を見て笑い返すと、エレインの背に手を添えながらテーブルのほうへ歩き、それぞれ空いている席に座った。


「さて、ここからは作戦会議だ。女が昼過ぎにこの町を出ると言っていたが、どこに向かうのか、ある程度の方向性を決めなければならない。そこでだ。これから三人にはそれぞれやってもらいたいことがある」


 エレイン、アベル、ヨハンがそれぞれが上司の言葉にうなずく。

 それを見て、イグマンは言葉を続けた。


「まず、アベルとヨハンは、この周辺百メートル四方の範囲の中で借馬屋を探してくれ。そこでは馬を二頭借りて行った者たちがいたかどうかを調べて、ついでに俺たちがそれぞれ使う四頭の馬を手配してきてほしい。馬の状態と、値段を見て決めてくれると助かる」


「分かりました。お任せください」


 アベルが答え、ヨハンが隣でうなずくのを確認すると、イグマンは最も難解な問題を取り上げる。


「それと、どの町に行くかをしぼらないといけないな」


 女が「昼過ぎにこの町を出る」と言ったのは、嘘ではないだろう。何故そのような宣言をしたのかまでは分からない。

 だが、どちらにせよ自分たちは追いかけ続けなければならないため、時刻を言ってくれたお陰で、女たちがどこへ向かうか考える時間がまだある。


 アベルがため息交じりに自分の意見を口にした。


「ソルドーは四つの町と接していますからね。南には昨日闇取引オウルス・クロウが開かれたジオグン、西にクロウリア、北にトレント、東にルテ……。男女二人がどこへ兄弟を連れて行くのか、全く見当もつきませんよ」


 アベルの言うことももっともだった。

 もし、兄弟たちが宿泊している場所が分かっていたら見張り続けて追うだけでいいが、それすらも分からない状態である。いくつもの町が隣接しているソルドーで、どちらのほうこうへ向かうのか全く見当がつかない。


 全員が頭を抱えて悩んでいると、ふとヨハンが言葉を発した。


「あの、消去法で申し訳ないのですが、少なくとも昨日いたジオグン街には戻らないと思います」


「ヨハン、それはどうして?」


 イグマンから見て、ヨハンの左隣りに座るアベルが尋ねる。


「夜明け前、対峙した女が話していたことを思い出したんです。本来闇取引オウルス・クロウから景品を持って出てきた人たちは、『横取り』を警戒します。『横取り』の場合は夜明けまで逃げ切ればいいわけですが、女は私たちに『闇取引オウルス・クロウは規則を変えたのか』と聞いて、今回の『横取り』が夜明けまでではないことを確認していました。ということは、あの時点まで確信は持てなかったということだと思うんです。その後、私たちが今後も追い続けるということを確認しましたし、さらに私たちが闇取引オウルス・クロウの関係者であることも知られました。そう考えますと、闇取引オウルス・クロウが開催されたところには戻らないのではないかなと。むしろ、できるだけ早く離れたほうがいいと考えているように思うのです」


「なるほどな」


(ヨハンの言うことは一理あるな。あの女は「闇取引オウルス・クロウを運営する者たちに追いかけられている」ことが分かっているということだ。そうなれば、仲間が確実にいるであろうジオグン街には戻らないだろう。あそこには闇取引オウルス・クロウを運営していた者たちがいるのだから、迂闊うかつに近寄ろうとはしないはずだ)


 イグマンが大きくうなずいたが、アベルがさらに問いかけた。


「ですが、南のジオグン街には行かないとしても、西のクロウリアと東のルテ、あと北のトレントの三つがあります。これ以上、どうやって絞ればいいのでしょうか?」

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